DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第8回 キアタイガース

 2014年は2年連続8位と、新本拠地・光州キアチャンピオンズフィールドの初年度としてはあまりにもさみしい結果に終わったキアタイガース。2015年シーズンは、光州出身の若き指揮官キム・ギテ新監督を迎えて再建を図る。


【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、◎ハンバー、◎スティンソン、◎ユン・ソンミン、△イム・ジュンソプ
〈中継ぎ〉
チェ・ヨンピル、△イム・ギヨン、シン・チャンホ、△チェ・ヒョンジョン、ホン・ゴンヒィ、キム・テヨン、◎ムン・ギョンチャン
〈抑え〉
△シム・ドンソプ

注 : ◎は新加入、△は左腕

 3月になり、FAでボルティモアオリオールズと契約したが米国メジャーリーグでの登板を果たせなかったユン・ソンミンの復帰が決まった。示範競技でも登板し、状態が上向けば以前のようにエース格として先発としての活躍が見込まれる。先発の柱は2014年16勝をあげた左腕ヤン・ヒョンジョンとなる。新外国人投手のハンバーは米国メジャーリーグ・シカゴホワイトソックス在籍時の2012年に完全試合を達成したことがあり、スティンソンとともに活躍が期待される。
 リリーフは心もとなく、2014年は40歳のチェ・ヨンピルが最も安定感があった。継投の勝ちパターンで苦しみそうだ。抑えは23歳の左腕シム・ドンソプが任されることになったが、経験に乏しく不安が大きい。大卒新人ムン・ギョンチャンなど、実績のない若手にもチャンスは十分にある。



【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.キム・ウォンソプ(中) △ 
2.キム・ジュチャン(右)  
3.ピル(左) 
4.チェ・ヒィソプ(一) 
5.イ・ボムホ(三)  
6.ナ・ジワン(指) 
7.パク・キナム(二) 
8.チャ・イルモク(捕) 
9.カン・ハヌル(遊)  

〈控え〉
(捕手) イ・ソンウ、ペク・ヨンファン
(内野手) キム・ジュヒョン、キム・ミヌ、チェ・ヨンギュ、コ・ヨンウ、イ・インヘン、◎ファン・デイン
(外野手) △シン・ジョンギル、△イ・ジョンファン、△キム・ダウォン、△パク・チュンテ

注 : ◎は新加入、△は左打者。

 2014年オフシーズンは1番打者として活躍していたイ・デヒョンが新球団KTへ特別指名により移籍し、またセカンドを守り打撃力もあったアン・チホン、ショートで出場することが多かったキム・ソンビンが2014年仁川アジア大会韓国代表に選ばれず軍へ入隊するなど、攻守に欠かせなかった選手が3人も抜けた。選手層がもともと厚くなかったため、2015年シーズンの攻撃陣はかなり苦しい起用となる。
 かつて主軸として活躍してきたが近年は故障で活躍しきれていないチェ・ヒィソプに復活の気配があり、2014年は外国人選手枠の関係であまり起用できなかったピルが常時出場できるようになるなど、明るい話題がないわけではない。ただし控えも含めて機動力に欠けるメンバーであり、爆発的な得点力はあまり期待できない。


 2014年シーズン序盤成績不振で辞任したが、2013年はLGを11年ぶりのポストシーズン進出に導くなど、45歳と若くとも指導力に定評のあるキム・ギテ新監督は、停滞が続くかつての最強軍団ヘテタイガースの伝統を受け継ぐチームを、上位に押し上げられるのであろうか。まだ新しさの残る立派な本拠地に恥じない成績を残したい。



本拠地
 光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れがちであった。その理由のひとつとして韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半まで、韓国政府からも差別的待遇を受けてきたことがあげられる。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現在もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。ソウル・蚕室野球場や木洞野球場でのキア戦も、光州や周囲の全羅道出身者が集まるためビジター応援席が真っ赤に染まることも多い。2001年夏、キアタイガースに生まれ変わってから10年以上の月日がたったが、ファンたちは相変わらず「ヘテ」に憧れている。
 2014年から使用を開始した本拠地・光州キアチャンピオンズフィールドは、2015年7月前半の光州ユニバーシアード開催に合わせ建設され、内野は2階席もあり最大収容人数は2万7000人と韓国最大級である。2014年7月にはプロ野球オールスター戦も開催された。また8月には外野にプールも設置されるなど、今後も施設の拡充が続く予定。旧本拠地の無等野球場はすぐ横にそのまま残されている。












 2015年シーズンの入場料金はK3席(内野2階席)が平日8000ウォン、土日・祝日は9000ウォン。内野1階のK5席が平日9000ウォン、土日・祝日は10000ウォン。K7席が平日10000ウォン、土日・祝日は11000ウォン。K9席が平日14000ウォン、土日・祝日は15000ウォン。外野席が平日7000ウォン、土日・祝日は8000ウォン。バックネット裏のチャンピオン席(1人)は平日35000ウォン、土日・祝日は40000ウォン。その他バックネット裏には2-6人用のテーブル席・家族席も設定されている。

(3月25日現在の為替レート:1万ウォンが約1084円。)


[交通アクセス]

 周囲は住宅地や中小工場が並ぶ庶民的な町で、球場の入り口付近に停留所があるものの、バスでのアクセスは韓国語が理解でき土地勘がないとお勧めできない。韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩でも15分程度で、大通りに沿って歩けばいいためわかりやすい。広大なバスターミナル周辺には旅館やホテルも多く、デパートもあるためショッピングや食事をする場所には事欠かない。
 4月2日より、KTX湖南高速線が光州松汀(クァンジュソンジョン)駅まで開通し、ソウル市内の龍山(ヨンサン)駅から1時間50分程度で結ばれる。ただし同駅から野球場は約10km離れていて、地下鉄などでのアクセスも不便である。タクシーで30分近くかかると思われるため、韓国慣れしていないとソウルからの日帰り観戦は厳しい。光州松汀駅から龍山行きの最終のKTXは22時45分発となっている(列車の時刻は念のため乗車当日に確認のこと)。



(文責 : ふるりん