DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第2回 SKワイバーンズ

「根強い勝者のメンタリティー」 
2012年成績 : 71勝53敗9分け(韓国シリーズ準優勝)
チーム総合採点…75点


 3度の韓国シリーズ優勝に導いた名将キム・ソングン監督のあとを受けたイ・マンス新監督の手腕に疑問が持たれるなど、開幕前SKの評価はそこまで高いものではなかった。4月7日、キアとの開幕戦で新外国人マリオが好投し勝利すると、キアから移籍してきた外国人投手ロペス、ソン・ウンボムなどの先発陣と、左の中継ぎにパク・ヒィスが定着し投手陣のがんばりで、打線が今ひとつだったが4月は9勝7敗と勝ち越しまずまずの位置につけた。FA(フリーエージェント)でLGから移籍してきた強打の捕手チョ・インソンも活躍した。
 5月になるとロペス、マリオの両外国人投手の不振で、先発陣が苦しくなったがユン・ヒィサンがローテーションを外れることなく、パク・ヒィスなど救援陣の頑張りで投手陣崩壊を食い止めた。またベテランのイ・ホジュン、チェ・ジョンなどの本塁打量産もあり、5月末には混戦の上位争いで好調だったネクセンを抜いて首位に立った。6月は半ばまで左のキム・グァンヒョンの復帰もあって好調で、肩の痛みで今後の活躍が期待できないとしてロペスを退団させ、新外国人ブッシュと契約した。
 しかし6月後半になってリリーフ陣に疲れが見え、好調ロッテに首位の座を奪われた。6月30日には調子を上げてきたサムソンにも抜かれ3位に後退し、ブッシュも期待通りの成績を残せずマリオの離脱もあって勝てなくなり、梅雨時で雨天中止が相次ぐ中、7月11日には2006年以来6年ぶりとなる8連敗で6位にまで後退した。だがこの時点でまだ勝率は5割ちょうどで、サムソンが首位独走体制を固めていたが、混戦の2-6位争いになんとか踏みとどまっていた。
 8月になると復調の気配を見せ、後半は絶好調で23日にはシーズン最多の7連勝でロッテを抜いて2位に浮上した。キム・グァンヒョンがイ・ホジュン、パク・チョングォンなど主軸打者の援護を受け好調で、リリーフ陣のがんばりで不安定な先発陣をカバーしていた。大崩れしない首位サムソンの姿は遠かったが、ロッテとの熾烈な2位争いが続いた。9月前半はロッテにやや離され3位だったが、9月18、19日の直接対決で連勝し2位に浮上した。キム・ガンミン、チョン・グヌ、チェ・ジョンの主力打者が好調で、開幕からローテーションを守り9月29日には自身初の10勝目を記録したユン・ヒィサンの好投など投打がかみ合い、ラストスパートで逃げ切った首位サムソンを追い詰められなかったが2位争いを制した。
 
 10月16日のプレーオフから出場したポストシーズンはトゥサンとの準プレーオフに勝利し、公式戦では激しい順位争いを続けたロッテとの対戦となった。本拠地文鶴での第1戦は、先発キム・グァンヒョンの好投とパク・チョングォンの決勝タイムリーで2-1と勝利した。第2戦は4点のリードをミスで守れず延長戦の末4-5で敗れた。舞台を敵地社稷に移した第3戦は1-4で完敗し、3敗したら終わりのプレーオフではもうあとがなくなった。
 第4戦はマリオの好投とチョン・グヌの活躍で2-1と接戦を制し、決着は文鶴での第5戦となった。ロッテに3点を先制されたが、リリーフ陣の好投と相手のミスにつけこむ攻撃で逆転し、6-3で勝利し史上初となる2007年以降6年連続韓国シリーズ出場を成し遂げた。
 韓国シリーズは、2010年以降3年連続でサムソンと対戦し、前年敗れた借りを返すことが期待された。しかし調整が万全の王者サムソン相手に、敵地大邱での第1,2戦ともに敗れた。雨天により1日順延となった文鶴での第3戦はキム・ガンミンの3ランなどで乱打戦を12-8で勝利し、第4戦はキム・グァンヒョンの好投で4-1と連勝、2勝2敗のタイとなった。しかし中立地の蚕室での第5戦を1-2の接戦で落とすと、第6戦は0-7と完敗し、韓国シリーズは2年連続でサムソンの前に敗れ、2年ぶりの優勝はならなかった。

 2012年のチーム成績を見てみる。
 まず投手陣であるが、防御率は3.82(8球団中4位)で、先発投手陣の層がやや薄かった。シーズンを通してローテーションを守っていたのがユン・ヒィサンで、自身初、そしてチーム最多の10勝と大きな成長を遂げた。近年続く体調不良で6月からの1軍登板となったキム・グァンヒョンは、打線の援護もあって8勝を記録した。そのほかは後半好調だったソン・ウンボム(8勝)、夏場に2か月戦線を離脱した外国人投手マリオ(6勝)などが他の先発要員で、シーズン途中入団のブッシュは4勝どまりで内容も悪く期待に添えなかった。
 その代わり、SKはシーズンホールド記録(34)を塗り替えたパク・ヒィス、自身初の30セーブをあげたチョン・ウラムと、2人の頼れる左腕を中心にリリーフが充実していた。右のリリーフはイ・ジェヨン、オム・ジョンウクだけでなく、新天地で復活したチェ・ヨンピル、パク・チョンベなどが活躍した。また軍から除隊されたばかりのチェ・ビョンニョンは先発にリリーフに活躍した。
 不安な投手陣を補ったのが、チーム本塁打数(108)は8球団1と一発のある打線だった。その核は主に3番を打つチェ・ジョンで、2012年シーズンは自己最高の26本塁打、84打点を記録した。4番を任されたベテランの強打者イ・ホジュンも好成績で18本塁打、78打点と効果的な一発が多かったが、パク・チョングォンは12本塁打、59打点と物足りない数字だった。不動の1番打者チョン・グヌ、外野の要キム・ガンミンなど実績のある選手だけでなく、強打の捕手チョ・インソンも打線に欠かせない存在だった。守備ではこれといった不動のショートがいない中、ベテランのショートのパク・チンマンが存在感を示した。

 2012年オフシーズン、長年主力打者として活躍してきたイ・ホジュンがFAで新球団NCへ移籍し、リリーフの軸だったチョン・ウラムも軍へ入隊した。投打ともに目立った若手が少なく主力の高齢化が進んでいることもあり、この2人の穴を埋めるのは容易ではない。マリオ、ブッシュとの再契約はせず、新外国人投手としてセッドン、レイエスと2人の左腕と契約した(当初契約予定だったスレイトンは精神的問題により契約破棄)。
 だが2012年シーズン終盤の好調、そしてロッテとのプレーオフで見せた逆境からの勝利は、2007年から2010年にかけて3度の韓国シリーズ優勝をなしとげた強豪らしい勝者のメンタリティーを感じさせた。2013年シーズン、2年目を迎えたイ・マンス監督はそれをうまく受け継ぎ、3年ぶりの韓国シリーズ優勝に導くことが期待される。

(文責 : ふるりん)