DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2019年 シーズン展望 第5回 キアタイガーズ

2年ぶり12度目の韓国シリーズ優勝へ

 

 2018年は韓国シリーズ2連覇を狙うも、5位に終わったキアタイガーズ。2017年の優勝時の戦力は維持されているため、選手層の底上げができれば2年ぶりの優勝も夢ではないが、4年連続のポストシーズン進出が現実的な目標だと思われる。

 


【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、◎ターナー、◎ウィーランド、イム・ギヨン、ハン・スンヒョク
〈リリーフ〉
キム・セヒョン、キム・ユンドン、△イム・ギジュン、ホン・ゴンヒィ、ユ・スンチョル、ムン・ギョンチャン、ユン・ソンミン。◎△キム・ギフン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 先発の柱は左腕ヤン・ヒョンジョンで、2018年まで5年連続2ケタ勝利と安定した成績を残している。ターナー、ウィーランド(元横浜DeNA)の新外国人選手2名は右の先発の柱として期待が大きい。だがイム・ギヨン、ハン・スンヒョクなどその他の先発候補が安定感を欠くため、ユ・スンチョルなどの若手の抜擢が待たれる。なお新人ドラフト1次指名の左腕キム・ギフンも早いうちに一軍での機会が与えられる可能性がある。

 2018年、抑えが定まらなかったリリーフ陣は不安が大きい。かつて守護神をつとめたユン・ソンミンは故障が多く、キム・セヒョン、キム・ユンドン、ムン・ギョンチャンなどで抑えの座をめぐる競争が繰り広げられるであろう。また中継ぎで活躍していたシム・ドンソプの軍への入隊で、左腕不足も深刻化している。

 


【打撃陣】

〈先発予想〉

1.キム・ソンビン(遊)    
2.ヘイゼルベイカー(中) ◎△
3.アン・チホン(二) 
4.チェ・ヒョンウ(左) △ 
5.ナ・ジワン(指)  
6.イ・ミョンギ(右) △ 
7.キム・ジュチャン(一) 
8.キム・ミンシク(捕) 
9.チェ・ウォンジュン(三)  

〈控え〉
(捕手) ペク・ヨンファン、ハン・スンテク
(内野手) イ・ボムホ、ホン・ジェホ、△ユ・ミンサン、イ・チャンジン、△ファン・ユンホ
(外野手) ユ・ジェシン、◎ムン・ソンジェ、△パク・チュンテ

注 : ◎は新加入、△は左打者。

 2018年と比べて主力選手に大きな変化はない。新外国人選手ヘイゼルベイカーは前任者のバーナディーナ同様、打撃だけでなく外野守備や走塁でもチームに貢献することが求められる。オールラウンドな打撃ができるチェ・ヒョンウが4番に座り、2018年はチーム最多の118打点と勝負強さを身に着けたアン・チホン、長打力は健在のナ・ジワンなど中軸は堅固である。

 2011年以降三塁のレギュラーとして活躍してきたイ・ボムホ(元福岡ソフトバンク)が負傷で不在のため、まもなく22歳となるチェ・ウォンジュンがその穴を埋めて更なる成長を遂げる好機が訪れている。野手は投手と比べ有望な若手があまり見当たらないため、これまでの主力選手で戦い抜いていくことが予想される。あいにく控え選手の層も厚いとはいえない。


  
 投手ではヤン・ヒョンジョン、野手ではチェ・ヒョンウやアン・チホンなどリーグを代表する選手がそろうキアタイガーズだが、優勝候補と呼ばれるSK、トゥサン、キウムなど2018年の上位チームと比べるとやや見劣りする。キム・ギテ監督の巧みな采配で前評判を覆し、史上最多の12度目(前身のヘテ時代から通算)となる2年ぶりの韓国シリーズ優勝を果たすことが出来るだろうか。

 


【本拠地】
光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から遠く、発展から取り残されてきた。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代後半に韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現在もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。首都圏の蚕室野球場などでも、光州や周囲の全羅道出身者が集まるためビジター応援席がキアファンで赤くに染まることも珍しくない。現在も光州キアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、隣の無等(ムドゥン)野球場で栄光の歴史を刻んできたヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。
 2014年開場とまだ新しさの残るボールパークは、そういった勝利の伝統が息づくチームにふさわしい威容だ。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。また世界中に自動車を輸出するキアグループの球団のため、自社のモデルカーが展示されることもある。夏には子供用のプールも設置され、家族連れでも楽しめるようになっている。

 

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光州キアチャンピオンズフィールド


[交通アクセス]

 韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度。KTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン)駅からは、比較的近い光州駅までの列車が運行されている。光州駅からはタクシーで10分程度。

  


(文責 : ふるりん