DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第9回 LGツインズ

「低迷の中にも新たな芽生えが」 
2015年成績 : 64勝78敗3分け(公式戦9位)
チーム総合採点…30点


1. 【突然訪れた転換期】
 2014年シーズン途中の5月に就任し、下位から低迷していたチームを2年連続のポストシーズンに導いたヤン・サンムン監督は、投打ともに経験豊富な選手がそろった2015年シーズンは本当の勝負の一年だった。しかし現実は非常に厳しかった。

 3月28日の公式戦開幕戦を前に、主力選手の怪我などで不安が広がった。特に2014年オフシーズンに手術を受けた先発要員リュ・ジェグク、ウ・ギュミンの不在が大きかった。また新外国人野手ハナハンも開幕前の海外キャンプでの故障で開幕に間に合わなかった。3月28日、敵地・光州でのキアとの開幕戦から、31日の本拠地・蚕室での地元開幕戦となったロッテ戦まで3連敗となった。4月1日のロッテ戦、延長10回裏キム・ヨンウィのタイムリーでサヨナラ勝ちし2015年シーズン初勝利をあげた。4月12日のトゥサン戦では、9回裏ベテランのイ・ジニョンが逆転2ランでサヨナラ勝ちし、勢いに乗るかに思われた。
 4月20日、新球団KTとの2対1トレードで控え捕手ユン・ヨソプ、控え内野手のパク・ヨングンの代わりに20歳の若手投手イ・ジュンヒョンを獲得した。4月末まで何とか勝率5割を保ったが、5月6日のトゥサン戦で7連敗となり9位にまで後退してしまった。5月9日のKT戦でウ・ギュミンがシーズン一軍初先発を果たしたが、打線の援護がなく敗れてしまった。外国人野手ハナハンも一軍に合流し反撃ののろしを上げるかに思われたが、投手陣は何とか奮闘するものの、主力に35歳以上のベテランがそろった打線に勢いがなく勝てない試合が続いた。
 5月20日のロッテ戦は、期待される若手ナ・ソンヨンの本塁打などで20-12の大乱打戦を制した。しかし翌21日のロッテ戦は11-19で敗れ大味な試合が続いた。5月31日のサムソン戦までの4連敗でまた上位が遠のいたが、6月2日のNC戦でウ・ギュミンの好投とイ・ビョンギュ(背番号7)、パク・ヨンテクなどの本塁打攻勢で18-5と大勝し連敗から脱出した。6月5日のSK戦、延長12回裏チェ・ウンソンのタイムリーでサヨナラ勝ちし4連勝で、5月までの下位低迷から巻き返し4位で終えた2014年シーズンの再現なるかと予感させた。
 6月半ば、打撃はよかったが守備・走塁面でのマイナス面が大きかったハナハンを退団させ、サードを守れる新外国人野手ルイス・ヒメネスと契約し浮上を図った。しかし勝率5割に近づくことはできず、上位との差は開くばかりだった。そして6月末の飲酒運転により、リリーフで起用されていたチョン・チャンホンが7月から3か月間の出場停止処分を受け、戦力はさらに苦しくなった。また主軸として期待されていたイ・ビョンギュ(背番号7)も不振で二軍へ降格した。
 シーズン半ばを過ぎても停滞は続いたため、7月24日、SKと3対3の大型トレードを断行した。期待されながらもLGではレギュラーの座をつかめなかった外野手チョン・ウィユン、左投手シン・ジェウンらの代わりに、同じくSKでは機会に恵まれなかった外野手イム・フン、左の中継ぎチン・ヘスなどを獲得した。この2人は戦力として機能したものの、チームを大きく変えるには至らなかった。
 8月13日のSK戦は16-7と大勝し、イ・ジニョン、パク・ヨンテク、オ・ジファン、ヤン・ソックァン、チェ・ウンソンの本塁打など先発全員長打というプロ野球史上2度目の珍記録が生まれた。だが打線の状態は上向くことなく、8位以上との差は縮まることはなくポストシーズン進出が可能な5位以上は絶望的な状況となってきた。8月22日はパク・ヨンテクのタイムリー、翌23日はオ・ジファンの本塁打でともにネクセン相手に2試合連続サヨナラ勝ちと、ファンが留飲を下げる試合もないわけではなかった。
 9月4日のKT戦、先発の左腕キム・ジヨンがプロ初勝利をあげる好投やイム・フンの活躍で4連敗から脱した。9月8日のハンファ戦は試合時間5時間25分と2015年シーズンプロ野球最長時間の激闘となり、延長12回裏大卒新人パク・チギュのタイムリーで8-7とサヨナラ勝ちした。35歳のベテランのチョン・ソンフンが自動車事故で出場停止となり、上位進出もほぼなくなったためヤン・ソックァン、ソ・サンウなどの若手を先発に起用し、今後を見据えた戦いに方針を転換した。
 9月27日のキア戦では外国人投手ルーカス・ハレル、翌28日のキア戦ではウ・ギュミンがそれぞれ10勝目をあげ4連勝となった。だが10月2日のハンファ戦で敗れチーム史上初のシーズン9位が確定した。そして10月6日の公式戦最終戦、キア戦でもソーサが10勝目をあげ勝利し、やや上向きの状態で優勝争いや上位争いから早々と脱落した2015年シーズンを終えた。
 
