DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第8回 ネクセンヒーローズ

 2011年はチーム創設4年目にして初の最下位に沈んだ。メインスポンサーのネクセンタイヤとの2年間の契約延長が決まったこともあって、FA(フリーエージェント)を行使したかつての主力打者イ・テックンを復帰させただけでなく、元メジャーリーガーのキム・ビョンヒョン(元東北楽天)と契約するなど、過去に選手を切り売りしていたころがうそのようである。球団創設5年目の2012年シーズンは、チーム史上初のポストシーズン進出を目指す。


【投手陣】

〈先発〉 
ナイト、ムン・ソンヒョン、△◎バンヘッケン、シム・スチャン、キム・スギョン、△カン・ユング
〈中継ぎ〉
マ・ジョンギル、△オ・ジェヨン、イ・ボグン、イ・ジョンフン、キム・ヨンミン、キム・サンス、△パク・ソンフン、◎ハン・ヒョンヒィ
〈抑え〉
ソン・スンナク
注 : ◎は新加入、△は左腕
 最下位に沈んだ原因のひとつとして、手薄な先発陣があった。チーム最多勝(7勝)だった外国人投手ナイト、若手のムン・ソンヒョンが先発の軸となる。左の先発としては新外国人バンヘッケンが中心となる。また34歳のベテラン、キム・スギョンの復活も待たれる。だが大黒柱といえる選手がいないため層は薄く、チームの特長であった充実したリリーフ陣に2012年シーズンも負担がかかりそうだ。右のイ・ボグン、イ・ジョンフン、左のオ・ジェヨンを中心に頭数がそろい、守護神ソン・スンナクも健在だ。
 期待の若手としては、海外春季キャンプや示範競技で高い評価を得た高卒新人ハン・ヒョンヒィがいる。サイドハンドからの速球が威力的だ。なお、元メジャーリーガーのキム・ビョンヒョンは、2007年米国メジャーリーグフロリダマーリンズ(現:マイアミマーリンズ)を最後に、シーズンを通して高いレベルでプレーしたことがなく、2011年日本プロ野球東北楽天でも2軍で1試合の登板しかなかった。示範競技でも1試合のみの登板で、開幕後も当分は2軍で調整を続ける予定だ。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.チャン・ギヨン(右) △ 
2.キム・ミヌ(三)  
3.イ・テックン(中) ◎  
4.パク・ピョンホ(一) 
5. カン・ジョンホ(遊)    
6.オ・ジェイル(指) △
7.ソン・ジマン(左)  
8.ホ・ドファン(捕) 
9.キム・ミンソン(二)  

〈控え〉
(捕手) カン・グィテ、◎チ・ジェウク
(内野手) △カン・ビョンシク、ソ・ゴンチャン、△チョ・ジュングン、チ・ソックン、ユ・ジェシン、チャン・ヨンソク
(外野手) ユ・ハンジュン、オ・ユン、△チョン・スソン、△パク・チョンジュン

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 
 2011年シーズン、最下位に終わった最大の要因が貧弱な打線だった。だが2009年まで主力として活躍していたが、財政難によりLGへトレードされたイ・テックンの加入があり、2011年シーズン途中LGからトレードで移籍し4番に据わったパク・ピョンホも健在など、打線の破壊力は増した。強打のショート、カン・ジョンホがそろった中軸は他球団にも引けをとらない。39歳のベテランのソン・ジマンも健在だ。
 ただやはり層の薄さは否めない。これまで伸び悩んでいた左の大砲オ・ジェイル、チョ・ジョンフンの覚醒など新しい選手の台頭を待ちたい。2011年申告選手から1軍に定着したホ・ドファン、生え抜きのカン・グィテなどの正捕手争いも見ものだ。

 チームの成績は芳しくないが、人格者で知られるキム・シジン監督も4年目のシーズンに入った。新球団というイメージが薄れ、歴史の浅いチームがファンを獲得するには勝利しかない。比較的若い選手が多く、可能性は十分に感じさせる。果たしてネクセンヒーローズはプロ野球人気がかつてなく高まる2012年に、ポストシーズン進出というチーム史上最高の成果をあげることができるのであろうか。 


本拠地
 ソウル・木洞野球場

 ソウル南西部の木洞(モクトン)野球場は、高校野球大学野球といったアマチュア野球との併用となっている。特徴としてはすぐ近くを交通量の多い幹線道路が通っているため外野席がないこと(外野フェンスの裏側、ポール近くにマウンドがある)、内野席ではポール付近にネットがないため、比較的開放感のある観戦環境となっていること、ヒーローズのホーム応援席がサムソンと同じく3塁側になっていることである。
 首都ソウルを本拠地とする歴史のない球団であるために、ロッテやキアなど熱狂的なファンの多いチームの試合だと、1塁側のほうが観客も多く盛り上がっていることも目立つ。だが近隣住民のための応援席も用意するなど、地域密着をはかりファンの拡大につとめてはいる。近年のプロ野球人気の向上もあってか、紫色のスティックバルーンを持ってヒーローズを応援するファンたちの数も徐々に増えてはいる。また、2007年限りで解散となった現代ユニコーンズ(大半の選手がヒーローズへ移籍)のユニフォームを着たファンを見かけることもある。
 球場周辺はアイスホッケーのリンクやリトルリーグ専用の野球場がある運動公園となっていて、高層のオフィスビルやマンションが建ちならんでいるが、近隣に商店や食堂はない。球場内の売店も以前よりは充実してきて、やや高いがホットドッグやハンバーガーなども売られるようになった。まともな食事をしたいのなら、最寄の地下鉄梧木橋駅付近の食堂やファーストフード店でとっておきたい。また他球団と比べて値段は高めだが、ヒーローズのグッズを扱う売店もある。
 ヒーローズ随一の人気者が、マスコットのトクトリ(アゴ助とでも訳せようか?)である。いろいろな格好でファンを楽しませるだけでなく、ヒーローズの選手がホームランを打ったらホームインする前にレッドカーペットを敷いたり、試合前に選手たちのキャッチボールの相手をしていたりもする(しかも左投げ)。さらに応援スタンドにもよく現れ、ヒーローズのみならずビジターチームのファンにも愛されている。





 2012年シーズンの入場料は、前年より土日・祝日料金が値上げされた。一般席(自由席)が平日10000ウォン、土日・祝日は17000ウォン。指定席は平日15000ウォン、土日・祝日は25000ウォン。バックネット裏付近のテーブル指定席は2階部分が平日25000ウォン、土日・祝日が40000ウォン。同テーブル指定席の1階部分は平日30000ウォン、土日・祝日が45000ウォン。


[交通アクセス]
 ソウル地下鉄5号線・梧木橋(オモッキョ)駅から徒歩10分弱。木洞総合運動場内にある。
 梧木橋駅へはソウル駅や鍾路など旧都心部から25−30分程度。ソウル・江南(カンナム)地区からは地下鉄2号線・9号線を利用し5号線に乗り換え、40−50分程度。仁川空港からは空港鉄道(A'REX)で金浦空港まで行き、ソウル地下鉄5号線に乗り換え50分程度で到着。(金浦空港からは20分弱。)
 梧木橋駅の隣に木洞駅があるが、最寄り駅ではないので要注意。

(文責 : ふるりん)