DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第9回 SSGランダース

新球団として再建へ

 2020年はハンファとの最下位争いを続け、球団史上最低の9位に終わったSKワイバーンスは、2021年1月に新世界(SSG)グループへの球団売却が発表され、SSGランダースとなった。2018年、SKとしての最後の韓国シリーズ優勝からたった2年での転落と厳しい状況から新球団として再建できるか、現役時代はSKの主力投手として活躍してきた就任1年目のキム・ウォンヒョン監督にとっていきなり試練が訪れた。


【投手陣】

〈先発〉 
◎フォント、◎ルウィキ、パク・チョンフン、ムン・スンウォン、イ・ゴヌク、チョ・ヨンウ
〈リリーフ〉

△キム・ジョンビン、パク・ミンホ、キム・セヒョン、△オ・ウォンソク、イ・テヤン、ソ・ジニョン、△キム・テッキョン、◎キム・サンス


注 : ◎は新加入、△は左腕

 

 2020年は外国人選手の勝利数が6勝と10球団中最少だった。2021年の新外国人選手フォント、ルウィキともに活躍しなければ他チームと対等に戦えない。韓国人の先発投手ではアンダースローのパク・チョンフン、ムン・スンウォンが 比較的計算できるが、層は薄い。4月に20歳となるプロ2年目の若手左腕オ・ウォンソクの成長が待たれ、投手コーチとしての経験が豊富なキム・ウォンヒョン監督の手腕の見せ所である。

 リリーフではキウムからFA(フリーエージェント)となっていた33歳の右腕キム・サンスがサインアンドトレードの形で移籍してきた。2020年はハ・ジェフン(元東京ヤクルト)の不振で最大の弱点となっていた抑えは、28歳のソ・ジニョンが起用されると思われるが、もし機能しないようだと2020年同様に厳しい状況に陥る。


【打撃陣】

〈予想スタメン〉
捕手:イ・ジェウォン

一塁:ロマック

二塁:◎△ チェ・ジュファン

三塁:チェ・ジョン

遊撃:キム・ソンヒョン

外野:△ チェ・ジフン、△ コ・ジョンウク、◎△ チュ・シンス

指名:△ハン・ユソム

〈控え〉
(捕手) イ・フンニョン、イ・ヒョンソク
(内野手) チョン・ヒョン、△チェ・ハン、△チェ・ジュヌ、△パク・ソンハン、◎コ・ミョンジュン
(外野手) キム・ガンミン、△キム・チャンピョン、△オ・ジュンヒョク、チョン・ウィユン、オ・テゴン
注 : ◎は新加入、△は左打者。

 何といっても最大の話題はMLB通算218本塁打の韓国人選手チュ・シンスと契約したことである。だがすでに38歳で、高校卒業後間もなくMLBシアトルマリナースと契約したため韓国でのプロ経験がなく、全盛期のような圧倒的な成績を残すのは難しいかもしれない。そのため2020年以前から活躍している生え抜きで個人通算368本塁打のチェ・ジョン、2017年5月よりSKで活躍している外国人選手ロマック(元横浜DeNA)の2名が2020年と同じく打線の軸となりそうだ。

 チュ・シンスの前にオフシーズンで大きな話題となったのはトゥサンからFAとなっていたチェ・ジュファンとの契約であり、最大の弱点だった正二塁手不在を補った。また2018年の韓国シリーズ優勝に貢献するもその後は不振が続く左の大砲ハン・ユソム(ハン・ドンミンから改名)の復活も待たれる。主力野手に30代のベテランが多く、2020年の新人王候補にもなった24歳のチェ・ジフンに続く若手の台頭が望まれる。


 3月5日、SSGランダースの球団名が発表され、SKワイバーンスは2000年の球団創設以来の21年間の歴史に幕を下ろした。その後の練習試合や3月20日からの示範競技はすべて仮のユニフォームだったが、3月30日、ようやく正式なユニフォームが発表され新球団としての体裁を整えた。4度韓国シリーズで優勝したSKの歴史を継承した赤い色のユニフォームをまとったSSGランダースの選手たちが、「世界の(どこにも)なかったプロ野球チーム」として韓国に新しい風を吹かせることを期待したい。 

 
【本拠地】 

仁川SSGランダースフィールド

 2002年に開場した、総天然芝の美しい野球場。韓国の首都圏・仁川(インチョン)広域市の東部にそびえる文鶴(ムナク)山の北側に位置し、周囲には2014年仁川アジア競技大会が開催された大型の競技場や水泳場などもある。文鶴野球場として開場し、2015年より前身のSKの球団名が入った「仁川SK幸福ドリーム球場」の名称で呼ばれてきたが、球団売却により「仁川SSGランダースフィールド」と名称を変更した。
 2006年ごろから、SKにより韓国の他のプロ野球本拠地に先駆けエンターテイメントを追求したボールパークとして整備され、家族連れや様々な客層が楽しめる快適な観戦環境が提供されていた。センター外野上の電光掲示板「ビッグボード」は63m、高さ18mと韓国の野球場では最大級の迫力である。SKからSSGへと球団が変わり、球場内には韓国だと新世界グループ傘下にあるスターバックスコーヒーの出店が予定されている。ボールパークとしてさらなる進化を遂げる可能性を秘めている。まずは4月3日、新球団の初戦であるレギュラーシーズン開幕戦:ロッテジャイアンツ戦での仁川SSGランダースフィールドの姿に注目したい。

 

[交通アクセス]
 仁川交通公社1号線・文鶴競技場(ムナクキョンギジャン)駅から徒歩5分。


(文責 : ふるりん