 

2. 【チーム分析】
 2015年シーズン、LGは打線が弱く投手陣を援護できず下位に低迷した。チーム打率.269は10チーム中9位、チーム本塁打数114は最下位、チーム総得点653は9位であった。また得点圏打率.245は最下位と、得点効率の悪さが浮き彫りとなった。

 攻撃力に乏しい打線で中心となったのは、36歳という年齢を感じさせなかったパク・ヨンテクだった。18本塁打・83打点はチームの二冠王でプロ野球史上初となる2012年以降4年連続150安打を記録した。シーズン前半で12本塁打を記録したイ・ビョンギュ(背番号7)の離脱が惜しまれた。内野では攻守ともにチーム最多の138試合に出場し、チーム最多の25盗塁を記録したショートのオ・ジファンが中心となった。シーズン途中の6月に入団した外国人打者ヒメネスも9月以降調子を上げ、11本塁打と健闘した。
 イ・ジニョン、チョン・ソンフンなどここ5年以上チームの主力として活躍してきたベテランが衰えを見せる中、ヤン・ソックァン、パク・チギュ、ソ・サンウなど新しい戦力の台頭も見られた。23歳のユ・ガンナムは128試合に出場し正捕手の座に大きく近づいた。これらの選手の代わりにキム・ヨンウィ、ムン・ソンジェといったレギュラーとしての活躍も期待された選手の伸び悩みも見られた。41歳の大ベテラン、イ・ビョンギュ(背番号9・元中日)も51試合だけの出場、1本塁打に終わった。近年のLGを支えてきた野手の多くが年齢による衰えが隠せなくなり、一気に新旧交代の端境期に差し掛かってしまった。

 打線とは対照的に、投手陣は健闘したと言える。チーム防御率4.62は10チーム中2位、チーム総失点721は8位だった。
 先発投手陣はチーム最多勝のウ・ギュミン(11勝)、外国人投手ソーサ、ルーカス(以上10勝)と2ケタ勝利投手が3人、打線の援護がなく4勝どまりだったリュ・ジェグクと頭数はそろっていた。イム・ジョンウも先発、リリーフともに起用され6勝を記録した。近年リリーフ陣の中心だった左腕ポン・ジュングンがチーム最多の15セーブを記録したが、終盤は先発に起用されることもあった。チーム最多の78試合登板の左腕ユン・ジウン、60試合登板のイ・ドンヒョンがそれぞれ中継ぎの柱だった。ワンポイントリリーフとしては右のサイドハンドのシン・スンヒョン、7月にSKからトレードで移籍してきた左のチン・ヘスが起用された。


3. 【オフシーズンの動向】
 FA市場ではSKの正捕手だったチョン・サンホと契約し、攻守ともに期待がかかる。また唯一のFA選手だったイ・ドンヒョンとも再契約し、リリーフの柱としての活躍が予想される。外国人選手はソーサ、ヒメネスと再契約し、10勝したもののあまり特徴がなかったルーカスは再契約を見送られ、代役の新外国人投手と契約すると見られる(2月6日現在未定)。また余剰戦力を対象とした2次ドラフトでベテランのイ・ジニョンがKT、期待の大砲だったナ・ソンヨンがサムソンへと移籍した。
 全体としては2015年シーズン終盤に見られた方向性を維持し、台頭してきた新しい芽を育てて世代交代を推進していくと思われる。2016年シーズン、結果を性急に求めず、将来を見据えたチーム作りを期待したい。

(文責:ふるりん