エースの帰還で9位からの捲土重来を図る
2021年はチーム史上最低の9位に終わり、2022年よりキム・ジョングク新監督が就任した。捲土重来のためにまず本拠地・光州出身でNCからFA(フリーエージェント)となっていたナ・ソンボムと契約し打線の強化を図った。そしてMLBに挑戦していた韓国通算147勝の左腕エースのヤン・ヒョンジョンが復帰し、大きく注目を集めている。
【投手陣】
〈先発〉
◎△ヤン・ヒョンジョン、◎ロニー、◎△ノリン、イ・ミヌ、△イ・ウィリ、ハン・スンヒョク
〈リリーフ〉
△イ・ジュニョン、ユン・ジュンヒョン、パク・チンテ、パク・チュンピョ、◎△チェ・ジミン、チョン・サンヒョン、ホン・サンサム、チョン・ヘヨン
注 : ◎は新加入、△は左腕
韓国通算147勝のヤン・ヒョンジョンは34歳となり、エースとして円熟味を増した投球で投手陣をけん引するであろう。ロニー、ノリン(元埼玉西武)の新外国人選手2名は未知数だがチームの命運を握る。韓国人の他の先発としては2020年東京オリンピック野球韓国代表にも選ばれ2021年の新人王を受賞した19歳の左腕イ・ウィリなどが候補にあがるが、決して層は厚くない。2021年にチーム最多の8勝を記録したイム・ギヨンは故障で出遅れている。
リリーフは2021年に34セーブを記録した20歳のチョン・ヘヨン、最多ホールド(34)の個人タイトルを受賞したチャン・ヒョンシクが軸となる。18歳の新人の左腕チェ・ジミンにも活躍の場が与えられそうだ。
【打撃陣】
〈先発予想〉
捕手:ハン・スンテク
一塁:ファン・デイン
二塁:キム・ソンビン
三塁:◎キム・ドヨン
遊撃:パク・チャンホ
外野:◎△ナ・ソンボム、◎△ソクラテス、◎△コ・ジョンウク
指名:△チェ・ヒョンウ
〈控え〉
(捕手) キム・ミンシク
(内野手) リュ・ジヒョク、△カン・ギョンハク、△キム・テジン、△チェ・ジョンヨン
(外野手) イ・チャンジン、イ・ウソン、△キム・ソックァン、△キム・ホリョン、ナ・ジワン
注 : ◎は新加入、△は左打者。
1番打者として活躍していた外野手チェ・ウォンジュンが兵役のため軍に入隊した穴を埋めるため、FAとなっていた大型外野手ナ・ソンボムと契約した。新外国人選手ソクラテス、SSGを自由契約となり移籍したコ・ジョンウクなど特に外野は総入れ替えとなり、課題となる得点力不足の解消に努めている。内野は生え抜きの主力キム・ソンビン、パク・チャンホと比較的安定感がある。
最大の注目は18歳の新人の内野手キム・ドヨンである。走攻守ともにスケールが大きく示範競技などで才能の片鱗を見せ、体力面での不安はあるが即戦力としての活躍が期待されている。一方で38歳のチェ・ヒョンウ、36歳のナ・ジワンなどの実績あるベテランも若手に刺激を受けて奮起するとさらに破壊力が増す。
ヤン・ヒョンジョンの復帰、新戦力の補強と若手の台頭で近年の低迷から脱し、2017年以来5年ぶりとなる12度目の韓国シリーズ優勝も夢ではないと意気揚々のキアタイガーズ。現役引退後長くキアで指導者として経験を積んできたキム・ジョングク新監督は監督としては新人であり、まずは2018年以来4年ぶりとなるポストシーズン進出を目指して2021年の9位からの浮上を図ると思われる。
【本拠地】
光州・キアチャンピオンズフィールド
韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から距離があり、独特の文化や風情を感じられる。試合中には全羅南道のご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえてくることもある。首都圏の蚕室野球場などでも、遠征のチーム側の応援席がキアファンで溢れかえることも少なくない。現在も光州キアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、隣の無等(ムドゥン)野球場で栄光の歴史を刻んできたヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。またレフト外野の球場外には、前身のヘテタイガーズからの歴史館もある。
2014年に開場した現代的なボールパークは、そういった勝利の伝統が息づくチームにふさわしい威容だ。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。また世界中に自動車を輸出するキアグループの球団のため、自社のモデルカーが展示されることもある。
[交通アクセス]
韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度。KTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン)駅からは、比較的近い光州駅までの列車が運行されている。光州駅からはタクシーで10分程度。
(文責 : ふるりん)