DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2020年シーズン回顧 第7回 ロッテジャイアンツ

復活への足掛かりとなったか

2020年シーズン成績 

レギュラーシーズン:71勝72敗1分(勝率.497)7位

ポストシーズン:出場せず

 

  2019年は15年ぶりの最下位(10球団制では初)となり、ホ・ムンフェ新監督を迎え巻き返しを図った。またキアの主力選手として活躍しFA(フリーエージェント)となっていたアン・チホンと契約し弱点だった二塁を補強、外国人選手3名をすべて入れ替えるなどオフシーズンに大きく動いた。

 

 3月の示範競技が中止となり、例年より1か月以上遅く迎えた5月5日のレギュラーシーズン開幕戦は遠征先の水原でのKT戦で、新外国人選手マチャドの韓国初本塁打で逆転勝ちし、5月10日のSK戦まで開幕5連勝と好発進を切った。ところが新外国人選手のうち投手のサンプソンが家庭の事情で帰国し合流が遅れたこともあり、5月だけで2度の4連敗と足踏みしてしまった。新外国人選手で開幕投手を務めたストレイリーは安定した投球を見せるも5月中は韓国初勝利の1勝だけと不運だった。

 6月5日のKT戦から11日のハンファ戦まで6連勝とし、混戦の上位争いに顔を出したがここから勝率を伸ばせなかった。抑えには27歳のキム・ウォンジュンが定着するなどリリーフの層は厚くなったが、先発投手陣の層が薄かった。SK、ハンファが他チームから大きく引き離されていたため2年連続の最下位争いとはならなかったが、首位を独走するNCなど上位からも離され始めた。

 6月30日、首位NC相手に延長11回表の4番打者イ・デホ(元福岡ソフトバンク)の本塁打で勝利するも、翌7月1日から3日まで3連敗と8位に後退、振り向けば遠くにSKとハンファがいるだけだった。7月16日のLG戦は6回裏にハン・ドンヒィの本塁打などで7点を奪い6点差を逆転、15-10で勝利するも翌17日のサムソン戦では逆に10-15で敗れてしまい、勝率5割になかなか届かないもどかしい日々が続いた。8月1日のキア戦から1試合引分けを挟み、雨天中止が相次いだこともあり12日のNC戦までシーズン2度目の6連勝となり、勝率5割を超え6位に浮上、レギュラーシーズン5位以上が進出するポストシーズン争いに踏みとどまった。

 ストレイリーは圧倒的な内容で勝ち星を積み重ねたが他の先発投手が弱く、首位を走り続けるNC、その他キウム、LG、トゥサン、KTの上位5チームに離されまいとしたが7位から順位を上げることはできなかった。10月4日、打撃好調で出場機会が増えていた27歳の内野手オ・ユンソクがサイクルヒットを達成し、シーズン終盤に向けてチームに勢いをもたらすかのように思えた。

 オ・ユンソクの快挙に沸き立つ中、ロッテは10月6日のKT戦で5連勝としキアと同率6位に並び、5位以上に一縷の希望が見えた。しかしこの後キアとともに勝率を下げ続け、5位は遠くなるばかりだった。9月に一軍初勝利を記録、10月も先発として起用され続けた21歳の右腕イ・スンホンなどに今後の希望を託すしかなくなってきた。10月22日、9位のSK相手に6本塁打もすべてソロ、また抑えのキム・ウォンジュンがセーブに失敗し8-9で敗れるなど、投打がかみ合わなくなっていた。そして翌23日のSK戦では3-0の完封リレーで勝利、先発ストレイリーが15勝目をあげ、ソン・アソプがし烈な首位打者争いに加わっていたが個人の好成績が順位に結び付かなかった。

 結局2017年以来3年ぶりのポストシーズン進出に失敗し、10月29日のNC戦で敗れ7位が確定した。翌10月30日、6位のキア相手に6本塁打の攻勢で13-2と快勝し2020年シーズンを終えた。

 

【投手の成績】

防御率4.64(6位) 奪三振1002(6位) 被本塁打143(5位) 与四球447(9位)

[主な先発投手]

ストレイリー    31試合 15勝4敗 防御率2.50

パク・セウン    28試合 8勝10敗 防御率4.70

サンプソン     25試合 9勝12敗 防御率5.40

ノ・ギョンウン   24試合 5勝10敗 防御率4.87

ソ・ジュヌォン     31試合  7勝6敗  防御率5.18

イ・スンホン    8試合   3勝2敗  防御率4.66

 先発投手のチーム防御率は4.44で10チーム中5位だった。チーム最多勝(15勝)のストレイリーは韓国1年目にして最多奪三振(205個)の個人タイトルを受賞するなど、他の投手と比べて抜きんでた存在であった。もう1名の外国人選手サンプソンは9勝を記録するも防御率が高かった。韓国人投手ではパク・セウンが8勝を記録、2019年は交渉がまとまらずロッテと再契約しなかった36歳のベテラン右腕ノ・ギョンウンも先発ローテーションを守った。だがプロ2年目で飛躍が期待されていた20歳の若手ソ・ジュヌォンが信頼を得られず、9月後半からはリリーフに回るなど上位チームと比べて先発投手の層が薄かった。他には21歳の若手イ・スンホンが9月以降で3勝を記録、今後の成長が期待されている。

