DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2022年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  韓国シリーズ : トゥサン−NC 展望

 2016年、公式戦を圧倒的な強さで制しプロ野球新記録となるシーズン93勝を記録したトゥサンは、準プレーオフから出場し公式戦優勝のサムソンをやぶって優勝した前年2015年と違い、強者としての余裕をもって韓国シリーズに臨む。


 トゥサンの最大の強みは10チーム中最高といっていい先発陣である。2015年もポストシーズンで好投し優勝の立役者となり、2016年は最多勝(22勝)、最優秀防御率(2.95)の外国人投手ニッパートが絶対的な軸である。公式戦終盤は9連勝と調子も衰えておらず、予告先発となった第1戦でトゥサンは勝ち星を計算していると思われる。また最多奪三振で18勝の外国人投手ボウデン(元埼玉西武)、韓国人左腕のチャン・ウォンジュンとユ・ヒィグァンはともに15勝ずつと、他チームならエース級の先発投手が4人もそろっている。
 その反面リリーフは心もとない。チーム最多の25セーブを記録した左腕イ・ヒョンスンは公式戦終盤に調子を落とし、中継ぎの軸だったチョン・ジェフンは肩の故障で韓国シリーズに出場しない。右のユン・ミョンジュン、キム・ソンベ、左のイ・ヒョンホ以外にも、兵役を終え9月に復帰したイ・ヨンチャン、ホン・サンサム、故障明けのハム・トクチュ、キム・ガンニュルも韓国シリーズに出場することになり、質より量でリリーフ陣の不安を補おうとしている。
 打線は広い蚕室野球場を本拠地としながらもチーム本塁打数が10チーム中1位(183本)、打率(.298)、得点(935)も1位と圧倒的な破壊力を誇る。主に4番を任されたのは2016年シーズン、突然変異と言っていい好成績をあげたキム・ジェファンで、37本塁打、124打点とチームの二冠王となった。また左の大砲オ・ジェイル(27本塁打)、走攻守三拍子そろったパク・コヌ(20本塁打・20盗塁)、外国人打者エバンス(24本塁打・元東北楽天)と20本塁打以上の打者が4人そろい、開幕前はメジャーリーグベースボール(MLB)・ボルティモアオリオールズへ移籍したキム・ヒョンスの空白が不安視されたが、予想以上の選手の成長と補強の成功で攻撃力は格段にスケールアップした。これに捕手のヤン・ウィジ、内野のホ・ギョンミン、キム・ジェホ、外野のミン・ビョンホン、チョン・スビンなど2015年の韓国シリーズ優勝に貢献した選手も健在で、チェ・ジュファン、クク・ヘソン、パク・セヒョクなど控え選手の実力も高く死角は見当たらない。

 
 2013年の一軍参入から4年目にして初の韓国シリーズ進出を果たしたNC。プレーオフはすでにワイルドカード決定戦、準プレーオフを戦い抜き疲労が隠せなくなっていたLG相手に3勝1敗と総合力の差を見せたが、2位だった公式戦で9ゲーム差をつけられたトゥサン相手にはそうもいかない。そしてプレーオフ同様、個人的な事情で韓国人投手最多の12勝を記録したイ・ジェハクが韓国シリーズにも出場しない。
 プレーオフでも公式戦同様ハッカー、スチュアートの両外国人投手は好投を見せたが、これに続く3番目の先発投手が心もとない。プレーオフ第3戦では21歳の若手右腕チャン・ヒョンシクが先発として起用されたが、四球を連発し2回持たず降板した。公式戦の成績では11勝の右腕チェ・グムガンが予想されるが、リリーフとしての起用も考えられるため、キム・ギョンムン監督は直前まで慎重に考えるであろう。オ・ジェイル、キム・ジェファンなど中軸に左打者が2人いるトゥサン相手では、19歳の左腕ク・チャンモの先発起用の可能性もある。リリーフ陣は健在で、プレーオフ同様中継ぎはウォン・ジョンヒョン、イム・チャンミン、キム・ジンソン、イム・ジョンホなど、抑えはイ・ミンホの起用が予想される。
 NC打線は総合力でトゥサンには劣るが、「ナテイパク」と呼ばれるナ・ソンボム、テームズ、イ・ホジュン、パク・ソンミンの4人の中軸打者の破壊力は劣っていない。プレーオフでは第1戦で出場停止だったテームズも、第4戦で本塁打を打ち復調の気配を見せ、過去のポストシーズンでは活躍できなかったナ・ソンボムも調子を上げてきた。40歳で経験豊富なイ・ホジュンも怖いが、プレーオフは2本塁打でMVP(最優秀選手)を受賞したパク・ソンミンが韓国シリーズも勝敗の行方を左右するかもしれない。そして2013年までトゥサンで活躍していたイ・ジョンウク、ソン・シホンのベテラン野手2人も、古巣相手の韓国シリーズでは並々ならぬ意気込みを見せるであろう。また公式戦で15本塁打と勝負強い打撃を見せ、プレーオフ第4戦で試合を決定づける本塁打を打ったキム・ソンウク、チャンスメイカーのパク・ミヌにも要注意である。チ・ソックン、チョ・ヨンフン、クォン・ヒィドン、モ・チャンミンなどの控え野手は、試合の流れを変える代打として期待したい。


 10月8日からの公式戦終了から20日間試合がなく、真剣勝負の場がなかったチーム状態に不安はあるが、先発投手陣がそろい、打線にも切れ目がなく大一番での経験で相手を上回るトゥサンが有利な展開が予想される。かといって先発投手陣の層が薄いが傑出した打者が少なくないNCにも勝機がないわけではない。2015年のサムソンに続いてグラウンド外の事情により、またもや一部の主力選手を欠く韓国シリーズという非常に残念な事態となったが、白熱した展開で不祥事を忘れさせる秋のプロ野球最大の祭典となることを願うばかりである。

 
(文責 : ふるりん