初のポストシーズン進出へ
韓国で10番目のプロ野球チームとして2015年に一軍へ参入、2019年は史上最高の6位、勝率も初の5割ちょうどとようやく他球団に劣らない戦力をそろえたと言える。2020年はレギュラーシーズン5位以上で初のポストシーズン進出が目標となる。
【投手陣】
〈先発〉
クエバス、◎デスパイネ、ペ・ジェソン、キム・ミン、キム・ミンス、◎ソ・ヒョンジュン
〈リリーフ〉
キム・ジェユン、△チョン・ソンゴン、チョン・ユス、ソン・ドンヒョン、チュ・グォン、◎イ・ボグン、△ハ・ジュンホ、イ・デウン
注 : ◎は新加入、△は左腕
2019年に13勝をあげた韓国2年目の外国人選手クエバスが先発の柱となる。また新外国人選手デスパイネには、2019年に11勝をあげながら再契約できずトゥサンへ移籍したアルカンタラ以上の働きが求められる。2019年に韓国人選手としてはチーム史上初となる10勝をあげた23歳のペ・ジェソンにも期待がかかる。若手の成長が目覚ましい中、2020年の注目は18歳の高卒新人ソ・ヒョンジュンで、練習試合などでも好投し先発としての活躍が期待される。
リリーフでは2019年シーズン途中に抑えへ転向したイ・デウン(元千葉ロッテ)が中心的な役割を担う。先発と比べるとリリーフの層が厚くないため、余剰戦力を対象とした2次ドラフトでキウムより経験豊富な右腕イ・ボグンを獲得した。そのほかでは投手に再転向して2年目の31歳の左腕ハ・ジュンホに注目したい。
【打撃陣】
〈先発予想〉
捕手:チャン・ソンウ
一塁:△ カン・ベッコ
二塁:パク・キョンス
三塁:ファン・ジェギュン
遊撃:シム・ウジュン
DH:ユ・ハンジュン
〈控え〉
(捕手) ◎ホ・ドファン
(内野手) ムン・サンチョル、オ・テゴン、◎△キム・ソンフン、△パク・スンウク
(外野手) △チョ・ヨンホ、ソン・ミンソプ
注 : △は左打者、×は両打ち。◎は新加入。
注目されるのはまだ20歳の若手ながらチームの顔に成長したカン・ベッコである。2020年からはこれまでの外野ではなく一塁へ転向し打撃に専念する(登録上は外野手)。そのほかにも韓国4年目となる外国人選手ロハス、38歳のベテラン打者ユ・ハンジュン、ファン・ジェギュンなど強力な打者が中軸に座っている。
また成長を遂げたシム・ウジュンが走攻守そろった1番打者として起用され、2019年に外野のレギュラーに定着したキム・ミンヒョクとともにチャンスメイカーとして機能すると思われる。FA(フリーエージェント)選手の補強と育成がうまく機能し、他球団の脅威となる打線が完成した。
就任2年目で戦力が充実してきたイ・ガンチョル監督にとっても、KTを初のポストシーズン進出へ導くことができるかの勝負の年となる。2015年から2017年まで3年連続最下位に低迷したころと比べ、戦力不足の新球団というイメージは薄れてきた。だが2019年は下位に終わった球団が巻き返し、成長への軌道に乗ったと思われるKTへの警戒も強くなると予想され、ポストシーズン進出は決して平たんな道のりではないと思われる。
【本拠地】
水原KTウィズパーク
KTウィズの本拠地・水原(スウォン)はソウルから南へ約40kmに位置し、中心市街地を囲む世界文化遺産の華城(ファソン)の城郭都市である。総合運動場は華城から2km北西に離れ、その北端に水原KTウィズパークがある。この野球場は2000年から2007年まで現代ユニコーンズ(解散済)の本拠地として利用されていた。KTウィズが創設され一軍へ参入した2015年、新たに本拠地として観客席の増設工事などで大幅にリニューアルされた。
観客席はチームカラーの赤で統一され、外野には大型の電光掲示板が設置されるなど最新鋭の設備をほこる。1塁側のKT応援席では、暑い真夏のナイターで大量の水を放射して涼を求める「ウォーターフェスティバル」が開催されることもあり、ライトポール付近にはウォータースライダーも設置されるなど、エンターテイメント性も追及されている。
各地方からの出身者が多い首都圏にあるため、遠征チームのファンにより3塁側応援席もにぎわうことがあり、規模は小さいが球場内の通路には遠征チームのグッズショップもある。飲食物の売店も充実している。
[交通アクセス]
近隣に鉄道の駅はない。最寄りはKORAIL首都圏電鉄・華西(ファソ)駅でタクシーで10分程度。大田(テジョン)、釜山(プサン)などからの長距離列車が停車するKORAIL水原駅からはタクシーで20分程度。水原駅からは7770番などのバスも運行されている。
また、ソウル市内からだとソウルメトロ2・4号線の舎堂(サダン)駅から水原方面への7770番バスが球場北西側のバス停に止まる。
(文責:ふるりん)