DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第6回  LGツインズ 

 パク・チョンフン監督就任の初年度であった2010年は、公式戦6位で終わり、プロ野球新記録となる8 年連続ポストシーズン進出失敗の不名誉をこうむった。オフにはFA市場が冷え切っていたこともあり外国人選手を除いて大きな補強はなかったが、春季キャンプでは若手選手たちを鍛え戦力の向上に努めた。
 

【投手陣】

〈先発〉 
ポン・ジュングン、リズ、△ジュキッチ、キム・グァンサム、パク・ヒョンジュン、シム・スチャン
〈中継ぎ〉
イ・ドンヒョン、△オ・サンミン、キム・ソンギュ、△イ・サンヨル、シン・ジョンナク、イ・デファン、△ソ・スンファ、イム・チャンギ
〈抑え〉
キム・グァンス

注 : △は左腕

 2008年以降左のエースとして活躍してきたポン・ジュングンが、3月16日の示範競技で筋肉痛を訴え降板したことで、開幕に間に合わない可能性が高い。そのため、160km/h前後の速球を投げるリズ、長身左腕のジュキッチと2人の新外国人投手に高い期待がかかる。ともに示範競技でも結果を残し、どちらかが開幕投手として起用される可能性が高い。
 チームの弱点となってきた投手陣であるが、この外国人2人に2010年シーズン途中SKからトレードされ先発として定着したパク・ヒョンジュン、キム・グァンサム、復活を期すシム・スチャンが続けば、先発ローテーションをしっかりと確立できる。しかし頭数を揃えるだけでなく、イニングイーター(長いイニングを確実に投げてくれる投手)の登場が待望される。
 2010年までは先発陣の層が薄かったため、リリーフ陣にもそのしわ寄せが来ることが多かった。課題の抑えには2010年シーズン終盤から起用されるようになったキム・グァンスがおさまることになりそうだ。中継ぎではオ・サンミン、イ・サンヨルのベテラン左腕が健在で、2年目のシン・ジョンナク、大型高卒新人のイム・チャンギュの成長にも期待したい。 


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・デヒョン(中) △
2.パク・キョンス(二)  
3.チョン・ウィユン(左)  
4.パク・ヨンテク(指) △
5.チョ・インソン(捕) 
6.チョン・ソンフン(三)  
7.イ・ジニョン(右) △ 
8.ソ・ドンウク(一) 
9.オ・ジファン(遊) △  

〈控え〉
キム・テグン、シム・グァンホ、キム・テワン、イ・ハクチュン、ユン・ジンホ、ヤン・ヨンドン、△イ・ビョンギュ(背番号24)、△イ・ビョンギュ(元中日、背番号9)、イ・テックン

注 : △は左打者。

 2010年はイ・ビョンギュ、イ・ジニョン、イ・テックン、パク・ヨンテク、イ・デヒョンと外野手をずらりとそろえた強力打線がセールスポイントだったが、正直あまり機能したとはいえなかった。4年連続盗塁王のイ・デヒョン、生え抜きのスター選手パク・ヨンテク、以前韓国代表で活躍したイ・ジニョンくらいしか期待通りの成績を残せなかった。右の大型外野手イ・テックンも、腰の故障で開幕には間に合わないことが確実である。
 その代わり、軍から除隊されたチョン・ウィユンが示範競技でも攻守に活躍し、外野のレギュラーの一角を占めそうな勢いだ。春季キャンプ途中で帰国した「ミニ」イ・ビョンギュ(背番号24)、ベテランの「ビッグ」イ・ビョンギュ(背番号9)の2人の復活にも期待したい。その反面内野手の層は薄く、有望な選手も少ない。2010年大ブレークした若手ショート、オ・ジファンの2年目のジンクスも心配だ。
 正捕手の座は、2010年に28本塁打、107打点と自己最高の成績を残したベテラン、チョ・インソンが不動であり、2011年シーズンも攻守の中心となることは確実だ。だがその後継者探しも急務である。
 
 
 20年ほど前の1990年代前半、プロ野球界に旋風を巻き起こしたLGツインズ。ところが21世紀になって思わぬ長期低迷に陥り、2011年シーズンは9年ぶりのポストシーズン進出(公式戦4位以上)が至上命題となる。正直SK、サムソン、トゥサンなどの上位球団と比べ投打ともに長所を見いだすのは難しいが、混戦模様が予想される2011年シーズンではチャンスが皆無というわけではない。2年目となったパク・チョンフン監督の野球が選手たちにどれほど浸透し、経験豊富な上位チームとどうわたりあっていくのか注目したい。 


本拠地
 ソウル・蚕室野球場

 韓国最大級の野球場は、LGのみならずトゥサンの本拠地でもある。前身のMBC青龍の時代からソウルを本拠地としていることもあり、「ソウルの地元球団」というカラーを前面に押し出してきたのはLGのほうだと言えよう。最近はトゥサンもそれに対抗するため、球団エンブレムにアルファベットで「SEOUL」という文字を入れてはいるが。試合中にもよく「ソウル賛歌」が流されるし、よく球場のアナウンサーが「ソウレー チャジョンシム(ソウルのプライド)!LGツインズ!」と高らかに叫ぶことも多い。
 ちなみにトゥサン−LG戦の際、どちらがホーム側でもLGが1塁側、トゥサンが3塁側のベンチやロッカーを使用する(応援席は主催チームによって1塁側と3塁側が入れ替わるので要注意)。毎年5月5日の同カードは、ソウルの野球ファンを二分するダービーマッチということで大いに盛り上がり、球場全体が赤のLGファンと白のトゥサンファンに分かれ、他国のプロリーグの試合にはない独特の雰囲気となる。また、2011年シーズンの開幕戦、4月2日のLG−トゥサン戦の入場券の前売り分は発売開始から1時間足らずで完売し、当日券を求めて蚕室野球場周辺には長蛇の列ができることが予想される。

 また2009年から、LG主催試合のみ可動式で外野フェンスを最大5m程度前に押し出し、ここに打球が入ると本塁打となる「Xゾーン」を設置した。確かにLGのチーム本塁打数は増加したが、もともと投手力に不安のあるチームとしては、相手に本塁打を献上した本数も増えるなどプロ野球の打高投低を押し進めるのに拍車をかけただけだったため、2011年シーズンから廃止となった。

 2011年シーズンの入場料はグリーン席(外野席)が7000ウォン(土日・祝日8000ウォン)、イエロー席(内野上段)が8000ウォン(土日・祝日9000ウォン)。なお内野下段は指定席制となり、レッド席は1万ウォン(土日・祝日12000ウォン)。ブルー席は12000ウォン(土日・祝日15000ウォン)。テーブル指定席は3万5000ウォン(平日、土日・祝日ともに同料金)。プレミアム席は7万ウォン(平日、土日・祝日ともに同料金)。

※ 3月29日現在の為替レート : 1万ウォンが約739円。



[交通アクセス]
 ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。
 ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。ソウル・江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線で10分前後。
(第3回 トゥサンベアーズ編も参照〉 
 

(文責 : ふるりん