DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2020年 シーズン展望 第7回 キアタイガーズ

球団史上初の外国人監督マット・ウィリアムズ就任

 

 2019年は序盤から低迷しキム・ギテ監督もシーズン途中で辞任、優勝争いに加わることなく7位で終わり、大胆な改革として球団史上初となる外国人監督マット・ウィリアムズが就任した。MLBでの現役時代は2001年のアリゾナダイヤモンドバックスワールドシリーズ優勝に貢献、引退後はワシントンナショナルズで監督を務めた経験が韓国でどう発揮されるのか注目される。

 
【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、◎ブルックス、◎ギャニオン、イ・ミヌ、ホン・ゴンヒィ、イム・ギヨン
〈リリーフ〉
△イム・ギジュン、◎チョン・ヘヨン、△ハ・ジュニョン、コ・ヨンチャン、パク・チュンピョ、チョン・サンヒョン、ムン・ギョンチャン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 先発の柱は左腕ヤン・ヒョンジョンで、2019年まで6年連続10勝以上、2019年は最優秀防御率(2.29)の個人タイトル受賞と絶対的な存在である。しかしそれ以外の先発投手は大いに不安である。新外国人選手のブルックス、ギャニオンが機能しないとかなり厳しいことになると思われるが、2名とも未知数である。やむを得ず経験のある選手たちを穴埋めで起用すると思われるが、先発で活躍できる若手の育成が急務である。

 リリーフの中心は2019年シーズン途中で抑えに定着したムン・ギョンチャンである。24歳のチョン・サンヒョン、20歳のハ・ジュニョンの成長で中継ぎ陣は充実してきた。18歳の高卒新人チョン・ヘヨンにも期待がかかる。

 
【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:ハン・スンテク

一塁:△ユ・ミンサン

二塁:キム・ソンビン

三塁:◎チャン・ヨンソク

遊撃:パク・チャンホ

外野:△タッカー、チェ・ウォンジュン、△チェ・ヒョンウ

指名:ナ・ジワン  

〈控え〉
(捕手) ペク・ヨンファン、キム・ミンシク
(内野手) キム・ジュチャン、△ファン・ユンホ、×コ・ジャンヒョク、△チェ・ジョンヨン、◎ナ・ジュファン
(外野手) イ・チャンジン、イ・ウソン、キム・ホリョン、オ・ソヌ

注 : ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。

 最大の課題はFA(フリーエージェント)でロッテへ移籍した不動の二塁手だったアン・チホンの穴埋めである。そのため2019年まで遊撃手だったキム・ソンビンを二塁へ、2019年に盗塁王(39個)の個人タイトルを受賞したパク・チャンホ三塁手から遊撃手へとコンバートする。またトレードでキウムから長打力のあるチャン・ヨンソクを獲得し、打線の補強に努めた。
 主軸は36歳のベテランのチェ・ヒョンウ、韓国2年目の外国人選手タッカーなどが任されると思われる。また将来の主軸として期待されながら一軍に定着できていない23歳のチェ・ウォンジュンの活躍が、チームの浮上には不可欠である。  

 韓国での指揮は初めてとなるマット・ウィリアムズ監督への期待は非常に大きい。2017年の韓国シリーズ優勝から2年あまりが経ち、世代交代の時期を迎えている。まずは2年ぶりのポストシーズン進出が目標となろうが、ウィリアムズ監督が若手を育て、前身のヘテ時代からプロ野球史上最多となる12度目の韓国シリーズ優勝をファンたちは夢見ている。

 


【本拠地】
光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から遠く、発展から取り残されてきた。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代後半に韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現在もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。首都圏の蚕室野球場などでも、遠征のチーム側の応援席がキアファンで赤くに染まることも珍しくない。現在も光州キアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、隣の無等(ムドゥン)野球場で栄光の歴史を刻んできたヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。またレフト外野の球場外には、前身のヘテタイガーズからの歴史館もある。
 2014年に開場した現代的なボールパークは、そういった勝利の伝統が息づくチームにふさわしい威容だ。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。また世界中に自動車を輸出するキアグループの球団のため、自社のモデルカーが展示されることもある。夏には子供用のプールも設置され、家族連れでも楽しめるようになっている。

 

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光州キアチャンピオンスフィールド


[交通アクセス]

 韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度。KTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン)駅からは、比較的近い光州駅までの列車が運行されている。光州駅からはタクシーで10分程度。

  


(文責 : ふるりん