DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  2009年プレーオフ : SK−トゥサン

 
 両チームは2007、2008年と2年連続韓国シリーズで対戦し、2度ともSKが制して現在の黄金時代を築きあげた。3年連続のポストシーズンでの対決は、韓国シリーズとはならなかったが、開幕前はこの2チームが今年も韓国シリーズで激突すると予想した者も多かったため、例年にないプロ野球ファンたちの注目を集めている。

 過去2年間の対戦を見ると、プレーオフを勝ち上がったトゥサンが先手を取るが、地力に勝るSKがペースをつかむと、2007年は第3戦以降、2008年は第2戦以降4連勝で韓国シリーズ優勝を決めた。今回トゥサンは準プレーオフからの出場で、プレーオフから出場するSKが迎え撃つという構図はこれまでと似ていなくもない。

 2009年シーズンのSKは、リリーフ陣の不振で過去2年間のように中盤で首位独走体制に入れず、夏場には勢いに乗ったキアの独走を許してしまい、8月末から引き分け1つをはさんで史上最多の19連勝と怒涛の快進撃で公式戦を終えたが、惜しくもあと1勝届かず勝率は6割を超える2位に終わった。投打ともに選手層が厚く、隙のない野球を取り戻した。

 SKの投手陣であるが、トゥサンの4.62(8球団中3位)に対して3.68(同1位)と、先発、リリーフの質、量ともに随一であった。だが、8月上旬試合中の負傷で戦線離脱したエースのキム・グァンヒョンは、故障もあってプレーオフの選手登録からは外れた。さらに右の先発要員で12勝したものの終盤調子を落としたソン・ウンボム、左のロングリリーフとして終盤の19連勝に大きく貢献したチョン・ビョンドゥも故障で出場しない。特にチョン・ビョンドゥの離脱は痛い。
 先発はシーズン途中入団だったものの終盤安定した投球を続けたグローバー(元読売)、左腕コ・ヒョジュン、日本人投手門倉(元読売)が中心となると思われる。2009年は負傷もあり成績を残せなかったが、過去2年間の韓国シリーズで先発したチェ・ビョンニョンにも先発の機会がめぐってくる可能性も高い。また、2008年まで守護神だったチョン・デヒョンの不振もあって、絶対的な抑えはいないものの、右のユン・ギルヒョン、ベテランのキム・ウォンヒョン、左のイ・スンホ、チョン・ウラムなど切り札は多い。先発が崩れた場合、得意の継投策で何とかしのいでいくことになりそうだ。

 SK打線はトゥサンのキム・ヒョンス、キム・ドンジュのような突出した選手は少ないが、上位から下位まで切れ目がなく、公式戦でのチーム打率.285、チーム本塁打数166本、得点732は8球団中1位、盗塁数は181個の同2位と、他球団を圧倒する攻撃力を誇っていた。
 チーム最多本塁打はパク・チョングォンの25本だったが、チェ・ジョンの19本など2ケタ本塁打を記録した打者が10人もいる。盗塁も自身初となるシーズン50盗塁以上を記録した快足のチョン・グヌ(53盗塁)をはじめ、33盗塁のパク・チェサンなど2ケタ盗塁を記録した打者も6人いて、一発も足もある非常に厄介な打線となっている。なお、打線のキーマンは主に2番を打つパク・チェサンで、チーム最多の81打点を記録し、33盗塁の足だけでなく15本塁打と一発もあり、打線に火をつける存在だ。しかも左打者でありながら左投手を苦にしない。

 準プレーオフでは、第1戦こそ敗れたが、第2戦以降ロッテとの地力の差を見せ付け、3連勝でプレーオフに駒を進めたトゥサン。戦力上投打ともにSKを上回ると言えるものはないため、緒戦の先発クム・ミンチョルが鍵となる。プレーオフ第2戦でロッテ相手に好投し、公式戦でも比較的SK打線を抑えていて、このプレーオフ第1戦の先発に大抜擢された22歳の若き左腕の好投に期待したい。第2戦以降はホン・サンサム、キム・ソヌなど準プレーオフでも好投した先発陣が控えている。
 なお、公式戦終盤安定した投球を続け、準プレーオフ第1戦に先発し肩の痛みを訴え途中降板したニコースキー(元福岡ソフトバンク)がプレーオフのエントリーに入らなかったため、トゥサンも先発陣の層は決して厚くはない。そのためできる限り早めに決着をつけたいところだが、難敵SK相手に3連勝とはなかなか行かないだろう。打線ではSK戦で打率.311と比較的打っていた外野手イム・ジェチョルが、試合中の負傷でプレーオフに出場できないのが痛く、全体的にどの打者もSK相手には他チームよりも打率が下がる。

 公式戦では9勝9敗1分とまったく五分の星に終わった両チーム。韓国シリーズ出場をかけた総力戦ではどのような結果になるのか、まったく予想もつかないが、因縁の対決らしく第5戦までもつれ込む熱戦を期待したい。