DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  2007年シーズン 8球団中間報告

 2007年シーズンのプロ野球は、これまで各球団80試合前後を消化し、オールスター戦の中断期間も終わり、20日から公式戦が再開されいよいよ終盤戦に突入する。そこで、8球団の中間報告ということで、各球団のこれまでの戦いを簡単に振り返ってみたい。(順位、個人成績などは7月15日現在)

 
1位:SK 
46勝30敗5分 勝率.605
 名将キム・ソングン監督とイ・マンス首席コーチを迎え、故障者が続出した2006年と違って優勝争いに加わるだろう、とする見方が多かったが、これまで予想以上の好成績を収めている。開幕直後に連勝を重ね首位に立ったが、5月後半になり投手陣の不振もあって調子を落とし首位の座を譲り大混戦を招いたこともあったが、6月後半からの11連勝で首位独走態勢に入った。
 好調の要因であるが、打線はパク・チェホン、イ・ジニョン、パク・キョンワンらの実績ある選手たちと、チョン・グヌ、チェ・ジョンなどの若手が融合し、日替わり打線だが上位から下位まで切れ目がない。兵役から復帰したかつての4番打者イ・ホジュンの存在も大きい。投手陣はレイボーン、ロマノ(ともに元広島)の両外国人の活躍により手薄だった先発陣がしっかりし、抑えのチョン・デヒョン、中継ぎのチョ・ウンチョン、ユン・ギルヒョンなど40試合以上に登板している投手が目立つなど、継投策も機能している。
 2000年創設と8球団で最も歴史が新しく、球団史上初の韓国シリーズ制覇に向け今のところ順調に勝ち進んではいるが、優勝争いの経験に乏しい選手が多く、今後失速する可能性もあり、死角が見当たらないというわけではない。悲願の初優勝に向け、より慎重な戦いが求められるであろう。


2位:トゥサン 
43勝35敗2分 勝率.551
 4月末まで最下位に低迷していたが、5月から6月前半まで絶好調で首位戦線に進出した。一時期首位にも立ったが、6月後半のSKの快進撃についていけず2位にとどまっている。だが7月13日から15日までの首位SKとの3連戦で3連勝するなど、直接対決の成績は9勝6敗と勝ち越しているのが今後に向けての好材料である。
 打線は2006年負傷でいいところがなかった主砲キム・ドンジュが完全復活したが、他にあまり一発を期待できる打者が少ない。だがコ・ヨンミン、イ・ジョンウクら足のある選手をそろえているので、得点効率は決して悪くはなく2006年に悩まされた貧打は解消された。故障中の正捕手ホン・ソンフンの復活が待たれる。
 投手陣はこれまで13勝をあげ最多勝投手となっているリオスが絶対的な存在だ。もう一人の外国人投手ランデルも8勝をあげていたが、7月になり故障で2軍落ちし、その他に信頼できる先発投手がいないのが問題点で、LGへ移籍したパク・ミョンファンの穴は埋まっていない。守護神チョン・ジェフンなどリリーフ陣は決して悪くはないが、投手陣のやりくりは決して楽ではなく、今後キム・ギョンムン監督の手腕に注目が集まる。


3位:ハンファ 
41勝34敗2分 勝率.547
 2006年サムソンに敗れ惜しくも韓国シリーズ準優勝に終わったハンファは、8年ぶりの韓国シリーズ優勝に向けて悪くはない位置にいる。4月から上位には居続けていて、SKが低迷した際には一時期首位にも立ったが、連敗も連勝もあるチームなので首位の座を固めることはできなかった。
 「ダイナマイト打線」と呼ばれる強力打線が売りだが、実のところ主砲キム・テギュン、韓国1年目ながら打撃タイトル争いに顔を出すクルーズの中軸以外頼りになる打者が少なく、足を使った攻撃も少なく上位打線の出塁率もあまり高くないため、思ったほど得点は多くない。キム・テギュン、クルーズの後を打つことが多い長打力のあるイ・ボムホに安定感があれば、得点はもっと増える。
 投手陣は2006年高卒新人ながら最多勝最優秀防御率などタイトルを総なめした左腕リュ・ヒョンジンが、今季もエースとして10勝をあげている。ベテランのチョン・ミンチョル(元読売)も今季は好調だが、同じベテランのムン・ドンファンが故障で離脱するなど、先発投手の数は決して豊富ではない。リリーフ陣も中継ぎのスペシャリストがいないなど不安が多く、守護神ク・デソン(元オリックス)は故障で出遅れたこともあり、以前と比べ打たれる場面も多い。キム・インシク監督が何とか苦しい投手陣をやりくりし、打線のさらなる爆発に期待するしかない。



