DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第8回 サムソンライオンズ

世代交代を終え6年ぶりのポストシーズン進出へ


 2020年は優勝争いに加われず、ポストシーズン進出をかけた5位争いからも早く脱落し2年連続で8位に終わるも、ホ・サミョン監督の下で世代交代を進め一定の成果があったサムソンライオンズプロ野球史上初の韓国シリーズ5連覇を狙うも敗れた2015年以来6年ぶりとなるポストシーズン進出を目指す。


【投手陣】

〈先発〉 
ブキャナン、ライブリー、△チェ・チェフン、ウォン・テイン、△ペク・チョンヒョン、△ホ・ユンドン、ヤン・チャンソプ

〈リリーフ〉
ウ・ギュミン、キム・デウ、キム・ユンス、イ・スンヒョン、チェ・ジグァン、ホン・ジョンウ、△イム・ヒョンジュン、オ・スンファン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 

 先発投手陣の柱は、2020年にチーム最多の15勝を記録した韓国2年目の外国人選手ブキャナン(元東京ヤクルト)となる。韓国3年目となる外国人選手ライブリーは故障なくシーズンを過ごすことが求められる。2020年、韓国人で最多勝(11勝)で左の先発投手陣の柱に成長した26歳のチェ・チェフンが故障で開幕に間に合わず、33歳のベテラン左腕ペク・チョンヒョンの復活が望まれる。プロ4年目となる21歳のヤン・チャンソプ、プロ3年目となる20歳のウォン・テイン、プロ2年目となる19歳のホ・ユンドンなど若手の成長に期待したい。

 層が厚いとは言えない先発投手陣に対して、リリーフ陣は一定の質が保たれている。38歳となったオ・スンファンが抑えとして健在で、あと5セーブでプロ野球史上初となる個人通算300セーブを達成し、どこまで記録を伸ばせるかが注目される。イム・ヒョンジュン以外に信頼できる左腕の不在が弱点である。

 
【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:カン・ミンホ

一塁:◎△オ・ジェイル

二塁:キム・サンス

三塁:イ・ウォンソク

遊撃:△イ・ハクチュ

外野:△ク・ジャウク、△パク・ヘミン、◎ピレラ

DH:キム・ドンヨプ  

〈控え〉
(捕手)キム・ウンミン、キム・ドファン
内野手)キム・ジチャン、イ・ソンギュ、キム・ホジェ、△カン・ハヌル、チェ・ソンジン
(外野手) キム・ホンゴン、△イ・ソンゴン、パク・スンギュ、△ソン・ジュンソク
注:◎は新加入、△は左打者。

 オフシーズン最大の補強は、トゥサンからFAとなっていた左の大砲で一塁を守れるオ・ジェイルとの契約だったが、負傷により開幕には間に合わなくなった。そこでオ・ジェイルと同じ34歳のイ・ウォンソクが一塁を守ると思われる。2020年にチーム最多本塁打(20本)を記録したキム・ドンヨプなども故障で開幕に間に合わないが、幸い選手層は厚くなり何とかやりくりは可能である。

 2020年は機能しなかった外国人選手であるが、新外国人選手ピレラ(元広島)が中軸を任され結果を残すと攻撃力が増す。カン・ミンホ、キム・サンス、ク・ジャウク、パク・ヘミンなど従来からの主力選手は健在であり、新戦力が機能すれば他チームに引けを取らない打線が構成される。一方、30代の主力選手も少なくないため、プロ2年目の20歳のキム・ジチャンなど次代の主力となる若手の育成も課題である。

 
 現役では投手として一軍未勝利に終わり、コーチ経験もないホ・サミョン監督の抜擢は話題となったが、様子見だった2020年と異なり、2年目となる2021年は結果が求められる。2011年から2014年までの韓国シリーズ4連覇が完全に過去の栄光となった今、投手を中心に世代交代が完了し大邱サムソンライオンズパーク移転後の2016年から5年間続く低迷から脱出する時期が到来したと言える。


【本拠地】
大邱サムソンライオンズパーク
 

 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、リンゴの産地でもある。電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。中心市街地から小さな峠を越えた東側にある大邱サムソンライオンズパークは、2016年に完成した緑に囲まれたボールパークである。周囲には商店や食堂などは少ないが、大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園(テゴンウォン)駅の目の前にあり交通の便はよい。

 客席がサムソンのチームカラーの青に統一された特徴的なデザインの野球場には電光掲示板、観客席ともに最新鋭の設備が導入され、快適な観戦環境が提供されている。この野球場は西日が差し込まないようにするためホームが三塁側となっている。3塁側内野応援席の上には、過去の韓国シリーズ優勝を記念したプレートが掲げられ、1塁側ライトポール付近には2017年に引退した大打者イ・スンヨプ(元オリックス)の肖像画が描かれ、ボール型のモニュメントも置かれている。ファールグラウンドが狭くて内野席の臨場感もあり、他の韓国のプロ野球本拠地球場に見られない八角の形状である。
 なお、大邱から東へ約70kmの地方都市・浦項(ポハン)でも主催試合が開催されることがある(2020年は開催されず)。


[交通アクセス]
 大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園駅4,5番出入口の目の前にある。高速鉄道KTXが停車する東大邱駅前の複合乗換センターから大邱サムソンライオンズパーク方面への937番バスで15〜20分程度。
 
(文責:ふるりん