DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2022年シーズン回顧 第10回 ハンファイーグルス

当然の3年連続最下位

2022年シーズン成績 

レギュラーシーズン:46勝96敗2分(勝率.324)最下位

ポストシーズン:出場せず

 2021年は初の外国人監督、スベロ監督のもと2年連続最下位に終わった。オフシーズンにも大きな補強はなく、現有戦力の底上げで最下位脱出を図ろうとした。しかしレギュラーシーズン開幕の4月2日のトゥサンベアース戦から4月8日のKTウィズ戦まで6連敗といきなり躓いた。

 4月9日のKT戦で2年目の外国人選手キンガムの好投などでシーズン初勝利をあげ、翌4月10日のKT戦で連勝したが4月12日から14日までのサムソンライオンズ3連戦でまたも3連敗となった。4月21日のロッテジャイアンツ戦から4月23日のSSGランダース戦でチャン・シファンを抑えとして起用し3連勝となったが、カーペンター、キンガムの外国人投手2名が負傷で離脱し苦しくなった。

 4月23日にはキアとの1対2トレードで先発要員の右腕イ・ミヌ投手、打力のある外野手としてイ・ジニョンを補強した。5月4日のSSG戦で28歳のキム・インファンのプロ初本塁打、ハ・ジュソクの満塁本塁打で勝利した際は11勝17敗の9位と、まだ先に希望を感じられた。しかし翌5月5日のSSG戦から5月14日のロッテジャイアンツ戦まで9連敗、NCと同率最下位で勝率2割台にまで落ち込んだ。5月21日のキウム戦までまたも4連敗で単独最下位に転落した。

 5月27日から5月29日のまでのKT3連戦で3連勝しNCを抜いて9位に浮上、今度こそ浮上のきっかけになるかと思われたが、NCとの最下位争いからは抜けられなかった。5月31日には故障からの復帰が見通せないカーペンターをウェーバー公示し、6月1日に代役の新外国人選手ラミレスと契約した。さらに6月2日、同じく故障からの復帰が見通せないキンガムをウェーバー公示し、6月10日に代役の新外国人選手ペーニャと契約した。

 しかし6月9日のトゥサン戦から6月22日のLGツインス戦まで引き分け1つをはさみ10連敗となり最下位に転落すると、再び浮上することはなかった。6月28日にレギュラーシーズンの半分となる72試合を消化した時点で24勝47敗1分けの最下位で、9位NCとは3.5ゲーム差とまだ絶望的な差ではなかった。しかし翌6月29日のSSG戦からオールスター戦による中断前の7月14日のロッテ戦まで2度の6連敗で、85試合を終えて25勝59敗1分けで勝率は.298と3割を切ってしまい、このままではプロ野球史上初のシーズン100敗も現実味を帯びてきた。

 7月22日の中断期間が終わった後はしばらく持ち直したが、8月12日のLG戦から8月19日のサムソン戦までまた6連敗となった。9位以上のチームとは10ゲーム以上開いてしまい、最下位脱出も絶望的になってきた。9月にはやや持ち直し、9月1日から16日までの14試合で7勝7敗と健闘した。特に9月16日のキア戦では23歳の右腕ユン・サンフムがプロ初勝利と最下位から抜け出せないチームで数少ない明るい話題を提供した。

 結局9月後半はまたもや負け続け、早々と最下位が確定した。9月25日のトゥサン戦から10月2日のキア戦まで6連敗となり、この時点で44勝95敗2分けと残り3試合すべて敗れればプロ野球新記録のシーズン98敗となるところだった。しかし10月3日のSSG戦、10月6日のキウム戦で勝利したことで不名誉な記録を免れたものの、10月8日、シーズン最終戦となったNC戦で敗れチーム史上最多、プロ野球史上2位の96敗でシーズンを終えた。2022年シーズンで4連勝以上が一度もなかったのはハンファだけで、9位トゥサンとも14ゲーム差をつけられた圧倒的最下位だった。

 

【投手の成績】

防御率4.82(10位) 奪三振974(9位) 被本塁打112(5位) 与四球602(1位)

[主な先発投手]

キム・ミヌ     29試合 6勝11敗 防御率4.36

チャン・ミンジェ  32試合 7勝8敗 防御率3.55

ナム・ジミン    22試合 2勝11敗  防御率6.37

ユン・デギョン   25試合 4勝9敗 防御率7.41

ペーニャ        13試合 5勝4敗  防御率3.72

ラミレス      13試合 2勝6敗 防御率4.13

 先発投手のチーム防御率(4.87)は10チーム中10位だった。クォリティースタート(6回以上投球し自責点3以内)も37試合で10位と層の薄さが目立った。規定投球回数(144回)に達した投手はキム・ミヌだけだった。2021年に活躍したカーペンター、キンガムが故障でシーズン中に自由契約となり2人で合計1勝しかできずチーム構想が破綻してしまった。代役となったペーニャ、ラミレスの外国人選手2名でも合計7勝だった。32歳のチャン・ミンジェが自身最多の7勝で最も安定した先発投手だった。

