初の韓国シリーズ連覇へ
2023年は1994年以来となるレギュラーシーズン、韓国シリーズ優勝を成し遂げたLGツインス。優勝を置き土産として、抑えを務めていたコ・ウソクがポスティングでMLBサンディエゴパドレスへと移籍した。FA選手のうち、キム・ミンソンはサインアンドトレードの形でロッテジャイアンツへ移籍、代わりにキム・ミンスが移籍してきた。また新外国人選手として左腕のエンス(元埼玉西武)と契約した。
【投手陣】
〈先発〉
ケリー、◎△エンス、イム・チャンギュ、チェ・ウォンテ、△キム・ユンシク、△イ・ウチャン、イ・ジガン
〈リリーフ〉
チョン・ウヨン、キム・ジンソン、チェ・ドンファン、ペク・スンヒョン、パク・ミョングン、△ ハム・トクチュ、ユ・ヨンチャン
注 : ◎は新加入、△は左腕
先発投手陣では韓国6年目の外国人選手ケリーが健在だ。2019年から2023年までの5年間で68勝と安定感が抜群であるが、34歳という年齢が不安材料となる。そこで新外国人選手の左腕エンスに期待がかかる。韓国人選手では2023年チーム最多の14勝を記録、FAとなり再契約したイム・チャンギュと、2023年シーズン途中の7月にキウムヒーローズからトレードで移籍してきたチェ・ウォンテの2名の右腕が中心となる。
層の厚いリリーフ陣では、コ・ウソクに代わる抑え候補が懸念である。示範競技では2023年にようやく一軍に定着した27歳の右腕ユ・ヨンチャンが抑えとして起用されている。他には左腕ハム・トクチュも抑えの経験が豊富である。
【打撃陣】
〈先発予想〉
捕手:パク・トンウォン
一塁:オースティン
二塁:△ シン・ミンジェ
三塁:△ ムン・ボギョン
遊撃:△ オ・ジファン
外野:△ムン・ソンジュ、△ ホン・チャンギ、△パク・ヘミン
指名:△ キム・ヒョンス
〈控え〉
(捕手) キム・ボムソク、ホ・ドファン
(内野手) ク・ボンヒョク、◎キム・ミンス、ソン・ホヨン、イ・ジェウォン
(外野手) △アン・イックン、△チェ・スンミン、◎キム・ヒョンジョン
注 : ◎は新加入、△は左打者。
上位から下位まで切れ目のない打線は韓国シリーズ優勝の原動力となった。出塁率の高いホン・チャンギと俊足巧打のパク・ヘミンのチャンスメイカー2人、36歳のベテランのキム・ヒョンス、韓国2年目の外国人選手オースティン、23歳の新鋭の左打者ムン・ボギョン、強打の捕手パク・トンウォンの中軸は破壊力がある。また生え抜きの遊撃手オ・ジファン、2023年に二塁手の定位置をつかんだシン・ミンジェ、2023年に急成長を遂げた外野手ムン・ソンジュなどが下位打線とスキがない。
主力が固定されている分、若手の起用は限定的になりやすい。その中では2年目の19歳のキム・ボムソク、ロッテジャイアンツから移籍した26歳のキム・ミンス、19歳の高卒新人ながらキャンプ中の練習試合で活躍したキム・ヒョンジョンなどが一軍定着を狙う。
就任1年目で韓国シリーズ優勝と最高の結果を残したヨム・ギョンヨプ監督はやや投手力に不安があるものの、チーム史上初となる韓国シリーズ連覇、4度目の優勝を狙う。28年間勝てなかった呪縛から解き放たれたLGツインスにとって、真の黄金時代を迎え新たな歴史を開く1年となるかもしれない。
【本拠地】
ソウル・蚕室(チャムシル)野球場
地下鉄の駅出入口の階段を上がったら目の前に迫ってくる韓国屈指の規模の野球場は、LGのみならずトゥサンベアースの本拠地でもある。LGは1982年創設のMBC青龍(チョンニョン)の時代からソウル特別市を本拠地としていることもあり、「ソウルの地元球団」を前面に押し出してきた。同じ蚕室野球場を本拠地とするLG-トゥサンは球場全体がLGファンとトゥサンファンに分かれ、グラウンドだけでなく観客席でも熱い応援合戦が繰り広げられる。
1982年に完成した蚕室野球場は40年以上の歳月が過ぎ、近年建設されたボールパークを意識した野球場と比べ前時代的な構造だが、改良を重ね快適な観戦環境が整っている。全国各地の出身者が集まる首都圏にあるため、3塁側の遠征チームのファンが多い時は他の野球場にない全体が熱狂に包まれた独自の雰囲気が醸し出される。今後付近に新球場建設の計画があるものの、着工のめどはたっていない。
[交通アクセス]
ソウルメトロ2号線・9号線総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、5番出口徒歩0分。
(文責:ふるりん)