2009年は公式戦5位に終わり13年ぶりにポストシーズン進出を逃したが、2010年シーズンは若手がチームの主軸となり、鉄壁のリリーフ陣で公式戦2位に浮上したサムソンに対し、準プレーオフで連敗スタートながら第3戦以降3連勝でロッテをやぶり4年連続でプレーオフに進出したトゥサンは激闘の疲労が抜けず、サムソン有利との下馬評が高い。両チームのポストシーズンでの対戦は近年だと2005年の韓国シリーズ(サムソンが優勝)、2008年のプレーオフ(トゥサンが4勝2敗で韓国シリーズ進出)などがある。
ソン・ドンヨル監督率いるサムソンは、なんといっても鉄壁のリリーフ陣に象徴される手堅い試合運びが持ち味だ。2010年シーズンは、5回までリードしていた試合でなんと53連勝を記録し、チーム総失点も575(8球団中7位)と少なかった。しかもこれは1人の絶対的なクローザーに頼ったものではなく、かつて守護神として活躍したオ・スンファンを故障で欠く中、60試合以上登板した3人の投手(アン・ジマン、チョン・ヒョヌク、クォン・ヒョク)によるものであった。特にチーム最多登板(67試合)のアン・ジマンは、力のある速球を持ち味に要所で三振を奪い、チームの危機を救ってきた。そのほかにも右のクォン・オジュン、イ・ウソン、左のペク・チョンヒョンなどリリーフ陣の層は厚い。
先発陣は決して豊富とはいえないが、プレーオフ第1戦の先発を任されるチャ・ウチャン、チーム最多の13勝をあげたチャン・ウォンサムが2枚看板だ。その他の先発候補としては故障から復帰した外国人投手クルセタ、8月に途中入団したレディング、かつての球威はないが経験豊富なペ・ヨンスなどがいる。プレーオフのような短期決戦でも、先発が5,6回まで投げたら早めの継投で協力リリーフ陣が登場する展開が予想される。
捕手は投手陣の信頼が厚いベテランのチン・ガビョンだけでなく、控え捕手のヒョン・ジェユン、チェ・サンビョンのレベルも高く、ソン・ドンヨル監督の守りの野球を支えている。
打線はチーム打率4位(.272)、総得点5位(681)、チーム本塁打5位(118)とそこまで強力ではないが、これまでのベテランが多く走れなかったチームと違って、若手主体の攻撃陣となったため盗塁数3位(158)と比較的機動力を生かした攻撃が見られる。30盗塁以上の選手が3人(チョ・ドンチャン、イ・ヨンウク、キム・サンス)いることで相手の隙を確実につく野球ができ、チーム犠打数(151)も2位と手堅い野球がこれまで以上に見られるようになった。
不動の主軸となる選手は見当たらないが、チーム2冠王(24本塁打、97打点)の左の強打者チェ・ヒョンウが最も警戒すべき打者だ。といっても4番として必ず起用されていたわけでもなく、左のチェ・テイン、右のパク・ソンミンの若手野手たちも主軸に起用されていた。そしてパク・ハニ、シン・ミョンチョル、パク・ハニ、カン・ボンギュなど経験豊富なベテランも多く、非常に野手の層は厚い。
そしてプレーオフの選手エントリーには登録されていないが、ベンチには2010年シーズン限りで引退する大打者ヤン・ジュンヒョクが精神的支柱として選手たちを見守っている。ヤン・ジュンヒョクへの最後のはなむけとして選手たちが一致団結し、4年ぶりの韓国シリーズ優勝に向けて突き進んでいこうとしている。
これに対するトゥサンは、準プレーオフ第3戦以降経験不足で浮き足立ってしまったロッテに3連勝した勢いを買うことはできるが、何と言っても準プレーオフ第5戦からプレーオフ開始まで中1日しかないため、激闘で疲れ果てた投手陣の疲労回復が最大の不安材料である。
特に先発陣の層が厚くはない中、左のリリーフとして公式戦では先発中心の起用だった外国人左腕ウォーランド(元横浜)を起用してきたが、チェ・ヒョンウ、チェ・テイン、イ・ヨンウクなどサムソンの主力の左打者相手に通用するかどうかが、勝敗を大きく左右しそうだ。第1戦ではホン・サンサムが先発を任されるが、第2戦以降はヒメネス、キム・ソヌ、イム・テフンなどが先発として起用されると思われる。また、予定していた守護神イ・ヨンチャンの起用を見送ったことで、リリーフの軸を誰にするかが注目されるが、準プレーオフ第1,2戦と敗戦投手になったが、第4,5戦と調子を戻してきたチョン・ジェフンとなりそうだ。
打線では先頭打者のイ・ジョンウク、内野のソン・シホン、イ・ウォンソクなどが準プレーオフで好調であり、プレーオフでも期待がかかる。ただ3番をよく任されていた外野のキム・ヒョンスの調子が上がらないため、準プレーオフでも活躍した若手のチョン・スビン、ベテランのイム・ジェチョルなどの外野手の調子が打線の鍵を握りそうだ。また、控え捕手だったヨン・ドカンが準プレーオフMVPを受賞したことで、公式戦では正捕手だったヤン・ウィジの起用はどうするのか、キム・ギョンムン監督の選手起用に注目が集まる。
以上のことを踏まえると休養十分で公式戦終盤やチーム内の紅白戦でしっかり調整してきたサムソン有利と予想するが、準プレーオフの勢いを一気にもちこめばトゥサンにも勝機はある。だが第4戦以降に決着がもつれ込むと、準プレーオフの激闘の疲労が徐々に出てくるため、サムソンの勝機が増えるであろう。