DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第7回 ロッテジャイアンツ

【2006年成績】 
50勝73敗3分 勝率.407 公式戦7位

2006年は、序盤好調で4年連続最下位から脱出し5位に浮上した前年の勢いをそのまま続けたかったが、過去にロッテを2度の韓国シリーズ優勝に導き13年ぶりに復帰したカン・ビョンチョル監督は期待に応えられなかった。序盤に大きくつまづき勝率は3割台に低迷し上位から大きく引き離され、6月以降はLGとの最下位争いを繰り広げ、終わってみれば7位だった。
 
 低迷した最大の要因は選手層の薄さと試合運びのまずさにあった。投手陣だが、2006年のチーム防御率は3.86と8球団中7位だが、そのうちイ・サンモクが12勝、ソン・ミンハンが10勝と先発投手陣は質も数も他球団に見劣りしていたわけではなかった。だがリリーフ陣が手薄で、序盤は高卒新人ナ・スンヒョンが抑えを務めたが打たれるようになり外されてしまった。結局安定した成績を残す守護神を作れず、中継ぎ陣も日替わりで安定せず試合を作れなかった。

 2005年途中まで守護神を務め、2006年オフFAを行使した問題児ノ・ジャンジンとは契約せず、2004年から06年までSKで活躍した外国人投手カブレラと契約し、チーム最大の課題の抑え投手不足を解消しようとしている。カブレラは150km/h前後の速球が武器の剛球投手だが、安定感がなく絶対的な存在になれるかは微妙だ。
 中継ぎ陣は、2004年最多ホールドのタイトルを獲得したが軍に入隊していたイム・ギョンワンの復帰が大きい。またサムソンから左腕カン・ヨンシクがトレードで移籍し、中継ぎ陣に加わる。かつて先発として活躍したパク・チチョル、チュ・ヒョングァンなども中継ぎとして起用されると思われる。
 先発陣も2006年米国大リーグ傘下のマイナーリーグでプレーしていたチェ・ヒャンナム、ソン・スンジュンの2人が加わり層が厚くなった。特にチェ・ヒャンナムは2005年までキアで活躍していた実績があり、示範競技でも好投しローテーション入りは確実だ。ソン・スンジュンは3月末に入団が決まったばかりで、もし順調に調整が進めば大きな戦力となる。
 先発の柱は今季も安定した投球内容を見せるエースのソン・ミンハンだ。チーム最多勝のイ・サンモクは隔年投手の傾向が強く、今季はあまり期待できない。2006年7勝をあげた左腕の速球派チャン・ウォンジュン、キム・スファなどの若手、ベテランのヨム・ジョンソクなどの成長と奮起に期待したい。先発陣は補強によって底上げが進み、2006年のような不安定なマウンドにはならないと思われる。示範競技では投手陣の頑張りによりここまで好成績を残している。


 打線ではイ・マンス(元サムソン、現SK首席コーチ)以来22年ぶり2人目の打撃三冠王となったイ・デホが今年も軸となる。体重100kgを超える巨漢で右打者だが打撃技術が高く、三振も非常に少なかった。今季は他球団の投手のマークがきつくなるが、主砲としての活躍が期待される。また5年ぶりに復帰した外国人打者ホセも2006年は22本塁打と期待に応え、イ・デホ三冠王をアシストしたが、今季はキャンプ中の3月初めにアキレス腱炎症を起こし、示範競技にもまだ出場しておらず、開幕を万全の状態で迎えられるかどうか微妙だ。今年で42歳という年齢も気になる。
 イ・デホ以外に長打力のある打者が育っていないのが悩みだ。かつてトゥサン時代に4年連続盗塁王に輝いたチョン・スグンも、ロッテ移籍後は怪我や怠慢プレーによる2軍落ちなどでシーズンを通して活躍したことがない。ファン・ソンヨン、イ・スンファなど小器用な1,2番タイプの若手は多いが、2006年のチーム盗塁数は62個と8球団中最少だった。チョン・スグンがフル出場し30個前後の盗塁を記録し、その他の若手もどんどん走らせて攻撃パターンを多彩にしたい。
 2006年のチーム打率は.250と8球団中7位で、他球団と比べやや見劣りしていたが、88本塁打とチーム本塁打イ・デホ、ホセの活躍で4位とそれなりの数字だった。だが主砲2人への依存度が強く、「打線」にはなっていなかった。下位打線の充実と積極的な走塁で得点力をアップさせたい。

 守備面では韓国プロ野球を代表するショートの1人となったパク・キヒョクに注目だ。まだ25歳とさらなる成長が期待できる。またベテランのパク・ヒョンスンも2006年は正二塁手に復帰し、若手に負けない存在感を示した。正捕手は2006年公式戦全126試合に出場したカン・ミンホで投手からの信頼も厚く、打撃面でも9本塁打と打線の核となった。今季は韓国を代表する時代の捕手になれるか注目したい。

 21世紀になってロッテは1度もポストシーズンに進出できず下位争いに沈んでばかりで、大都市釜山の熱狂的なファンたちは毎年歯がゆい思いをしている。今季は果たして3万人収容の社稷(サジク)野球場を何度満員にし、場内に何度「釜山カルメギ(カモメ)」や「プサンハンヘ トラワヨ(釜山港へ帰れ)」の大合唱を響かせることができるあろうか。

 
【本拠地】
釜山・社稷(サジク)運動場野球場
釜山広域市、釜山地下鉄3号線社稷駅下車徒歩5分、同総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅徒歩10分、釜山駅から地下鉄で約20分
(文責:ふるりん