2010年は2年連続公式戦3位、プレーオフで敗退とやや停滞気味のトゥサンベアーズ。キム・ギョンムン監督体制も8年目を迎え、毎年安定して上位に進出しているものの、韓国シリーズ優勝には手が届いていない。2011年シーズンは契約最終年となっていて、キム・ギョンムン監督は10年ぶりの韓国シリーズ優勝へすべてをかける。
【投手陣】
〈先発〉
キム・ソヌ、△イ・ヒョンスン、△イ・ヘェチョン、ニッパート、キム・ソンベ
〈中継ぎ〉
イ・ヨンチャン、チョン・ジェフン、コ・チャンソン、△チャン・ミニク、チョ・スンス、ホン・サンサム
〈抑え〉
イム・テフン
注 : △は左腕
何と言っても、2010年チーム最多の14勝をあげた外国人投手ヒメネスが、日本プロ野球・東北楽天に移籍したため、その穴を埋めることが最大の課題である。2010年米国メジャーリーグ・レンジャーズでワールドシリーズにも出場した新外国人ニッパートに期待がかかり、示範競技でも好投を見せている。しかしもう1人の新外国人投手ラミレズは2試合で14失点と示範競技で散々な結果だったため、開幕1軍入りも厳しく今後の見通しも明るくない。
3年ぶりに古巣へ復帰した左腕イ・ヘェチョンは、リリーフでの登板が多かった日本プロ野球・東京ヤクルト在籍時と違って、先発で起用される。また左腕イ・ヒョンスンも、2009年まで在籍したヒーローズ時代のように先発で起用される。2010年韓国人最多の13勝をあげた右腕キム・ソヌも健在だが、2010年に続き先発陣の層が薄く故障者が出た場合のやりくりに苦労しそうだ。
2010年最多ホールド(23ホールド)のタイトルを獲得したチョン・ジェフン、コ・チャンソンなど中継ぎ陣の踏ん張りが鍵となる。抑えには2010年先発に転向していたイム・テフンが確定的で、チーム最多の25セーブをあげたが交通事故の不祥事でシーズン終盤は登板しなかったイ・ヨンチャンが中継ぎに回る。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
1.イ・ジョンウク(中) △
2.コ・ヨンミン(二)
3.キム・ヒョンス(左) △
4.キム・ドンジュ(三)
5.チェ・ジュンソク(一)
6.イ・ソンヨル(指) △
7.ヤン・ウィジ(捕)
8.イム・ジェチョル(右)
9.ソン・シホン(遊)
注 : △は左打者
〈控え〉
ヨン・ドカン、△キム・ジェファン、イ・ウォンソク、キム・ジェホ、△オ・ジェウォン、ユン・ソンミン、△チョン・スビン、△チョン・ジンホ
数年前は盗塁を多く仕掛けるチームであったが、2010年は広い蚕室野球場を本拠地としながら、キム・ヒョンス、キム・ドンジュ、イ・ソンヨル、チェ・ジュンソク、新人王ヤン・ウィジといった20本塁打以上の選手を5人そろえた重量打線へと変化した。かつて韓国代表のセカンドとして活躍しながら、2009年以降不振に陥っているコ・ヨンミンが復活すれば、不安な投手陣をカバーする更なる強力打線へと進化していくことであろう。
ここでは控えとしておいたが、キム・ジェファン、イ・ウォンソク、オ・ジェウォン、チョン・スビンなどレギュラーとしても十分に活躍できる選手が多く、野手には大きな心配が要らない。それまでほとんど無名ながら正捕手に定着し、2010年新人王となったヤン・ウィジの2年目のジンクスが心配ではある。
トゥサンの強みは、キム・ギョンムン監督が若手の起用をためらわず、そのためチーム内に活気があふれていることである。現在の主力選手の多くが、キム・ギョンムン監督の手によってレギュラーに定着し結果を残してきた。2011年シーズンも、有望な若手が次々と登場しファンたちを沸かせてくれることであろう。打線に比べて投手陣が弱いなど課題も多いが、得意の全員野球でキム・ギョンムン監督に初めての韓国シリーズ優勝の美酒を味あわせることはできるであろうか。
【本拠地】 ソウル・蚕室野球場
首都ソウルの南東部にある、韓国を代表する3万人収容の大型野球場。トゥサンだけでなくLGの本拠地にもなっていて、ライバル意識の強い両チームの対戦はソウルダービーということで他にない盛り上がりを見せる。また、トゥサン、LGがどちらとも韓国シリーズに出場しなくても、他球場の収容人数は1万人台が多く、観客動員を増やすため第5戦以降はこの球場で試合が行われる。内野の場内通路には売店のみならず子供用の遊戯施設や、無料でインターネットが利用できるパソコンも設置されている。
両翼100m、左・右中間117m、センター125mと韓国の野球場では最大級の広さがあり、大変ホームランの出にくい球場である。近年プロ野球人気の盛り上がりにより、野球場にも女性ファンの姿が目立つようになった。また球場のグッズショップも商品が充実し、それらを眺めているだけでも楽しい。
なお入場料金であるが、平日より土日・祝日は料金が割り増しとなる。内野スタンドの下層部がホームベース寄りのブルー指定席(平日 : 1万2000ウォン、土日・祝日 : 1万5000ウォン)、外野寄りのレッド指定席(平日 : 1万ウォン、土日・祝日 : 1万2000ウォン)の2種類の指定席に分かれている。なお、内野上層部はイエロー席(平日 : 8000ウォン、土日・祝日 : 9000ウォン)、外野はグリーン席(平日 : 7000ウォン、土日・祝日 : 8000ウォン)として自由席となっている。
またバックネット裏の指定席は、テーブル席が3万5000ウォン、VIP席が5万ウォンとなっている(平日、土日・祝日による料金の違いはない)。
(料金はすべて大人、3月26日現在の為替レート:1万ウォンが約730円。)
なお、かつてないプロ野球人気の盛り上がりのため、土日・祝日の試合を観戦する場合は、できる限り早く球場に行くのが望ましい。試合開始30分前には長蛇の列ができている可能性がある。熱狂的なファンの多いロッテ、キアがビジターチームの場合や、同じ蚕室のライバルLGとの対戦では、なおのこと混雑が予想される。
地下鉄.総合運動場駅側の出入口(外野3塁側)には、首都ソウルらしくプロ野球8球団のグッズを扱っているショップもある。また同駅の改札口横には、トゥサンの選手たちと蚕室野球場を背景に写真を撮れるフォトゾーンもあり、ソウルメトロ(地下鉄1−4号線を運営)では、2010年マナー向上キャンペーンのイメージキャラクターにトゥサンの選手たちが登場し、車内の液晶ビジョンで駆け込み乗車防止などを訴えていた。
球場から地下鉄で1駅離れた三成(サムソン)駅付近には、KOEX(韓国総合貿易センター)モールがあり、昼間はショッピングや食事、夜は野球観戦というプランも立てやすい。
[交通アクセス]
ソウル地下鉄2号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。
ソウル駅、鍾路(チョンノ)、明洞(ミョンドン)などソウルの中心街からは、地下鉄2号線などで約40分。ソウル・江南(カンナム)地区の繁華街からは地下鉄2号線で10分前後。
なお、地下鉄2号線・8号線の蚕室(チャムシル)駅は最寄り駅ではないので要注意。
(文責 : ふるりん)