 

[主なリリーフ投手]

キム・ウォンジュン  58試合 5勝4敗25セーブ 防御率3.94

ク・スンミン     57試合 5勝2敗20ホールド 防御率3.58

パク・チンヒョン   53試合 1勝4敗17ホールド  防御率5.70

オ・ヒョンテク    48試合 3勝1敗7ホールド  防御率3.75

イ・インボク     47試合 1勝1敗4ホールド 防御率3.97

キム・デウ      46試合 0勝1敗 防御率3.10

キム・ゴングク    32試合 3勝2敗1ホールド 防御率3.98

 リリーフのチーム防御率は4.94で10チーム中7位だった。初めて抑えを任されたキム・ウォンジュンは25セーブと結果を残したが、シーズン終盤は不調も代役が立てられず成績は悪化した。中継ぎの柱はク・スンミンとパク・チンヒョンで、野手から投手に転向して36歳にして自身最多の46試合に登板したキム・デウの活躍が話題を呼んだ。高卒新人チェ・ジュニョンが一軍で31試合に登板、8ホールドを記録しているが、それ以外の若手の起用はあまりなかった。2019年はリーグ最多登板(75試合)だった37歳のベテラン左腕コ・ヒョジュンが衰えシーズンオフに自由契約となり、左腕不足が目立つ。

 

【野手の成績】

打率.276(5位) 本塁打131(5位) 得点750(6位) 盗塁90(5位) 失策94(7位)

捕手:キム・ジュンテ   128試合 打率.225 5本塁打 43打点 2盗塁

一塁:イ・ビョンギュ   53試合   打率.274    9本塁打 32打点 0盗塁

二塁:アン・チホン    124試合 打率.286 8本塁打 54打点 14盗塁

三塁:ハン・ドンヒィ   135試合 打率.278 17本塁打 67打点 0盗塁

遊撃:マチャド        144試合 打率.280 12本塁打    67打点   15盗塁

左翼:チョン・ジュヌ   141試合 打率.279 26本塁打  96打点 5盗塁

中堅:チョン・フン     111試合 打率.295 11本塁打  58打点 11盗塁

右翼:ソン・アソプ     141試合  打率.352 11本塁打  85打点 5盗塁

指名:イ・デホ          144試合 打率.292 20本塁打 110打点 1盗塁

控え:チョン・ボグン、シン・ボンギ、オ・ユンソク、カン・ロハン、ミン・ビョンホン、キム・ジェユなど

 一定の補強により2019年より攻撃力は向上し、上位チームと比べても遜色がなかったが控えの層が厚くはなかった。特に韓国1年目のマチャドが全144試合に出場、安定したショートの守備と走塁でチームに大きく貢献した。38歳のベテラン、イ・デホが4番打者としてチーム最多打点と健在ぶりを示した。その他ソン・アソプ、チョン・ジュヌと生え抜きのベテランたちも安定した成績を残した。若手では21歳のハン・ドンヒィが守備面で課題を残すも、プロ3年目でようやく三塁のレギュラーに定着した。

 過去2年間固定できなかった捕手も26歳のキム・ジュンテがレギュラーに定着したことで目途がたってきた。33歳にして本格的に外野へ転向したチョン・フンが活躍し、不振のミン・ビョンホンの穴を埋めた。2019年は不振だった37歳のベテラン左打者イ・ビョンギュが9月以降に一塁手指名打者で出場し復活を遂げ、打線を活性化させた。開幕前に最も期待されていたアン・チホンは平凡な成績に終わり、8月の打撃不振で9月以降はサイクルヒットを達成したオ・ユンソクとの併用となっていた。

 

【オフシーズンの動向】

 FAとなった選手はイ・デホのみで、契約期間2年で再契約した。2020年は出場機会が減少した31歳の内野手シン・ボンギと中継ぎ右腕のパク・シヨンを交換要員に、KTから21歳の右腕チェ・ゴンと2022年新人2次ドラフトの指名権1名のトレードが成立、若手の層を厚くすることにした。外国人選手についてはストレイリー、マチャドとは再契約し、サンプソンとは再契約せず、新外国人選手として27歳の右腕エンダーソン・フランコ投手と契約した。 

 

 2020年は最下位に終わった前年のように目を覆いたくなるほどの低迷はなかったが、ポストシーズン進出をめぐるし烈な順位争いでは優位に立てずに終わった。新戦力が一定の機能を果たし、ある程度チームの新陳代謝が進み復活への足掛かりとなったとは言えるが、投打ともに主力と控えの差が大きく上位チームとは明らかな戦力差を感じた。ホ・ムンフェ監督にとって2021年シーズンは2年目となり、結果が求められる。1992年以来の韓国シリーズ優勝を待ち望むファンが多いであろうが、2017年以来の4年ぶりのポストシーズン進出が現実的な目標となろう。 

 

(文責:ふるりん