 

[主なリリーフ投手]

キム・ボムス     78試合 3勝7敗27ホールド  防御率4.36

チャン・シファン     64試合 0勝5敗14セーブ9ホールド  防御率4.38

カン・ジェミン    56試合 4勝7敗7セーブ7ホールド 防御率4.21

キム・ジョンス    52試合 3勝4敗1セーブ6ホールド  防御率4.40

ユン・ホソル     52試合 0勝1敗1セーブ3ホールド  防御率4.04

チュ・ヒョンサン   49試合 0勝1敗1セーブ3ホールド  防御率6.83

ユン・サンフム    37試合 1勝1敗3ホールド 防御率2.67

 リリーフのチーム防御率(4.76)は10チーム中8位で、先発投手陣よりはまだましだった。リリーフの柱は左の中継ぎのキム・ボムスで、左腕不足もあってリーグ最多の登板数となった。抑えはチャン・シファンから途中でカン・ジェミンに交代した。37歳のベテラン左腕チョン・ウラムが故障で23試合のみの登板だったが、個人通算登板数のプロ野球記録を952試合にまで伸ばした。

 

【野手の成績】

打率.245(10位) 本塁打88(10位) 得点564(10位) 盗塁93(3位) 失策133(1位)

捕手:チェ・ジェフン   114試合 打率.223 5本塁打 30打点 1盗塁

一塁:キム・インファン  113試合   打率.261 16本塁打 54打点 2盗塁

二塁:チョン・ウヌォン  140試合 打率.276 8本塁打 49打点 10盗塁

三塁:ノ・シファン    115試合 打率.281 6本塁打 59打点 6盗塁

遊撃:ハ・ジュソク       125試合 打率.259 5本塁打    58打点 20盗塁

左翼:ノ・スグァン    117試合 打率.229 4本塁打  30打点 17盗塁

中堅:トークマン     144試合 打率.289 12本塁打   43打点 19盗塁

右翼:イ・ジニョン    70試合  打率.200 8本塁打  31打点 2盗塁

指名:キム・テヨン    119試合 打率.240 7本塁打 53打点 3盗塁

控え:パク・サンオン、イ・ドユン、パク・チョンヒョン、イ・ソンゴン、チャン・ジンヒョク、チャン・ウンホなど

 野手陣のチーム成績は盗塁数を除くとかなり悲惨だった。韓国1年目ながら唯一レギュラーシーズン144試合に出場した外国人選手トークマンは攻守に大きな働きを見せたが、1番打者での出場が多かったこともあり、外国人選手としては長打力と打点が足りなかった。28歳で一軍に定着し新人王の候補になったキム・インファンはチーム最多本塁打と活躍した。新しいチームの顔となるべき22歳のチョン・ウヌォンとノ・シファンはやや伸び悩んだ。

 28歳で生え抜きの内野手ハ・ジュソクは主将を任されながら、6連敗となった6月16日のロッテ戦の打席で審判の判定に不満を表し三振するとバットをグラウンドに叩きつけ退場となり、さらにベンチでヘルメットを投げつけそれが跳ね返りコーチの頭部に当たってしまった。これがもとで10試合の出場停止処分になってしまい、非常に後味の悪い事態となった。

 

【オフシーズンの動向】

 さすがに3年連続最下位では重い腰を上げざるを得なかったようで、他球団からFA(フリーエージェント)となった3名の選手と補強した。特にLGで4番打者を任されてきたチェ・ウンソン外野手との契約が最大の補強となった。チェ・ウンソンの補償選手としてリリーフ右腕のユン・ホソルが指名された。SSGからイ・テヤン投手、サムソンからオ・ソンジン内野手とトレードで他球団へ移籍した選手たちがFAとなり復帰した(2名とも等級CのFA選手だったため補償選手はなかった)。他にもトレードでキアから先発候補の右腕ハン・スンヒョク投手などを補強した。

 外国人選手については3名のうちペーニャとのみ再契約し、トークマン、ラミレスとは再契約しなかった。新外国人選手としてバーチ・スミス投手(元埼玉西武)、ブライアン・オグレディ外野手(元埼玉西武)の2名と契約した。

 なお、2023 WBCワールドベースボールクラシック)韓国代表には、国内のプロ野球10チームで唯一誰も選ばれず、圧倒的最下位に終わった事実を再確認させられた。

 

 2023年はスベロ監督にとって契約最終年であり、最下位脱出は至上命題である。最下位が確実視され選手層が極めて薄かったチームは育成だけで他チームと互角に渡り合うことは不可能で、結局補強するしかなかったのが実情である。それでも戦力的には厳しいものがあるが、チーム史上いまだない4年連続最下位だけは何としても避けなければならず、一層の奮起を願うばかりである。

 

(文責:ふるりん