DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第10回  KTウィズ 

 プロ野球10番目の新球団として誕生し、2015年シーズンより一軍に出場するKTウィズ。2014年は二軍のみに出場し、オフシーズンは特別指名により他球団から実績のある選手や有望な若手を獲得、FAとなっていた他球団出身の3人の選手と契約した。


【投手陣】

〈先発〉 
アーウィン、◎オクスプリング、△シスコ、パク・セウン、△◎チョン・デヒョン、△シム・ジェミン
〈中継ぎ〉
△◎ユン・グニョン、コ・ヨンピョ、◎チャン・シファン、◎イ・ソンミン、◎キム・ギピョ、◎オム・サンベク、△◎イ・チャンジェ
〈抑え〉
◎キム・サユル

注 : ◎は新加入、△は左腕
 新球団らしく、主力の大半が新たに移籍してきた選手となる。特例で2015年シーズンは他球団より一人多い4人の外国人選手と契約できるため、3人の外国人投手と契約した。韓国で長年実績のあるオクスプリング(元阪神)、韓国1年目のアーウィン、2014年シーズン途中からKTに所属している長身左腕シスコにチームの命運がかかっている。また2014年二軍リーグで活躍し高卒2年目ながらエース候補のパク・セウン、同期のシム・ジェミンと、期待の若手もいる。
 リリーフは特別指名でハンファから移籍してきたFAでロッテから移籍してきたキム・サユルなどが抑えを任されるであろうが、近年精彩を欠いていて不安が残る。最初はリリーフとしての起用となるであろうが、コ・ヨンピョ、オム・サンベク、イ・チャンジェなど生え抜きの若手から先発に抜擢される者が出てくると面白い。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・デヒョン(中) ◎△ 
2.キム・サヨン(右) 
3.マルテ(三)  ◎  
4.キム・サンヒョン(左) ◎ 
5.チョ・ジュングン(一) △
6.チャン・ソンホ(指) ◎△
7.パク・キョンス(二) ◎  
8.ヨン・ドカン(捕) ◎
9.パク・キヒョク(遊) ◎ 


〈控え〉
(捕手) アン・ジュンヨル、◎ユン・ドギョン
(内野手) シン・ミョンチョル、ムン・サンチョル、キム・ドンミョン、イ・ジチャン、シム・ウジュン
(外野手) △シン・ヨンスン、ソン・ミンソプ、ペ・ビョンウク、チョン・ミンス

注 : △は左打者。◎は新加入。
2013年シーズンオフ、FAでキアと4年契約を結んだ4度の盗塁王の実績があるイ・デヒョンが特別指名で移籍することが分かったとき、あまりの意外さに誰もが驚いた。女性ファンが多く、人気面でも新球団を引っ張ることが期待される。だがその他はキア在籍時の2009年、本塁打・打点の二冠王以外シーズンを通して活躍していないキム・サンヒョン、通算2000本安打を達成しているが2014年はロッテで無安打だったチャン・ソンホが中軸候補と心もとない。新外国人打者マルテにも過度の期待は禁物だ。
 FAでロッテから移籍してきたパク・キヒョク、LGから移籍してきたパク・キョンスと、経験豊富な2人が二遊間を組み下位打線を任されると思われる。またハンファ、ネクセンで活躍できなかったが、開幕前の海外キャンプや示範競技で評価を上げた26歳の外野手キム・サヨンがレギュラー候補として台頭し、開幕一軍をつかんだ。こういう他球団で埋もれていた選手たちが新球団で活躍すれば、人材難も少しずつ解消されるはずだ。


 新球団KTは示範競技で4勝8敗と負け越したが、完封勝ちも記録するなど自信をつけていった。2015年シーズンから公式戦は144試合と増加するため、厳しい長丁場を戦ったことがない新球団にとってはかなりの試練となる。現実的には数年先の上位進出を考え、できるだけ1勝でも多くあげて将来を担う若い選手たちを育てていきたい。



本拠地
 水原総合運動場野球場
 
 新球団KTウィズの本拠地・水原(スウォン)は首都圏南部の大都市であり、中心市街地を囲む世界文化遺産の華城(ファソン)の城郭都市として知られている。総合運動場は華城から2km北西に離れた市街地にあり、体育館や総合競技場の横に野球場がある。
 この野球場は2000年から2007年まで現代ユニコーンズの本拠地として利用されていたが、将来のソウル市内移転を考えていた仮の本拠地であったため、地元住民の情熱を得られず球団も経営難により解散となった(選手の大半は2008年創設された現在のネクセンヒーローズへ移籍)。現代ユニコーンズ最後の試合が行われた2007年10月から7年半近くたった2015年3月、水原の街にプロ野球が返ってくる(最初の主催試合は3月31日のサムソン戦)。
 野球場は2013年から2014年にかけて大規模に改装され、最新鋭の設備が整った「水原KTウィズパーク」として生まれ変わった。内野のホームベース付近に2階席が新設され、2万人以上収容できるようになった。


 2015年シーズンの入場料金は以下の通り。内野指定席は平日(火−木)10000ウォン、週末(金−日)・祝日12000ウォン。スカイゾーン(内野上段)は平日9000ウォン、週末・祝日10000ウォン。フーフーゾーン(バックネット付近)は平日15000ウォン、週末・祝日20000ウォン。エキサイティングゾーンは平日20000ウォン、週末・祝日は25000ウォン。Mモバイルゾーン(一塁ダッグアウト付近)、フェイクゾーン(三塁ダッグアウト付近)は全日35000ウォン。BCラウンジゾーン(バックネット裏前列)は全日40000ウォン。ジニーゾーンは全日50000ウォン。
外野芝生・自由席は平日8000ウォン、週末・祝日は9000ウォン。外野自由席は平日7000ウォン、土日・休日8000ウォン。その他外野にはカップル席、団体観戦用のバーベキュー席、ハイトポップゾーン(要予約)もある。

(3月27日現在の為替レート:10000ウォンが約1076円。)


[交通アクセス]

【水原総合運動場野球場(水原KTウィズパーク)】

近隣に鉄道の駅はなく、最も近いのはKORAIL首都圏電鉄・華西(ファソ)駅でタクシーで10分程度。水原駅からはタクシーで20分程度。両駅からは路線バスも運行されている。
また、ソウル市内からだと地下鉄2・4号線の舎堂(サダン)駅から水原方面への7770番バスが便利で、野球場のすぐ横のバス停に着く。KTウィズの主催試合開催に合わせ、7770番が停車するバス停も改装されわかりやすくなっている。その他、ソウル地下鉄2号線江南(カンナム)駅から3000番バスも運行されている。

(文責 : ふるりん