4位:LG 

37勝36敗4分  勝率.507
 名将キム・ジェバク新監督の下、2006年球団史上初の最下位に終わった惨状からはかなり立ち直っている。首位に立ったことはなく、何とか中位に踏みとどまっているが上位チームとの戦力差は決して小さくはなく、ポストシーズン進出可能な4位確保が最大の目標となりそうだ。
 打線は長打力不足で決して強力とは言えないが、上位から下位までのつながりは決して悪くはない。主砲として期待されたバルデス(元福岡ダイエー)は本塁打が5本と少なくあまり期待通りの活躍とは言えないが、快足のイ・デヒョンがレギュラーに定着し盗塁王争いでもトップに立ち、チームに勢いを与えている。イ・ジョンヨル、チェ・ドンスなど生え抜きのベテラン勢の復活も大きく、日本へ移籍したイ・ビョンギュ(中日)の穴を感じさせない。
 投手陣は何と言ってもFAでトゥサンから移籍したパク・ミョンファンが開幕8連勝を含む9勝をあげているのが大きい。だがその他の信頼できる先発投手はベテランのチェ・ウォンホくらいで、サムソンから移籍した外国人投手ハリッカラも期待に応えられず退団した。リリーフ陣は抑えのウ・ギュミンこそセーブ王争いトップの21セーブをあげているが、信頼できる中継ぎ投手が少ない。7月になり新外国人投手オクスプリング(元阪神)が入団したが、大幅な戦力の上積みはあまり見込めず、現在の位置をキープすることが最大目標となりそうだ。


5位:サムソン 
36勝39敗3分 勝率.480
 2005年、06年とソン・ドンヨル監督の守りの野球が浸透し、韓国シリーズを連覇し圧倒的な強さを誇ってきたサムソンだが、今季は開幕直後なら波に乗れず、5月初めには一時期最下位にも転落した。その後も4位前後をキープするのがやっとで、予想以上の低迷となっている。その要因は世代交代の失敗にある。
 特にそれが顕著なのが打線だ。今季史上初の2000本安打を達成したヤン・ジュンヒョクは、現在打率.335と38歳の年齢を感じさせない好調ぶりで打線を引っ張っているが、その他の打者が頼りなく若手の台頭がほとんど見られず、得点力は低い。常に上位を打ちチームの攻撃の起点となってきたパク・ハニの不調も大きい。ここ数年FAでシム・ジョンス、パク・チンマンなど他球団から主力選手を引っ張ってきたため、その分若手の起用と成長が遅れてしまった。2006年ほど「投高打低」ではない今季のプロ野球では、「守りの野球」だけでは限界を感じる。
 投手陣はクォン・ヒョク、抑えのオ・スンファンなどリリーフ陣は高い質を誇るが、先発陣ではエースとしてここ数年活躍してきたが手術のため今季はリハビリで登板できないペ・ヨンスの穴が大きい。その代わりとして期待された外国人投手たちもいまひとつで、2006年チーム最多勝だったがLGに移籍したハリッカラの穴を埋められず、2年目の外国人投手ブラウン(元阪神)が一番安定感がある。現状では3年連続の公式戦優勝よりも、ポストシーズン進出のための4位確保が最大の目標となりそうだ。
 

