DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第1回 キアタイガース

 2017年は8年ぶりの韓国シリーズ優勝を果たしたキアタイガース。キム・ギテ監督の下、史上最多の12回目の韓国シリーズ優勝、前身のヘテ時代の1996〜1997年以来21年ぶりとなる連覇を目指す。


【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、ヘクター、△パット・ディーン、イム・ギヨン、ユ・スンチョル
〈リリーフ〉
△シム・ドンソプ、パク・チョンス、△チョン・ヨンウン、イム・チャンヨン、キム・セヒョン、キム・ユンドン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 2017年はともに20勝で最多勝を受賞した韓国人エースのヤン・ヒョンジョン、外国人投手ヘクターの2人が先発投手陣の大黒柱である。その次に2年目の外国人左腕パット・ディーン、サイドハンドの先発イム・ギヨンが控えている。しかし故障者が出た際の代わりとなる投手が心もとなく、先発5番手は競争が予想される。2017年まで一軍登板のない20歳の右腕ユ・スンチョル、軍から除隊され復帰した22歳の右腕パク・チョンスなどが候補に挙がる。
 先発と比べてリリーフ陣は不安が大きい。2017年シーズン途中にネクセンから移籍したキム・セヒョンが抑え候補である。経験豊富なイム・チャンヨン(元東京ヤクルト)も41歳となるため、2017年は抑えを任されながらシーズン後半不調に陥ったキム・ユンドンの成長が期待される。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・ミョンギ(右) △   
2.キム・ジュチャン(一)  
3.バーナディーナ(中) △ 
4.チェ・ヒョンウ(左) △ 
5.ナ・ジワン(指)  
6.アン・チホン(二) 
7.イ・ボムホ(三) 
8.キム・ミンシク(捕) 
9.キム・ソンビン(遊)  

〈控え〉
(捕手) ペク・ヨンファン、ハン・スンテク
(内野手) △ソ・ドンウク、◎チョン・ソンフン、△チェ・ウォンジュン、△ノ・グァンヒョン、◎ファン・ユンホ
(外野手) △シン・ジョンギル、△オ・ジュンヒョク、◎△イ・ヨンウク、ユ・ジェシ

注 : ◎は新加入、△は左打者。

 2017年は4番チェ・ヒョンウを軸とした強力打線で他チームを圧倒した。2年目の外国人選手バーナディーナ、ナ・ジワンなどと組む中軸の破壊力は健在で、2017年首位打者キム・ソンビンが9番に座り、上位から下位まで切れ目のない打線となっている。全体として主力野手の年齢が高いため、21歳となるチェ・ウォンジュン、23歳のハン・スンテクなど若手が成長してベテランから出番を奪うとさらに選手層が厚くなる。
 個人通算2105安打の37歳のベテラン、チョン・ソンフンが15年ぶりに古巣へ復帰し内野は層が厚くなった。半面外野の層が薄いため、現在は無名の若手にもチャンスが回ってくるかもしれない。


  
 チェ・ヒョンウやバーナディーナなど主に打線の補強が成功し、既存の戦力と融合して見事に韓国シリーズ優勝を成し遂げた2017年。王者として臨む2018年シーズンは追われる立場となり思うようにならないかもしれないが、2連覇のためにはさらなる若手の起用と成長が望まれる。果たしてキアタイガースとしての黄金時代を築くことができるであろうか。


本拠地
 光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から遠く、発展から取り残されてきた。その理由のひとつとして韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半まで、政府からも差別的待遇を受けてきたことがあげられる。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代に韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現在もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。首都圏の蚕室野球場などでも、光州や周囲の全羅道出身者が集まるためビジター応援席がキアファンで真っ赤に染まることもある。2001年夏、キアタイガースに生まれ変わってからそれなりの歳月が流れたが、往時を知らない世代を含めファンたちは「ヘテ」に憧れている。それを反映してか、2016年シーズンよりキアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、ヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。
 2014年開場とまだ新しさの残るボールパークは年々施設を拡充し、野球ファンたちのニーズにこたえようとしている。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。










[交通アクセス]

 周囲は住宅地や中小工場が並ぶ庶民的な町で、球場の入り口付近に停留所があるものの、運行形態が複雑なため外国語の案内表示があっても市内バスでのアクセスはあまりお勧めできない。韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度で、大通りに沿って歩けば着くためわかりやすい。広大なバスターミナル周辺には旅館やホテルも多く、デパートもあるためショッピングや食事をする場所には事欠かない。
 高速鉄道KTX・SRTは光州松汀(クァンジュソンジョン)駅に停車し、ソウル市内のソウル駅や龍山(ヨンサン)駅、水西(スソ)駅から1時間50分前後で到着する。ただし同駅からキアチャンピオンズフィールドは約10km離れ、地下鉄やバスなど公共交通機関でのアクセスは時間を要する。タクシーで30分程度かかるため、18時半開始の試合をソウル市内から日帰り観戦する場合はかなりのハードスケジュールとなる。なお、野球場に近い光州駅へは光州松汀駅からのシャトル列車も運行されている。
 2018年3月現在、光州松汀駅からソウル市内の水西行きの最終の高速鉄道SRTは23時9分発となっている。
(文責 : ふるりん