両チームは2007、2008年と2年連続韓国シリーズで対戦し、2度ともSKが制して現在の黄金時代を築きあげた。3年連続のポストシーズンでの対決は、韓国シリーズとはならなかったが、開幕前はこの2チームが今年も韓国シリーズで激突すると予想した者も多かったため、例年にないプロ野球ファンたちの注目を集めている。
過去2年間の対戦を見ると、プレーオフを勝ち上がったトゥサンが先手を取るが、地力に勝るSKがペースをつかむと、2007年は第3戦以降、2008年は第2戦以降4連勝で韓国シリーズ優勝を決めた。今回トゥサンは準プレーオフからの出場で、プレーオフから出場するSKが迎え撃つという構図はこれまでと似ていなくもない。
2009年シーズンのSKは、リリーフ陣の不振で過去2年間のように中盤で首位独走体制に入れず、夏場には勢いに乗ったキアの独走を許してしまい、8月末から引き分け1つをはさんで史上最多の19連勝と怒涛の快進撃で公式戦を終えたが、惜しくもあと1勝届かず勝率は6割を超える2位に終わった。投打ともに選手層が厚く、隙のない野球を取り戻した。
SKの投手陣であるが、トゥサンの4.62(8球団中3位)に対して3.68(同1位)と、先発、リリーフの質、量ともに随一であった。だが、8月上旬試合中の負傷で戦線離脱したエースのキム・グァンヒョンは、故障もあってプレーオフの選手登録からは外れた。さらに右の先発要員で12勝したものの終盤調子を落としたソン・ウンボム、左のロングリリーフとして終盤の19連勝に大きく貢献したチョン・ビョンドゥも故障で出場しない。特にチョン・ビョンドゥの離脱は痛い。
先発はシーズン途中入団だったものの終盤安定した投球を続けたグローバー(元読売)、左腕コ・ヒョジュン、日本人投手門倉(元読売)が中心となると思われる。2009年は負傷もあり成績を残せなかったが、過去2年間の韓国シリーズで先発したチェ・ビョンニョンにも先発の機会がめぐってくる可能性も高い。また、2008年まで守護神だったチョン・デヒョンの不振もあって、絶対的な抑えはいないものの、右のユン・ギルヒョン、ベテランのキム・ウォンヒョン、左のイ・スンホ、チョン・ウラムなど切り札は多い。先発が崩れた場合、得意の継投策で何とかしのいでいくことになりそうだ。
SK打線はトゥサンのキム・ヒョンス、キム・ドンジュのような突出した選手は少ないが、上位から下位まで切れ目がなく、公式戦でのチーム打率.285、チーム本塁打数166本、得点732は8球団中1位、盗塁数は181個の同2位と、他球団を圧倒する攻撃力を誇っていた。
チーム最多本塁打はパク・チョングォンの25本だったが、チェ・ジョンの19本など2ケタ本塁打を記録した打者が10人もいる。盗塁も自身初となるシーズン50盗塁以上を記録した快足のチョン・グヌ(53盗塁)をはじめ、33盗塁のパク・チェサンなど2ケタ盗塁を記録した打者も6人いて、一発も足もある非常に厄介な打線となっている。なお、打線のキーマンは主に2番を打つパク・チェサンで、チーム最多の81打点を記録し、33盗塁の足だけでなく15本塁打と一発もあり、打線に火をつける存在だ。しかも左打者でありながら左投手を苦にしない。
準プレーオフでは、第1戦こそ敗れたが、第2戦以降ロッテとの地力の差を見せ付け、3連勝でプレーオフに駒を進めたトゥサン。戦力上投打ともにSKを上回ると言えるものはないため、緒戦の先発クム・ミンチョルが鍵となる。プレーオフ第2戦でロッテ相手に好投し、公式戦でも比較的SK打線を抑えていて、このプレーオフ第1戦の先発に大抜擢された22歳の若き左腕の好投に期待したい。第2戦以降はホン・サンサム、キム・ソヌなど準プレーオフでも好投した先発陣が控えている。
なお、公式戦終盤安定した投球を続け、準プレーオフ第1戦に先発し肩の痛みを訴え途中降板したニコースキー(元福岡ソフトバンク)がプレーオフのエントリーに入らなかったため、トゥサンも先発陣の層は決して厚くはない。そのためできる限り早めに決着をつけたいところだが、難敵SK相手に3連勝とはなかなか行かないだろう。打線ではSK戦で打率.311と比較的打っていた外野手イム・ジェチョルが、試合中の負傷でプレーオフに出場できないのが痛く、全体的にどの打者もSK相手には他チームよりも打率が下がる。
公式戦では9勝9敗1分とまったく五分の星に終わった両チーム。韓国シリーズ出場をかけた総力戦ではどのような結果になるのか、まったく予想もつかないが、因縁の対決らしく第5戦までもつれ込む熱戦を期待したい。