DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第4回 ネクセンヒーローズ

 2015年は公式戦4位、ポストシーズンは準プレーオフで敗退し、オフシーズンは主砲パク・ピョンホがポスティングでメジャーリーグベースボール(MLB)・ミネソタツインズへと移籍した。これは既定路線だったが、FAで生え抜きのベテラン打者ユ・ハンジュンはKT、守護神ソン・スンナクはロッテ、さらには4年間活躍した外国人左腕バンヘッケンも日本プロ野球埼玉西武へ移籍と、大幅戦力ダウンとなった。


【投手陣】

〈先発〉 
△フィアベンド、◎コエロ、ヤン・フン、キム・サンス、ハ・ヨンミン
〈中継ぎ〉
マ・ジョンギル、△キム・テッキョン、チョン・フェチャン、△オ・ジェヨン、シン・ジェヨン、キム・ジョンフン
〈抑え〉
キム・セヒョン
注 : ◎は新加入、△は左腕

 移籍したバンヘッケン、ソン・スンナクの穴も大きいが、まだ20代前半ながら主にリリーフとして活躍していたハン・ヒョンヒィ、チョ・サンウが故障により手術を受け、2016年シーズン中の復帰が微妙な状況である。2015年13勝した2年目の外国人投手フィアベンドが先発の柱となり、新外国人コエロにも大きな期待がかかる。2015年シーズン終盤先発として期待されたヤン・フン、キム・サンスなどがそれに続くが層は薄く苦しい陣容だ。
 ソン・スンナクに代わる抑えは、これまで主に中継ぎとして活躍してきた右腕キム・セヒョン(旧名キム・ヨンミン)が任されることになる。先発が弱い分、様々なタイプのリリーフを投入してリードを守り切り逃げ切りを図る試合が多くなると思われる。



【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.ソ・ゴンチャン(二) △ 
2.コ・ジョンウク(中) △ 
3.イ・テックン(右)   
4.ダニー・ドーン(左) ◎△
5. ユン・ソンミン(一)    
6.キム・ミンソン(三) 
7.キム・ハソン(遊)
8.チェ・テイン(指) △ 
9.パク・トンウォン(捕)  

〈控え〉
(捕手) ホ・ドファン、キム・ジェヒョン
(内野手) ×ソ・ドンウク、キム・ジス、チャン・ヨンソク、ソン・ソンムン、チャン・シユン
(外野手) カン・ジグァン、△パク・チョンウム、ユ・ジェシン、△イム・ビョンウク

注 : ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。
 
 相次ぐ主力の移籍によりだいぶ選手層が薄くなったのは否めない。そのため3月22日、中継ぎのキム・デウを交換要員にサムソンから左打者のチェ・テインをトレードで獲得した。韓国シリーズ4連覇にも貢献した経験豊富な打者は新天地でも実力を発揮するだろう。新外国人打者ダニー・ドーンは、MLB傘下のマイナーリーグでの成績を見ると長距離打者ではないだけに、パク・ピョンホなどの穴を期待するには二が大きいと思われる。
 かつて狭い木洞野球場で本塁打を量産した打線も、新本拠地・高尺スカイドームではスケールダウンしてしまわないよう、キム・ハソンなどの若い世代が主軸として成長していく姿を見せたい。2015年はケガで長期戦線離脱していたソ・ゴンチャンが復活し、2014年200安打を記録した巧打で打線のけん引役としてチームの危機を救っていくと信じたい。


 2016年シーズン、4年目を迎えたヨム・ギョンヨプ監督は就任後最大の危機を迎えた。資金源として他チームのように財閥系の企業グループをもたないネクセンは、過去にも選手を切り売りして運営してきた過去があるが、それに代わる選手たちを育成して結果を残してきた。本拠地が新しくなってもその姿勢とノウハウが変わっていなければ、新しいヒーローたちがドーム球場を大いに沸かせ、4年連続ポストシーズン進出が成し遂げられるのであろう。


本拠地
 ソウル・高尺スカイドーム

 2008年の球団創設時から利用していた木洞野球場を離れ、韓国初のドーム型野球場・高尺(コチョク)スカイドームが新本拠地となった(契約は2017年まで)。2015年秋に完成した高尺スカイドームは、両翼99m、センター122mと広くなっていて、パク・ピョンホなどのホームラン打者がアーチを量産した木洞野球場とはかなり趣を異なる野球を志向していくことになりそうだ。
 内野は大きく上段と下段に分かれ、急な傾斜の上段からはグラウンドを見下ろす形となる。木洞野球場にはなかった外野席もあり、収容人数は完成当初約18000人程度となっていたが、2015年11月、WBSCプレミア12を前にした韓国代表とキューバ代表の親善試合で客席の通路が少なく不便などの苦情が相次いだため、座席を少し減らし通路を増やすなどの改装工事を行った。4月1日、公式戦開幕のネクセンーロッテ戦が初のプロ野球公式戦開催となる。


(新本拠地・高尺スカイドーム。)


 2016年シーズンの入場料金は、内野下段のブルー席は火・水・木曜日が15000ウォン、金・土・日曜日と祝日が22000ウォン、スカイブルー席は火・水・木曜日が17000ウォン、金・土・日曜日と祝日が25000ウォン、内野3階指定席と外野指定席は火・水・木曜日が12000ウォン、金・土・日曜日と祝日が18000ウォン、内野4階指定席は火・水・木曜日が9000ウォン、金・土・日曜日と祝日が13000ウォン、外野自由席が火・水・木曜日が7000ウォン、金・土・日曜日と祝日が10000ウォンと、他チームと比べ高めである。


[交通アクセス]
 首都圏電鉄京仁線・九一(クイル)駅から徒歩5分。九一駅は安養川の上にあり、高尺スカイドームのある西岸には出入口がなかったが、2016年3月中に出入口が新設される予定である。ソウル駅から九一駅までは仁川(インチョン)方面の電車で20分程度。龍山(ヨンサン)始発仁川方面への急行は停車しないので注意。
 またソウル都心部へ戻る際に混雑している場合は、安養川を渡って20分程度で九老(クロ)駅に出ていくように案内もされている。この駅は急行も停車し、水原(スウォン)方面からのソウル都心部へ向かう電車も合流するなど、九一駅よりも停車する電車の本数が多い。
 高尺スカイドーム周辺は工業団地であり、あまり商店や食堂などはないが、新しい集客施設の完成による今後の開発で利便性が高まることが期待される。
 
(文責 : ふるりん