2023年プロ野球ポストシーズンはいよいよ年間総合優勝を決める韓国シリーズを迎え、11月7日よりレギュラーシーズン優勝のLGツインスと、NCダイノスとのプレーオフに勝利したKTウィズが対戦する。両チームはポストシーズン初対戦となる。
韓国シリーズ開幕を前日に控えた11月6日14時より、蚕室野球場にて韓国シリーズ恒例のメディアデーが実施された。`LGからはヨム・ギョンヨプ監督とオ・ジファン内野手、イム・チャンギュ投手、KTからはイ・ガンチョル監督とパク・キョンス内野手、パク・ヨンヒョン投手が出席した。席上で第1戦の予告先発投手が発表され、LGはケリー(※ 30試合・10勝7敗・防御率3.83)、KTはコ・ヨンピョ(※ 28試合・12勝7敗・防御率2.75)である。
先に4勝したほうが2023年シーズンの年間優勝となる。9回を終えても同点の場合延長戦となり、15回を終えても決着がつかなかった場合は引き分けとなる。LGは1994年以来3度目、KTは2021年以来2度目の優勝を狙う。
(※ 2023年レギュラーシーズンの成績。)
【2023年 韓国シリーズ:LGツインス-KTウィズ 日程】
第1戦 : 11月7日 18時半 ソウル・蚕室
第2戦 : 11月8日 18時半 ソウル・蚕室
第3戦 : 11月10日 18時半 水原
第4戦 : 11月11日 14時 水原
第5戦 : 11月13日 18時半 ソウル・蚕室
第6戦 : 11月14日 18時半 ソウル・蚕室
第7戦 : 11月15日 18時半 ソウル・蚕室
※雨天などにより順延となった場合はその後の試合も1日ずつずれていく。
【韓国シリーズ 展望】
LGツインスにとっては2002年以来21年ぶりの韓国シリーズとなる。その後2003年から2012年まで10年連続ポストシーズン進出失敗など低迷が続いた。2019年からは5年連続でポストシーズンに進出しているが、2022年はレギュラーシーズン2位でポストシーズンはプレーオフから出場しながらキウムヒーローズに敗れ、韓国シリーズ進出に失敗した。これを受けて就任したヨム・ギョンヨプ監督は整っていた戦力をさらに充実させ、シーズン後半はずっと首位を維持して1994年以来となるレギュラーシーズン優勝を決めた。
LGは質の高い投手陣を中心に優勝争いを勝ち抜いた。第1戦の予告先発投手は韓国5年目の外国人選手ケリーで、5年連続10勝以上を記録した安定感と経験がある。2023年は不調だった時期もあったが、9月以降持ち直した。チーム最多の14勝を記録した生え抜きの韓国人選手イム・チャンギュ、7月にキウムからトレードで移籍したチェ・ウォンテ、シーズン途中の8月から先発に転向したイ・ジョンヨンなどが先発投手候補となる。なお、11勝を記録した外国人選手プルトコは故障で離脱し、すでに帰国してしまったため韓国シリーズには出場しない。
リリーフ陣では右腕が豊富で、38歳のキム・ジンソンはリーグ最多の80試合に登板し21ホールドを記録し中継ぎの柱となった。その他右腕ではユ・ヨンチャン、チョン・ウヨン、左腕ではハム・トクチュなどが主なリリーフである。2022年に最多セーブの個人タイトルを受賞したコ・ウソクは故障で出遅れたが、チーム最多の15セーブを記録し地力を証明した。韓国シリーズでも抑えを任せられると思われる。
LGは攻撃陣も強力である。広い蚕室野球場が本拠地のため本塁打数は多くないが、上位から下位まで切れ目のない打線が構成できる。上位打線のチャンスメイカーに経験豊富な快足の外野手パク・ヘミン、打率(.332)と出塁率(.444)の高さを誇るホン・チャンギ、チーム最多の盗塁数(37個)を記録したシン・ミンジェなどがそろい、中軸には韓国1年目ながらチーム最多の23本塁打、90打点を記録した外国人選手オースティン、35歳のベテランの左打者キム・ヒョンス、23歳の新鋭の左打者ムン・ボギョンなどがそろう。また強打の捕手で20本塁打を記録したパク・トンウォン、経験豊富な遊撃手オ・ジファン、外野の一角に定着したムン・ボギョンなどが下位を任される。控え選手にもキム・ミンソン、ホ・ドファンなどがいて層は厚い。
LGにとって21年ぶりの韓国シリーズであるが、かつてトゥサンの主力打者だったキム・ヒョンス、サムソンから移籍したパク・ヘミン、キウムから移籍してきたチェ・ウォンテなど他球団で韓国シリーズの経験がある選手がそろい、大舞台での経験値は高い。10月3日にレギュラーシーズン優勝を決めてからは主力を起用しない試合もあり、韓国シリーズまでの3週間以上の空白期間ではチーム内の練習試合などで実戦の感覚を維持してきた。第1戦、第2戦の試合内容が満足のいくものでなくても、第3戦以降で本領を発揮できる総合力が備わっていると思われる。
11月5日於第5戦まで行われたプレーオフでNCに勝利し、中1日で韓国シリーズに臨むKTウィズは、こちらも2020年から4年連続ポストシーズン進出と安定した実力を誇る。第1戦の予告先発投手はアンダースローの右腕コ・ヨンピョで、プレーオフ第3戦でも好投し勝利投手となるなど、LGの強力打線にとっても簡単に攻略できない相手である。第2戦以降はポストシーズンに強い外国人選手のクエバス、プレーオフでも2試合に先発した外国人選手ベンジャミンが先発投手として控え、ペ・ジェソンなどにも出番が回ってくると思われる。リリーフではプレーオフ5試合で登板した22歳のソン・ドンヒョン、まだ20歳のパク・ヨンヒョンと若手右腕の活躍が光り、抑えにはキム・ジェユンが控えている。
打線に関しては、2023年シーズンは心身共に故障に悩まされてきたカン・ベッコはプレーオフに引き続き韓国シリーズも出場しないが、その不在をプレーオフ5試合で2本塁打のムン・サンチョルなどの活躍で補ってきた。そのほかプレーオフで2本塁打のペ・ジョンデ、経験豊富なベテランのパク・ピョンホ、ファン・ジェギュン、キム・サンス、プレーオフ第4戦以降調子を上げてきた外国人選手アルフォードなどがそろう。また、プレーオフ第5戦の5回裏で代打として登場、同点タイムリーを打ったキム・ミンヒョクなど、ベンチに流れを変えられる選手もいる。イ・ガンチョル監督の采配にも注目したい。
総合力やチーム状態ではLGが優勢であるが、KTもプレーオフで第1戦、2戦と敗れながら第3戦以降3連勝で韓国シリーズへ進出したしぶとさがある。11月になり夜はだいぶ冷え込むようになるが、20年以上韓国シリーズ進出と優勝を夢見てきたLGと、2015年から本格的な一軍参入と最も歴史の浅いKTとの対戦は、冬が近いことを忘れさせる熱戦となることを期待したい。
(文責:ふるりん)