6位:現代  
37勝41敗  勝率.474
 シーズン開幕前に親会社の業績不振による球団売却騒動が話題となったが、何とか今季は現代ユニコーンズのままシーズンを終えそうである。開幕前は球団の行方が心配で選手や指導者たちは野球どころではないのではないかと心配されたが、シーズンの戦いぶりは思ったほど悪くもないものの、決していいとも言えない。
 打線は3年ぶりに復帰し本塁打王争いトップの21本塁打を打ったブランボー(元オリックス)を軸に、ベテランの功打者チョン・ジュンホやイ・スンヨン、主軸として成長したイ・テックンなどの選手がそろい、他球団に決して見劣りはしない。だが足を使った攻撃が少なく得点力は意外と低く、選手層も厚くはない。
 問題は投手陣で、ここ2年ほど不振だったキム・スギョンが復活したものの、一番勝ち星が計算できる外国人投手キャラウェイは故障で2軍落ちするなど先発投手陣が手薄である。リリーフ陣は抑えにベテランのソン・シニョンが定着し、若手のチョ・ヨンフンが台頭するなど決して悪くはない。現状や選手層の薄さを考えると、チームも4位確保が最大目標となるであろうし、何よりも1日も早く球団の今後の存続方針を決めてほしいものである。


7位:ロッテ 
34勝41敗3分  勝率.453
 今季は序盤比較的好調だったが、シーズンも半ばを迎えると徐々に下位へと後退するようになり、本拠地釜山の熱狂的なファンが熱望するポストシーズン進出はやや厳しくなってきた。問題は投打のバランスの悪さだ。
 打線は2006年打撃三冠王となったイ・デホが今季も健在で、主砲として期待通りの活躍をしている。イ・スンファなどこれまでレギュラーに定着できなかった若手が育ってはきているが、全体的に小粒であり長打力や多くの盗塁を期待できる選手が少ない。また外国人打者ホセもキャンプ中の故障により出遅れ不振により解雇され、新外国人打者リオスも韓国に適応できず7月に解雇されるなど、戦力補強の失敗も見られる。2年ぶりにロッテへ復帰した外国人打者ペレス(元オリックス)に期待がかかる。
 投手陣はエースのソン・ミンハンを中心に数はそろっているが、ベテランが多いのが気がかりである。今季入団したベテランのチェ・ヒャンナムは、序盤勝てなかったが徐々に勝ち星を増やしてきていて希望が持てる。リリーフ陣は兵役から復帰したイム・ギョンワン、150km/h以上の速球を投げるチェ・デソンなどが中継ぎに定着したが、抑えのカブレラは安定感を欠くなど不安材料もある。幸いLG、サムソン、現代など上位にいるチームとの差は大きくないので、戦力が整えば4位以上進出の可能性はまだあると思われる。


8位:キア 
31勝49敗1分 勝率.387
 開幕当初の混戦の頃はまだよかったが、5月も半ばを過ぎると他球団のし烈な順位争いから取り残されていき、最下位に低迷するようになった。投打ともに他球団より劣る部分が目立つ現状では2年ぶりの最下位が濃厚で、前身のヘテ時代に9度の韓国シリーズ優勝をほこった面影は見られない。
 打線で元気なのは主軸のチャン・ソンホ、今季大きく打撃が成長したイ・ヒョンゴンくらいで、2006年1番打者として活躍したイ・ヨンギュの不振が痛い。元大リーガーとして期待された長距離砲チェ・ヒィソプが5月に入団したが、調子が上がらずわき腹痛で2軍落ちするなどまだその本領を発揮できず、以前からの課題だった打線の長打力不足は今季も解消できていない。かつてチームを引っ張ってきたイ・ジョンボム(元中日)も年齢による衰えもあり、2軍落ちした。またレギュラーの選手で故障者が続出しているのも大きい。
 投手陣は2006年チーム最多勝だった外国人投手グレイシンガー(東京ヤクルトのグライシンガー)が日本へ移籍し、その穴を埋めることができていないのが痛い。先発投手陣で一番安定感のあるユン・ソンミンが、好投しながらも勝ち星に恵まれずわずか4勝しかあげられていない。スコービーなどの新外国人投手たちも期待にこたえられていない。またエースとして期待されているが、怪我や故障が多いキム・ジヌは今季も活躍できていない。リリーフ陣も2006年活躍した選手の多くが不振で層が薄く、150km/h以上の速球で抑えに定着した20歳のハン・ギジュが唯一の希望である。最下位脱出の可能性がまだまだなくなったわけではないが、戦力不足もあり若手の起用も目立ち、来季以降を見据えた戦いで今後に希望を持てる形でシーズンを終わらせることが最良であろう。
(文責:ふるりん)