DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  準プレーオフ : トゥサン−ロッテ 展望

 両チームのポストシーズンでの対戦は2010年準プレーオフと記憶に新しく、今回も公式戦3位トゥサンと4位ロッテの対決と同じ構図である。この時はロッテが第1,2戦で勝利しプレーオフ進出に王手をかけたが、トゥサンが第3戦から3連勝しプレーオフへと進出した。

 シーズンを通して好不調の波が大きかった3位トゥサンは、2012年から指揮をとりだしたキム・ジヌク監督にとって初のポストシーズンを迎えた。だが2007年から2010年まで4年連続ポストシーズンに進出していたことで、選手たちの経験値は高そうだが、2年前とチームが様変わりしている。そのため未知数の部分が目立つ。
 2010年のトゥサンは20本塁打以上の打者が5人もいる強力打線だったが、2012年シーズンはシーズン後半4番に定着したユン・ソンミンがチーム最多の10本塁打と、迫力不足である。かつて不動の4番だったキム・ドンジュは足の故障が癒えず準プレーオフのエントリーから外れた。2010年は24本塁打を記録した主軸のキム・ヒョンス、同じく20本塁打のヤン・ウィジも、2012年シーズンはそれぞれたったの7本塁打、5本塁打である。またチーム最多盗塁(24個)のチョン・スビン、ショートのレギュラーのソン・シホンなど負傷者も多い。
 チーム得点は8球団中6位(524)と、迫力不足の打線を何とか支えてきたのが、強力な先発陣をそろえた投手陣(チーム防御率3.58は3位)である。プロ10年目で才能が開花しチーム最多の12勝を記録したノ・ギョンウン、準プレーオフ第1戦の先発を任される安定した投手を続ける外国人投手ニッパート(11勝)、先発転向後初の2けた勝利を記録したイ・ヨンチャン(10勝)と三本柱がそろう。2012年シーズンは6勝止まりで不振だったが、ローテーションを守ったベテランのキム・ソヌも控えている。
 リリーフは中継ぎの中心がホン・サンサム、抑えがプロクターと役割分担がはっきりしている。ただポストシーズン特有の細かな継投で逃げ切るほど層が厚くなく、特に左腕が不足している。イ・ヘェチョン(元東京ヤクルト)は不安定で大事な場面では使いにくい。ロングリリーフで後半戦先発ローテーション入りしていたキム・スンフェの起用が考えられる。プロクターも35セーブを記録しているが、内容はあまりよいとは言えず、試合を壊してしまう危険もはらんでいる。
 
ロッテは9月以降主力の離脱で勝てなくなり、一時期は首位サムソンを伺う勢いもあったが、結局4位に終わった。そのため故障者の多いトゥサン同様大きな不安をもって準プレーオフに臨む。 
 2010年のロッテは三冠王イ・デホ(現オリックス)を軸とした重量打線のチームだったが、当時と比べて本塁打数は大きく減り、特に2012年シーズンは夏場以降の打線の不振でチーム得点は509と、ハンファと並んで最下位だった。だが正捕手カン・ミンホ(19本塁打)、ベテランのホン・ソンフン(15本塁打)など一発のある打者がトゥサンより目立ち怖さはある。打線の軸は3番に座るソン・アソプで、2012年シーズンは打率.313を記録し、最多安打(158本)のタイトルも手にし、24歳にして攻守ともにチームの顔となりつつある。そのほか快足の外野キム・ジュチャン、チョン・ジュヌ、内野ではサードのファン・ジェギュン、ファーストのパク・チョンユンなど怖い打者が並ぶ。
 
 投手陣はチーム防御率3.48は8球団中2位と数字はいい。だがトゥサンと比べて先発の層が薄い。夏場は不振で7勝止まりだったが9月以降立ち直ってきた右のエースのソン・スンジュンが第1戦の先発を任される。また三振が取れ安定した投球を続けてきた外国人左腕ユーマンは、9月に足の怪我で離脱したものの準プレーオフのエントリーに登録された。第2戦以降に先発するとしても状態が万全ではないとすると、その不振がロッテの敗退につながりかねない。その他の先発候補のサドースキー、コ・ウォンジュンは長いイニングを抑えられる期待が持てない。
 そうなるとリリーフ陣の働きが重要となってくる。右は速球派のチェ・デソン、サイドハンドのキム・ソンベ、左は変化球投手のイ・ミョンウ、カン・ヨンシクなど細かい継投ができる陣容である。また手術明けで8月に戦線復帰したアンダースローのチョン・デヒョン、左腕イ・スンホとSKでポストシーズンの経験が豊富な投手たちが準プレーオフにエントリーされ、鍵を握る存在になりそうだ。
 ただ34セーブの守護神キム・サユルもそこまで安定感がないため、上記の中継ぎ陣の誰か1人調子のよい者とのダブルストッパーが考えられる。ロッテといえば2008年以降4年連続でポストシーズンを勝ち抜けず次の段階に進めない勝負弱さが目立つため、細かい継投で相手の目先を変えてしのぐことが勝利の近道であると思われる。
 
 今回の準プレーオフは、戦力的にロッテがやや有利だと思われるが、一発は期待できないながらも得点圏打率が8球団中トップ(,286)のトゥサンが集中力を発揮し、先発がしっかりと終盤まで抑えれば、一方的な展開になることもあるだろう。2010年だけでなく、2009年の準プレーオフでもロッテに勝っていて得意な相手だという意識もある。果たしてロッテが過去4年立ちはだかってきたポストシーズンの壁を越え、1992年以来20年ぶりの優勝に向かうことができるのか、トゥサンは2011年自身が成し遂げた公式戦3位、準プレーオフからの韓国シリーズ優勝を再現できるのか、第5戦までもつれ込む熱戦を期待したい。なお、公式戦での直接対決はトゥサンが10勝8敗1分けと勝ち越している。