DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第10回  KTウィズ 

 10番目のプロ野球団として2015年に一軍へ参入したが、2017年まで3年連続最下位と厳しい現実を見せつけられたKTウィズ。オフシーズンには2016年までロッテで活躍し、2017年はMLBメジャーリーグベースボール)・サンフランシスコジャイアンツに所属した内野手ファン・ジェギュン、トゥサンで活躍した外国人選手ニッパートと契約し補強に努めた。


【投手陣】

〈先発〉 
△フィアベンド、◎ニッパート、コ・ヨンピョ、チュ・グォン、◎△クム・ミンチョル、リュ・ヒィウン
〈リリーフ〉
キム・ジェユン、△ホン・ソンヨン、◎コ・チャンソン、△シム・ジェミン、△チョン・ソンゴン、オム・サンベク、イ・サンファ
注 : ◎は新加入、△は左腕
 最も注目されるのが2011年から2017年までトゥサンに在籍し、外国人選手としては史上最多の個人通算94勝を記録するニッパートである。だが2017年は14勝を記録するも36歳という年齢もありトゥサンが再契約を見送るなど、不安も少なくない。2017年に最優秀防御率(平均自責点)の個人タイトルを受賞した韓国4年目の外国人選手フィアベンドが先発投手陣の軸となる。
 韓国人選手では2017年に8勝を記録したサイドハンド右腕の26歳コ・ヨンピョが先発投手陣に欠かせない。だがそれ以外の人材が弱く、2017年は期待されながら5勝に終わった22歳のチュ・グォン、ネクセンから移籍した左腕クム・ミンチョルなどが先発投手陣に入ると思われる。
 先発と比べれば比較的人材はそろっているリリーフでは、キム・ジェユンが2017年シーズン途中から不調に陥ったことで抑えが確立されていない。2017年に自身最高の成績を残したがすでに30歳となったイ・サンファ以外にも、過去にトゥサンでリリーフとして活躍していたコ・チャンソン、若手のシム・ジェミンなどが候補にあげられよう。



【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.ロハス(中) △ 
2.チョン・ヒョン(遊) 
3.ユ・ハンジュン(右)    
4.ユン・ソンミン(一) 
5.ファン・ジェギュン(三) ◎
6.パク・キョンス(二) 
7.カン・ベッコ(左) ◎△  
8.イ・ジニョン(指) △ 
9.チャン・ソンウ(捕) 


〈控え〉
(捕手) イ・ヘチャン、イ・ジュンス
(内野手) シム・ウジュン、△ナム・テヒョク、イ・チャンジン、パク・キヒョク
(外野手) △チョン・ミンス、△ハ・ジュンホ、オ・ジョンボク、△イ・デヒョン

注 : △は左打者。◎は新加入。
 高卒新人カン・ベッコが海外キャンプでの練習試合、示範競技で出場しその才能の片鱗を見せ大きな期待を集める。高校時代は投手兼捕手だったが、KTでは外野手として起用される。過度な期待は禁物だが、歴史の浅いKTウィズにとっては待望の生え抜きのスター候補でもある。また2016年までロッテの主力内野手だったファン・ジェギュンの加入により、迫力不足の打線に厚みが増した。
 2017年まで主に1番打者を任されたイ・デヒョンは負傷からの回復に時間がかかり、走攻守そろった外国人選手ロハスが主にその役割を任されると思われる。37歳のイ・ジニョン、36歳のユ・ハンジュン、33歳のパク・キョンス、32歳のユン・ソンミンなど全体的に主力野手の年齢が高く、将来を考えるとカン・ベッコ以外にも若手の台頭が必須である。23歳のチョン・ヒョンが攻守ともに成長することが期待される。


 2018年シーズンは就任2年目となるキム・ジヌク監督は、チームの目標を勝率5割であるとしている。だが戦力的にはまだ他の9球団と比べて投打ともに上回る要素は小さい。したがって最下位脱出、初のシーズン勝率4割台が現実的な目標となろう。だが予想を裏切る快進撃も期待したい。



本拠地
 水原KTウィズパーク
 
 KTウィズの本拠地・水原(スウォン)はソウルから南へ約40kmに位置し、中心市街地を囲む世界文化遺産の華城(ファソン)の城郭都市として知られている。総合運動場は華城から2km北西に離れ、その北端に水原KTウィズパークがある。隣のメイン競技場はサッカーKリーグ水原FC、体育館はプロバレーボール・韓国電力ビックストームと現代建設ヒルステートの本拠地として利用されている。
 この野球場は2000年から2007年まで現代ユニコーンズの本拠地として利用されていたが、将来のソウル市内移転を計画していた仮の本拠地であったため、地元住民の情熱を得られず球団も経営難により解散となった(選手の大半は2008年創設された現在のネクセンヒーローズへ移籍)。KTウィズが創設され一軍へ参入した2015年、新たに本拠地として観客席の増設工事などで大幅にリニューアルされた。観客席はチームカラーの赤で統一され、外野には大型の電光掲示板が設置されるなど最新鋭の設備をほこるが、内野席の一部には改築前の面影も残っている。1塁側ではKTファンによる熱心な応援が繰り広げられるが、各地方の出身者が多い首都圏にあるため、遠征チームのファンにより3塁側応援席もにぎわうことがあり、規模は小さいが遠征チームのグッズショップもある。
 2017年にまた改築が施され、外野上段に座席が新設された。











[交通アクセス]
 近隣に鉄道の駅はない。最寄りはKORAIL首都圏電鉄・華西(ファソ)駅でタクシーで10分程度。大田(テジョン)、釜山(プサン)などからの長距離列車が停車するKORAIL水原駅からはタクシーで20分程度。水原駅からは7770番などのバスも運行されている。
 また、ソウル市内からだとソウルメトロ2・4号線の舎堂(サダン)駅から水原方面への7770番バスが便利で、野球場のすぐ横のバス停に着く。KTウィズの主催試合開催に合わせ、7770番が停車するバス停も改装されわかりやすくなっている。その他、ソウルメトロ2号線江南(カンナム)駅から3000番バスも運行されている。


(文責:ふるりん