DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第10回 ハンファイーグルス

初の外国人監督の下で最下位脱出へ 

 2020年はプロ野球タイ記録の18連敗を喫したことが最大の話題となり、2014年(当時は9球団制)以来6年ぶり、10球団制となって初めて最下位に転落したハンファイーグルスキム・ソングンなど実績のある監督や、ハンファのOB出身のハン・ヨンドク監督では低迷から脱出できず、チーム初となる外国人監督、ベネズエラ出身のカルロス・スベロ監督が就任した。それとともにキム・テギュン(元千葉ロッテ)、イ・ヨンギュなどのベテラン選手たちが引退、または移籍し、大胆な若返りで最下位脱出を目指す。


【投手陣】

〈先発〉 
◎ キンガム、◎△ カーペンター、チャン・シファン、キム・イファン、キム・ミヌ、△ パク・チュホ
〈リリーフ〉
ユン・デギョン、パク・サンウォン、キム・ジョンス、チャン・ミンジェ、キム・ジニョン、キム・ジヌク、△キム・ボムス、△チョン・ウラム

注 : ◎は新加入、△は左腕
 2020年は外国人選手を含め先発投手陣は非常に脆弱だった。新外国人選手のうちキンガムは2020年にSKで故障のため未勝利のままシーズン途中で自由契約となったが、ハンファで巻き返しを図る。もう一人の新外国人選手のカーペンターは左の先発の柱として期待される。外国人選手が期待通りに活躍しても、韓国人の先発が機能しなければ厳しい戦いが待っている。2020年、韓国人選手で最も結果を残した先発は25歳のキム・ミヌだが、他チームの先発投手と比べると成績的に見劣りする。21歳のパク・チュホン、20歳のキム・イファンなどの若手の成長がチームの浮上に欠かせない。

 リリーフ陣は苦戦が続いた2020年、他チームに見劣りしない数少ない要素だった。2020年、一軍に定着したユン・デギョン、カン・ジェミンが中継ぎなどで大きな役割を果たした。抑えのチョン・ウラムは35歳となり、こちらもそろそろ後継者を探しておきたい。


【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:チェ・ジェフン

一塁:◎ヒーリー

二塁:△チョン・ウヌォン

三塁:ノ・シファン

遊撃:△ハ・ジュソク

外野:△ノ・スグァン、△チョン・ジンホ、△イム・ジョンチャン

DH:△イ・ソンヨル 

〈控え〉
(捕手) イ・へチャン、ホ・グァンフェ
(内野手) △カン・ギョンハク、△オ・ソンジン、パク・チョンヒョン、△ノ・テヒョン、チョ・ハンミン
(外野手) キム・ミンハ、ユ・ジャンヒョク、チャン・ウンホ、△チェ・インホ

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 2020年、攻撃力は10チーム中最も弱かった。野手陣は引退したキム・テギュンなどベテラン選手たちが去ったため大きく若返った。新外国人ヒーリーは2017年、2018年とMLBで2年連続20本塁打以上と実績があり、4番打者としての活躍が期待される。期待の若手として、2020年にチーム最多の12本塁打を記録した20歳のノ・シファンがあげられる。

 カルロス・スベロ監督はMLB傘下のマイナーリーグのチームでの指導経験が豊富で、若手を育てて起用しなければならないハンファではその手腕を大いに発揮しやすいと思われる。2020年、最下位での低迷が続くほど選手層が薄かったのも若手たちが一軍で経験を積むよいきっかけとなったため、それを土台に2021年の成長と活躍が期待できる。 

 

  2011年から2020年までの10年間で最下位が4度、ポストシーズン進出は2018年のみと低迷が続くハンファイーグルス。韓国シリーズ優勝も1999年のみと20年以上遠ざかっている。現役時代はエースとして活躍したチョン・ミンチョル団長(元読売)はチーム初の外国人監督に再建を託す大胆さを見せた。幸い示範競技までは良い雰囲気のもとチームの底上げが進んでいるように見えるが、経験の浅い若手が多くレギュラーシーズンでは思うような結果を残せないかもしれない。しかし目先の勝利を追わず、数年後の優勝を目指してチーム作りをする方向性は悪くない。まずは最下位脱出とファンたちも暖かく見守ってくれると思われる。


【本拠地】
 大田・ハンファ生命イーグルスパーク

 大田(テジョン)は韓国中西部の地方都市で、ソウルから南部への鉄道・高速道路の分岐点と交通の要所にある。1986年の球団創設(1993年までピングレイーグルス)以来本拠地としてきたハンバッ総合運動場野球場は、プロ野球開催時に「ハンファ生命イーグルスパーク」の名称で呼ばれる。応援ステージは1塁側に設けられ、8回裏ハンファの攻撃の際、1アウトから応援団長の笛の音だけで「チェ!ガン!ハン!ファ!」と大声でファンが叫ぶ応援(通称:肉声応援)が名物となっている。

 2025年以降の完成を目標に、現在の野球場と同じ敷地内にある陸上競技場を解体して新球場を建設する計画がある。球場の新設とリニューアルが進む中、一昔前のプロ野球の風情を残すハンファ生命イーグルスパークの風景も近い将来には見られなくなるのかもしれない。
 なお、主催試合は大田より40kmほど北の地方都市・清州(チョンジュ)で開催されることがある(2020年は開催されず)。

[交通アクセス]

Korail、大田都市鉄道1号線大田駅からバス(111-1番など)、タクシーで10分程度。
大田都市鉄道1号線・中央路(チュンアンノ)駅から111番バス、タクシーで5分程度。

 

(文責:ふるりん