DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2023年韓国シリーズ:LG-KT、メディアデー開催

 2023年プロ野球ポストシーズンはいよいよ年間総合優勝を決める韓国シリーズを迎え、11月7日よりレギュラーシーズン優勝のLGツインスと、NCダイノスとのプレーオフに勝利したKTウィズが対戦する。両チームはポストシーズン初対戦となる。

 韓国シリーズ開幕を前日に控えた11月6日14時より、蚕室野球場にて韓国シリーズ恒例のメディアデーが実施された。`LGからはヨム・ギョンヨプ監督とオ・ジファン内野手、イム・チャンギュ投手、KTからはイ・ガンチョル監督とパク・キョン内野手、パク・ヨンヒョン投手が出席した。席上で第1戦の予告先発投手が発表され、LGケリー(※ 30試合・10勝7敗・防御率3.83)、KTコ・ヨンピョ(※ 28試合・12勝7敗・防御率2.75)である。

韓国シリーズ:LG-KTメディアデー https://sports.news.naver.com/news?oid=311&aid=0001658514

 

 先に4勝したほうが2023年シーズンの年間優勝となる。9回を終えても同点の場合延長戦となり、15回を終えても決着がつかなかった場合は引き分けとなる。LGは1994年以来3度目、KTは2021年以来2度目の優勝を狙う。

(※ 2023年レギュラーシーズンの成績。)


【2023年 韓国シリーズ:LGツインス-KTウィズ 日程】

第1戦 : 11月7日   18時半  ソウル・蚕室

第2戦 : 11月8日   18時半  ソウル・蚕室

第3戦 : 11月10日   18時半  水原

第4戦 : 11月11日   14時   水原

第5戦 : 11月13日   18時半  ソウル・蚕室

第6戦 : 11月14日   18時半  ソウル・蚕室

第7戦 : 11月15日   18時半  ソウル・蚕室

※雨天などにより順延となった場合はその後の試合も1日ずつずれていく。

 

【韓国シリーズ 展望】

 LGツインスにとっては2002年以来21年ぶりの韓国シリーズとなる。その後2003年から2012年まで10年連続ポストシーズン進出失敗など低迷が続いた。2019年からは5年連続でポストシーズンに進出しているが、2022年はレギュラーシーズン2位でポストシーズンプレーオフから出場しながらキウムヒーローズに敗れ、韓国シリーズ進出に失敗した。これを受けて就任したヨム・ギョンヨプ監督は整っていた戦力をさらに充実させ、シーズン後半はずっと首位を維持して1994年以来となるレギュラーシーズン優勝を決めた。 

 LGは質の高い投手陣を中心に優勝争いを勝ち抜いた。第1戦の予告先発投手は韓国5年目の外国人選手ケリーで、5年連続10勝以上を記録した安定感と経験がある。2023年は不調だった時期もあったが、9月以降持ち直した。チーム最多の14勝を記録した生え抜きの韓国人選手イム・チャンギュ、7月にキウムからトレードで移籍したチェ・ウォンテ、シーズン途中の8月から先発に転向したイ・ジョンヨンなどが先発投手候補となる。なお、11勝を記録した外国人選手プルトコは故障で離脱し、すでに帰国してしまったため韓国シリーズには出場しない。

 リリーフ陣では右腕が豊富で、38歳のキム・ジンソンはリーグ最多の80試合に登板し21ホールドを記録し中継ぎの柱となった。その他右腕ではユ・ヨンチャン、チョン・ウヨン、左腕ではハム・トクチュなどが主なリリーフである。2022年に最多セーブの個人タイトルを受賞したコ・ウソクは故障で出遅れたが、チーム最多の15セーブを記録し地力を証明した。韓国シリーズでも抑えを任せられると思われる。

 LGは攻撃陣も強力である。広い蚕室野球場が本拠地のため本塁打数は多くないが、上位から下位まで切れ目のない打線が構成できる。上位打線のチャンスメイカーに経験豊富な快足の外野手パク・ヘミン、打率(.332)と出塁率(.444)の高さを誇るホン・チャンギ、チーム最多の盗塁数(37個)を記録したシン・ミンジェなどがそろい、中軸には韓国1年目ながらチーム最多の23本塁打、90打点を記録した外国人選手オースティン、35歳のベテランの左打者キム・ヒョンス、23歳の新鋭の左打者ムン・ボギョンなどがそろう。また強打の捕手で20本塁打を記録したパク・トンウォン、経験豊富な遊撃手オ・ジファン、外野の一角に定着したムン・ボギョンなどが下位を任される。控え選手にもキム・ミンソン、ホ・ドファンなどがいて層は厚い。

 LGにとって21年ぶりの韓国シリーズであるが、かつてトゥサンの主力打者だったキム・ヒョンス、サムソンから移籍したパク・ヘミン、キウムから移籍してきたチェ・ウォンテなど他球団で韓国シリーズの経験がある選手がそろい、大舞台での経験値は高い。10月3日にレギュラーシーズン優勝を決めてからは主力を起用しない試合もあり、韓国シリーズまでの3週間以上の空白期間ではチーム内の練習試合などで実戦の感覚を維持してきた。第1戦、第2戦の試合内容が満足のいくものでなくても、第3戦以降で本領を発揮できる総合力が備わっていると思われる。

 

 11月5日於第5戦まで行われたプレーオフでNCに勝利し、中1日で韓国シリーズに臨むKTウィズは、こちらも2020年から4年連続ポストシーズン進出と安定した実力を誇る。第1戦の予告先発投手はアンダースローの右腕コ・ヨンピョで、プレーオフ第3戦でも好投し勝利投手となるなど、LGの強力打線にとっても簡単に攻略できない相手である。第2戦以降はポストシーズンに強い外国人選手のクエバス、プレーオフでも2試合に先発した外国人選手ベンジャミンが先発投手として控え、ペ・ジェソンなどにも出番が回ってくると思われる。リリーフではプレーオフ5試合で登板した22歳のソン・ドンヒョン、まだ20歳のパク・ヨンヒョンと若手右腕の活躍が光り、抑えにはキム・ジェユンが控えている。

 打線に関しては、2023年シーズンは心身共に故障に悩まされてきたカン・ベッコはプレーオフに引き続き韓国シリーズも出場しないが、その不在をプレーオフ5試合で2本塁打のムン・サンチョルなどの活躍で補ってきた。そのほかプレーオフで2本塁打のペ・ジョンデ、経験豊富なベテランのパク・ピョンホ、ファン・ジェギュン、キム・サンス、プレーオフ第4戦以降調子を上げてきた外国人選手アルフォードなどがそろう。また、プレーオフ第5戦の5回裏で代打として登場、同点タイムリーを打ったキム・ミンヒョクなど、ベンチに流れを変えられる選手もいる。イ・ガンチョル監督の采配にも注目したい。

 

 総合力やチーム状態ではLGが優勢であるが、KTもプレーオフで第1戦、2戦と敗れながら第3戦以降3連勝で韓国シリーズへ進出したしぶとさがある。11月になり夜はだいぶ冷え込むようになるが、20年以上韓国シリーズ進出と優勝を夢見てきたLGと、2015年から本格的な一軍参入と最も歴史の浅いKTとの対戦は、冬が近いことを忘れさせる熱戦となることを期待したい。

 

(文責:ふるりん