DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第10回  KTウィズ 

 プロ野球10番目の新球団として誕生し、初の一軍参入となった2015年は最下位に終わったKTウィズ。最下位脱出を果たすべくFAで勝負強い打撃で知られるベテラン外野手ユ・ハンジュンを獲得し、2年目の2016年シーズンの飛躍を狙う。


【投手陣】

〈先発〉 
◎バンワート、◎マリモン、◎ピノ、△チョン・デヒョン、オム・サンベク
〈リリーフ〉
コ・ヨンピョ、チョ・ムグン、チャン・シファン、キム・ジェユン、△ホン・ソンヨン、キム・サユル、△チョン・ソンゴン、△シム・ジェミン、チェ・デソン

注 : ◎は新加入、△は左腕
 2016年シーズンまで、新球団の特例として他チームより1人多い4人の外国人選手と契約できるため、先発投手3人を外国人にすることができる。2014年7月から2015年7月までSKで活躍していたバンワート、韓国は初となるコロンビア出身のマリモン、ベネズエラ出身のピノはすべて右腕で、韓国に適応できれば強力な三本柱となる。2015年5勝をあげた左腕チョン・デヒョンが最も信頼できる韓国人先発投手となり、同じく5勝をあげた19歳の高卒2年目の若手オム・サンベクにも期待が集まる。2015年は10チーム中最低の防御率5.56に終わり投手陣の層は明らかに薄いため、他の若手にもチャンスはある。
 リリーフでは2015年抑えを任されていたチャン・シファン、大卒新人ながら中継ぎの柱となったチョ・ムグン、アメリカ帰りの捕手から転向したキム・ジェユンが中心となる。左腕も比較的多く、先発が長いイニングを投げられなくても継投で試合を作っていく顔ぶれはそろっている。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・デヒョン(中) △ 
2.キム・サヨン(左) 
3.マルテ(三)    
4.キム・サンヒョン(一)  
5.ユ・ハンジュン(右) ◎
6.パク・キョンス(二) △
7.ムン・サンチョル(指)  
8.ユン・ヨソプ(捕) 
9.パク・キヒョク(遊) 


〈控え〉
(捕手) チャン・ソンウ、◎イ・ヒィグン
(内野手) キム・ドンミョン、シム・ウジュン、パク・ヨングン、キム・ソンミン、◎キム・ヨンフン
(外野手) オ・ジョンボク、△ハ・ジュンホ、ペ・ビョンウク、◎△イ・ジニョン

注 : △は左打者。◎は新加入。
 2015年、ネクセンで自己最多の119打点を記録した34歳のユ・ハンジュンの加入で、攻撃力が格段に向上した印象が強い。その他KTで本塁打王に輝いたキア時代の輝きを取り戻しつつあるキム・サンヒョン、2015年首位打者争いに加わった外国人打者マルテが中軸を打つ。上位打線はイ・デヒョンが軸となる。示範競技で6本塁打と好調だったキム・サヨン、大砲の片りんを見せつつあるムン・サンチョルなども面白い存在だ。
 だが、2015年ロッテから移籍し正捕手として活躍したが、10月に発覚した私生活上の不祥事で開幕から50試合出場停止となったチャン・ソンウの不在が大きい。代役となる捕手ユン・ヨソプも打撃には定評がある。また、2015年NCから移籍し外野のレギュラーに定着したオ・ジョンボクも、3月中旬飲酒運転が発覚し開幕から15試合の出場停止を受けている。2015年シーズンオフの余剰戦力を対象とした2次ドラフトでLGから移籍したベテラン外野手イ・ジニョンも、負傷で開幕に間に合わなかった。


 2015年、シーズン開幕当初は経験不足で選手層も薄く絶望的な状況だったが、トレードで補強し戦力を整えシーズン後半は他チームとそん色ない戦いをつづけたKTウィズ。成長軌道に乗って2016年シーズンはまず最下位から脱出し、一軍参入2年目の2014年に初のポストシーズン進出を果たしたNCのように快進撃を見せることができるのであろうか。経験豊富なチョ・ボムヒョン監督の手腕にも期待したい。


本拠地
 水原KTウィズパーク
 
 新球団KTウィズの本拠地・水原(スウォン)は首都圏南部の大都市であり、中心市街地を囲む世界文化遺産の華城(ファソン)の城郭都市として知られている。総合運動場は華城から2km北西に離れた市街地にあり、その北端に水原KTウィズパークがある。隣のメイン競技場はサッカーKリーグ水原FC、体育館はプロバレーボール・現代建設ヒルステートの本拠地として利用されている。
 この野球場は2000年から2007年まで現代ユニコーンズの本拠地として利用されていたが、将来のソウル市内移転を考えていた仮の本拠地であったため、地元住民の情熱を得られず球団も経営難により解散となった(選手の大半は2008年創設された現在のネクセンヒーローズへ移籍)。現代ユニコーンズ最後の公式戦から7年半近くが過ぎた2015年3月31日、水原KTウィズパークとして大幅にリニューアルされたこの野球場で久しぶりのプロ野球公式戦が行われた。観客席は赤色で統一され、外野には大型の電光掲示板が設置されるなど最新鋭の設備が目立つが、内野観客席の一部にはかつての面影も多少残っている。現在最も新しいプロ野球チームであるだけに、他チームと比べて熱心なファンも少ないとは思われるが、地元自治体の支援もあり徐々に地元に根付き新たなプロ野球ファンの拡大に貢献していくと思われる。また首都圏の球場であるため、3塁側のビジター応援席もにぎわうことが多く、規模は小さいがビジターチームのグッズショップもある。












[交通アクセス]

【水原総合運動場野球場(水原KTウィズパーク)】

近隣に鉄道の駅はなく、最も近いのはKORAIL首都圏電鉄・華西(ファソ)駅でタクシーで10分程度。水原駅からはタクシーで20分程度。両駅からは路線バスも運行されている。
また、ソウル市内からだと地下鉄2・4号線の舎堂(サダン)駅から水原方面への7770番バスが便利で、野球場のすぐ横のバス停に着く。KTウィズの主催試合開催に合わせ、7770番が停車するバス停も改装されわかりやすくなっている。その他、ソウル地下鉄2号線江南(カンナム)駅から3000番バスも運行されている。

(文責 : ふるりん