2010年シーズン開幕前、新メインスポンサーのネクセンタイヤと契約し、懸念だった資金難が解消されるかに思われたが、2009年オフに高額の現金トレードで放出したイ・テックン、イ・ヒョンスン、チャン・ウォンサムに続いて、マ・イリョン、ファン・ジェギュンなどの主力選手をシーズン中にトレードで放出し、6位に終わった前年よりも戦力の低下は明らかで、ずっとハンファとの最下位争いを続け7位で終えるのがやっとだった。さらに2010年オフにも有望な若手投手コ・ウォンジュンをロッテにトレードした。チームの勝利よりも経営を優先するチームの体質は明らかだが、2011年シーズン開幕を前に、キム・シジン監督と2012年シーズン以降の再契約を結ぶ動きを見せた。
【投手陣】
〈先発〉
キム・ソンヒョン、ナイト、△クム・ミンチョル、キム・ソンテ、キム・ヨンミン、ムン・ソンヒョン
〈中継ぎ〉
マ・ジョンギル、△オ・ジェヨン、ソン・シニョン、イ・ボグン、ファン・ドゥソン、パク・チュンス、△ユン・ジウン
〈抑え〉
ソン・スンナク
注 ： △は左腕
先発として活躍したが、2010年オフにロッテへトレードされたコ・ウォンジュンの穴を生める人材が急務だ。先発の軸は2010年までサムソンで活躍した外国人投手ナイト(元北海道日本ハム)、2010年シーズン後半先発に定着した若手キム・ソンヒョンとなる。左腕クム・ミンチョル、2010年シーズンを故障で棒に振ったキム・ヨンミンも期待されるが、全体的な層の薄さは否めない。
リリーフ陣は比較的安定している。だが、2010年最多セーブ(26セーブ)を記録した守護神ソン・スンナクが、肩の痛みにより開幕に間に合わない。4月中には復帰の見込みだが、それまではソン・シニョンなど経験豊富な投手が抑えをつとめると見られる。また2010年シーズンは故障で1試合も登板できなかったベテラン右腕、ファン・ドゥソンの復活も期待したい。大卒新人の左腕ユン・ジウンなど若手の起用も注目したい。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
１．チャン・ギヨン（中） △
２．ユ・ハンジュン（右）
３．アルドリッジ（指） △
４．カン・ジョンホ（遊）
５. カン・ビョンシク（一) △
６．チャン・ヨンソク（三）
７．ソン・ジマン（左）
８．カン・グィテ（捕）
９．キム・ミヌ（二）
〈控え〉
ホ・ジュン、キム・ミンソン、キム・イルギョン、△オ・ジェイル、△イ・スンヨン、△パク・チョンジュン、オ・ユン、△コ・ジョンウク
注 ： △は左打者、×は両打ち。
注目の新戦力は新外国人アルドリッジで、示範競技でも勝負強い打撃を見せ主軸を打つことが確実だ。4番は韓国を代表する大型遊撃手に成長したカン・ジョンホが打ち、その前後をユ・ハンジュン、カン・ビョンシクなどのベテランが固める。また2010年快足を生かし1番打者に成長したチャン・ギヨンも健在だ。
また大卒新人コ・ジョンウクも、快足を生かし外野のレギュラー争いに加わると見られる。決してつながりの悪い打線ではないが、ロッテやトゥサンなど上位チームの破壊力ある打線と比べると、狭い木洞野球場を本拠地としている割には一発が少なく、あまり怖さを感じない。そのため生え抜きの主軸を打てる長距離砲の育成が急務で、チャン・ヨンソク、オ・ジェイルなどの若手に期待がかかる。
球団創設4年目と、既存の8球団では最も新しいネクセンヒーローズは、苦しい経営状況の中でも、キム・シジン監督や選手たちは決して勝利をあきらめていない。2011年シーズンこそ、球団史上初となるポストシーズン進出(公式戦4位以上)を果たし、木洞野球場に通うようになった新しいプロ野球ファンたちの心をつかみ、プロ野球界の将来のために安定した球団運営を目指してほしい。
【本拠地】
ソウル・木洞野球場
ソウル南西部の木洞(モクトン)野球場は、高校野球や大学野球といったアマチュア野球との併用となっている。特徴としてはすぐ近くを交通量の多い幹線道路が通っているため外野席がないこと(外野フェンスの裏側、ポール近くにマウンドがある)、内野席ではポール付近にネットがないため、比較的開放感のある観戦環境となっていること、ヒーローズのホーム応援席がサムソンと同じく3塁側になっていることである。
ただ人気が低迷していた現代ユニコーンズを事実上受け継いだチームであることと、ソウルを本拠地とする歴史のない球団であるために、ロッテやキアなど熱狂的なファンの多いチームの試合だと、1塁側のほうが観客も多く盛り上がっている。だが近隣住民のための応援席も用意するなど、地域密着をはかりファンの拡大につとめてはいる。近年のプロ野球人気の向上もあってか、年々紫色のスティックバルーンを持ってヒーローズを応援するファンたちの数も増えているように見える。
球場周辺はアイスホッケーのリンクやリトルリーグ専用の野球場がある運動公園となっていて、高層のオフィスビルやマンションが建ちならんでいるが、近隣に商店や食堂はない。球場内には小さな売店がいくつかあるが、カップラーメンやおでんなどの軽食しか売っていない(2010年シーズンの状況)。まともな食事をしたいのなら、最寄の地下鉄梧木橋駅付近の食堂やファーストフード店でとっておきたい。またあまり品揃えはよくなく値段も高いが、ヒーローズのグッズを扱う売店もある。
ヒーローズ随一の人気者が、マスコットのトクトリ(アゴ助とでも訳せようか？)である。いろいろな格好でファンを楽しませるだけでなく、ヒーローズの選手がホームランを打ったらホームインする前にレッドカーペットを敷いたり、試合前に選手たちのキャッチボールの相手をしていたりもする(しかも左投げ)。さらにスタンドのファンの前にもよく現れ、ヒーローズのみならずビジターチームのファンにも愛されている。
2011年シーズンの入場料は、指定席や土日・祝日料金が値上げされた。一般席(自由席)が平日10000ウォン、土日・祝日は15000ウォン。指定席は平日15000ウォン、土日・祝日は22000ウォン。バックネット裏付近のテーブル指定席は2階部分が平日25000ウォン、土日・祝日が35000ウォン。同テーブル指定席の1階部分は平日30000ウォン、土日・祝日が40000ウォン。
［交通アクセス］
ソウル地下鉄5号線・梧木橋(オモッキョ)駅から徒歩10分弱。木洞総合運動場内にある。
梧木橋駅へはソウル駅や鍾路など都心部から25−30分程度。仁川空港からは空港鉄道(A'REX)で金浦空港まで行き、ソウル地下鉄5号線に乗り換え50分程度で到着。(金浦空港からは20分弱。)
梧木橋駅の隣に木洞駅があるが、最寄り駅ではないので要注意。
(文責 : ふるりん)
