DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第3回 KTウィズ

2年連続ポストシーズン、韓国シリーズ初出場・優勝を狙う

 韓国で10番目のプロ野球チームとして2015年に一軍へ参入するも2018年まで最下位争いを続け、2019年にようやく6位に浮上、2020年はレギュラーシーズン2位で初のポストシーズン進出と着実に実力をつけてきた。惜しくもポストシーズンは経験不足を露呈しプレーオフで敗退したが、投打ともに戦力は充実、2年連続のポストシーズン進出、そして韓国シリーズ初出場・優勝を狙う。


【投手陣】

〈先発〉 
デスパイネ、クエバス、ソ・ヒョンジュン、ペ・ジェソン、コ・ヨンピョ、キム・ミンス
〈リリーフ〉
◎パク・シヨン、チョン・ユス、△チョ・ヒョヌ、チュ・グォン、ユ・ウォンサン、◎アン・ヨンミョン、イ・ボグン、△ハ・ジュンホ、キム・ジェユン
注 : ◎は新加入、△は左腕
 先発投手陣はリーグ屈指の顔ぶれとなった。2020年は唯一リーグで200イニング以上を消化したデスパイネ、韓国3年目のクエバスの両外国人選手、13勝を記録した2020年の新人王で若きエースへ成長している19歳のソ・ヒョンジュン、2019-2020年に2年連続10勝を記録した24歳のペ・ジェソンに加え、かつて先発投手陣の一角として活躍した29歳のコ・ヨンピョが軍から除隊され復帰し層が厚くなった。

 リリーフ陣はベテランが比較的多いが先発投手と同じように層は厚い。これにロッテからトレードで移籍したパク・シヨン、ハンファを自由契約となったアン・ヨンミョンが加わった。抑えは2020年と同じくキム・ジェユンが任されると思われる。

 

【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:チャン・ソンウ

一塁:△ カン・ベッコ

二塁:パク・キョン

三塁:ファン・ジェギュン

遊撃:シム・ウジュン

外野:×◎アルモンテ、△チョ・ヨンウ、ペ・ジョンデ

DH:ユ・ハンジュン
〈控え〉
(捕手)  イ・ホング、ホ・ドファン
(内野手) カン・ミングク、△パク・スンウク、△チョン・サンホ、◎シン・ボンギ
(外野手)  ムン・サンチョル、△キム・ミンヒョク、ソン・ミンソプ、△ホン・ヒョンビン

注 : △は左打者、×は両打ち。◎は新加入。

 

 リーグ最多本塁打と最多打点の打撃二冠、2020年のリーグMVP(最優秀選手)を受賞したロハスが国外へ移籍し、その穴を埋める外国人選手として同じスイッチヒッターアルモンテ(元中日)と契約したが未知数である。だがその他の顔ぶれに大きな変化はない。プロ4年目を迎えて4番打者としてプロ野球を代表する選手へのスケールアップが期待されるカン・ベッコの前後をファン・ジェギュン、パク・キョンス、ユ・ハンジュンなどの経験豊富な選手たちが固める。

 2020年はリーグ最多盗塁のシム・ウジュン、他にもペ・ジョンデ、チョ・ヨンホなど俊足のチャンスメイカーもそろい、上位から下位まで切れ目のない打線が構成される。ポストシーズンでの敗因となった控えの層を厚くするため、内野のユーティリティーであるシン・ボンギをロッテからトレードで獲得した。

 

 就任3年目となったイ・ガンチョル監督にとっても、戦力が充実し選手たちが自信をつけた2021年シーズンは勝負の年となる。KTよりも2年早くプロ野球に参入したNCが10年もたたないうちに韓国シリーズ初優勝したのを見て、自分たちにもチャンスはあると確信しているであろう。2010年以前には影も形もなかったこの2つのプロ野球チームが、2020年代プロ野球を牽引していくのかもしれない。

 

【本拠地】
水原KTウィズパーク

 KTウィズの本拠地・水原(スウォン)はソウルから南へ約40kmに位置し、中心市街地を囲む世界文化遺産の華城(ファソン)の城郭都市である。総合運動場は華城から2km北西に離れ、その北端に水原KTウィズパークがある。この野球場は2000年から2007年まで現代ユニコーンズ(解散)の本拠地として利用されていた。KTウィズが創設され一軍へ参入した2015年、観客席の増設工事などで大幅にリニューアルされ本拠地として使用している。

 観客席はチームカラーの赤で統一され、外野には大型の電光掲示板が設置されるなど快適な観戦環境が提供されている。1塁側のKT応援席では、暑い真夏のナイターで大量の水を放射して涼を求める「ウォーターフェスティバル」が開催されたこともあり、ライトポール付近にはウォータースライダーも設置されるなど、エンターテイメント性も追及されている。


[交通アクセス]
 近隣に鉄道の駅はない。最寄りはKORAIL首都圏電鉄・華西(ファソ)駅でタクシーで10分程度。大田(テジョン)、釜山(プサン)などからの長距離列車が停車するKORAIL水原駅からはタクシーで20分程度。水原駅からは7770番などのバスも運行されている。
 また、ソウル市内からはソウルメトロ2・4号線の舎堂(サダン)駅から水原方面への7770番バスが球場北西側のバス停に止まる。


(文責:ふるりん