DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第3回 現代ユニコーンズ

【2006年成績】 
70勝55敗1分 勝率.560 公式戦2位、プレーオフ敗退

 2006年は、前年シム・ジョンスなどの主力を引き抜かれ7位に低迷したものの、キム・ジェバク監督が見事にチームを立て直し、優勝争いに加わった。特に終盤は首位サムソンをあと一歩のところまで追い詰めたが、惜しくも2位に終わり、プレーオフでハンファに敗れた。1996年の創立以来11年間で4度の韓国シリーズ優勝を達成した強豪に恥じない戦いぶりだった。

 だが、創立以来チームを率いてきたキム・ジェバク監督がコーチ陣を何名か引き連れ、LGの新監督に就任した。2006年末から大株主の現代グループ半導体事業体「ハイニクス」の経営不振による経営危機がささやかれるようになり、2007年1月には農協への球団売却が報じられた。だがこれは諸方面からの反対により撤回され、その後現代グループの他の企業の支援も受けられず、球団は選手の給与の支払いもいつまで続けられるか分からない瀕死の状態にある。KBO(韓国野球委員会)は水面下で売却交渉を進めているが、3月27日現在球団の今後の見通しは不透明だ。最悪の場合は、選手をトレードに出しながら球団を維持するのではないかとも言われている。

 そんな状況にあっても、投手コーチから昇格したキム・シジン新監督のもと、チームは1月からフロリダ、鹿児島でキャンプを行い、示範競技も消化しシーズン開幕に向け準備を進めている。2005年本塁打、打点の二冠王だった外国人打者サットンがキアに移籍し、代わりに2004年首位打者となり韓国シリーズ連覇に貢献したブランボーが日本プロ野球オリックスから復帰した。その他の戦力に大きな変化はない。

 投手陣は2006年チーム最多の14勝をあげた外国人投手キャラウェイ、ベテランの※チョン・ジュンホ(全俊鎬)、新人ながら12勝をあげた左腕チャン・ウォンサムなどが先発の軸だ。これにここ2年故障で満足な働きができていないかつての先発の軸でFA再契約したキム・スギョン、2005,06年と未勝利のかつてのエース、チョン・ミンテ(元読売)が復活の気配を見せており、先発の層が厚くなってきた。
 中継ぎもソン・シニョン、若手のイ・ヒョンスン、ノ・ファンスなど質の高い左右の投手がそろっていて、抑えには2006年大抜擢で守護神となったサイドハンドのパク・チュンスが控えている。2005年まで4年間守護神として活躍したチョ・ヨンジュンは、05年秋に受けた肩の手術からのリハビリから完治せず、今季の登板は不透明だ。ここ数年中継ぎとして活躍したシン・チョリンが軍に入隊したが、代わりにかつての中継ぎエースのイ・サンヨルが復帰し、大きな戦力として期待される。

 打線は2006年8球団最高のチーム打率.270を記録し、外国人サットンは故障で出場数は少なかったが、上位から下位まで切れ目のない打線だった。注目はプロ4年目で外野のレギュラーに定着し、打率.322を記録し首位打者争いに加わったイ・テックンだ。今季も確実性の高い打撃で中軸を任される。問題点はやや高齢者が多く、若手の台頭があまり見られない。その中で今年まだ27歳の正三塁手チョン・ソンフンが、イ・テックン、ブランボーとともにクリーンアップを形成するであろう。日本ではあまり活躍できなかったブランボーの奮起にも期待したいが、鹿児島キャンプで右アキレス腱を痛め示範競技にはまだ1試合しか出場できず、開幕1軍は微妙だ。
 ベテラン勢ではチームの精神的支柱の内野手イ・スンヨン、通算盗塁記録(521個)保持者の※チョン・ジュンホ(田筇昊)、強打の外野手ソン・ジマン、ベテラン捕手キム・ドンスなどが今季も主力として活躍すると思われる。守備面ではサムソンへ移籍した二塁手パク・チョンホ、ショートのパク・チンマンの穴がなかなか埋まらず、2006年もニ遊間はソ・ハンギュ、チェ・ジョングク、ホン・ウォンギなどの併用となった。チ・ソックン、チャ・ファジュンなど若手内野手の台頭が望まれる。

 戦力面では他球団にまったく見劣りせず、キム・シジン監督が偉大な前監督の後任というプレッシャーを感じずチームを指揮できれば、今季も十分優勝争いに加わることはできる。最大の敵は経営危機に瀕した球団自身だ。もし球団が他企業に売却されれば、シーズン途中に新球団となる可能性もある。

(※全俊鎬投手、田筇昊外野手ともにカタカナ表記は「チョン・ジュンホ」となり、韓国語の発音もまったく同じのため、今季は漢字表記も併用する。)

【本拠地】
水原(スウォン)総合運動場野球場
…京畿道水原市(ソウル駅から首都圏電鉄線で約1時間)、水原駅からバス・タクシーで10分、ソウル地下鉄2・4号線舎堂(サダン)駅から7770番の直行バスで40分程度、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)下車