DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年シーズン回顧 第4回 LGツインス

安定して上位には残るも

2021年シーズン成績 

レギュラーシーズン:72勝58敗14分(勝率.554)3位

ポストシーズンプレーオフ敗退(対トゥサン)1勝2敗

 

  LGツインスは1994年以降26年もの間韓国シリーズ優勝から遠ざかるも、若手投手が育ち経験豊富な野手も多いため、リュ・ジヒョン監督は初めての指揮だったにもかかわらず開幕前は優勝候補に挙げる声もあった。レギュラーシーズンは2019年4位、2020年3位も2年連続となる準プレーオフ敗退で、まずは3年連続のポストシーズン進出が目標となった。

 韓国3年目となる外国人選手ケリーを先発の軸に、韓国1年目の外国人選手スアレスも5月までで6勝と好調で、大方の予想通り首位争いを続けた。2020年は38本塁打と活躍した外国人選手ラモスの故障による離脱が誤算だったが、20歳のムン・ボギョンなど若手野手の活躍も光った。6月18日にはKTを抑えて首位に立つも、6月25日には2位に後退した。その後KT、サムソンとの上位争いが終盤まで続いた。

 2020年東京オリンピック野球でレギュラーシーズンが中断していた7月27日、先発投手として活躍していたチョン・チャンホンと、キウムの中心打者として活躍していたソ・ゴンチャンとのトレードが成立した。不動の二塁手がいないチームの弱点を補強するためで、27年ぶりの韓国シリーズ優勝に向けて積極的に動いた。シーズン再開後の8月11日、4連勝でKTと同率首位に並ぶも2日後の8月13日には2位に後退した。

 その後KTとの差が徐々に開き、9月21日には3位で首位KTとは7.5ゲーム差となった。しかしそこから徐々に盛り返すと、サムソンとのし烈な2位争いが続き、10月にKTが失速すると優勝争いは三つ巴で最後まで分からなくなった。しかし10月16日のNC戦で22歳の守護神コ・ウソクが9回裏にサヨナラ負けを許し3位に後退すると、そのまま2位以上に浮上することはなかった。残り5試合となってから3勝1分けと10月30日のレギュラーシーズン最終戦を前に優勝の可能性を残したが、先発ケリーが打たれロッテに敗れ3位が確定、チーム史上初となる3年連続ポストシーズン進出を果たすも2020年と同じく準プレーオフからの出場となった。

 準プレーオフの相手は2020年と同じくワイルドカード決定戦を勝ち抜いた4位トゥサンだった。11月4日の第1戦は先発スアレスが5回途中2失点で降板し、打線が抑えられ1-5で敗れた。翌11月5日の第2戦は中5日で満を持して先発ケリーが登板し好投、9-3で勝利した。勝ったほうがプレーオフ進出となる11月7日の第3戦は先発イム・チャンギュ、スアレスなどが失点を重ね3-10で敗れ、3年連続準プレーオフ敗退・年間4位でシーズンを終了した。ポストシーズンでは初の采配となったリュ・ジヒョン監督は、7年連続ポストシーズン進出のトゥサンとの経験値の違いを見せつけられた。

 

【投手の成績】

防御率3.59(1位) 奪三振1068(1位) 被本塁打80(10位) 与四球545(8位)

[主な先発投手]

ケリー       30試合 13勝8敗 防御率3.15

イム・チャンギュ  23試合 10勝2敗 防御率2.18

イ・ミンホ        25試合 8勝9敗 防御率4.30

イム・チャンギュ  17試合 1勝8敗 防御率3.87

ぺ・ジェジュン   15試合 2勝2敗 防御率4.13

 先発の防御率(3.85)は10チーム中2位だったが、層は厚くなかった。韓国3年目の外国人選手ケリーが先発の柱となり、3年連続で10勝以上と安定感を発揮した。韓国1年目の外国人選手スアレスは10勝を記録したが、シーズン終盤の9月に故障で離脱しポストシーズンでも結果を残せなかった。韓国人選手では高卒2年目の20歳の右腕イ・ミンホが8勝と成長の跡を見せた。イム・チャンギュは7月以降先発ローテーションを守るも運がなく6連敗で1勝どまりだった。

 7月にチョン・チャンホンをトレードで放出した後は先発のやりくりに苦しみ、クォリティースタート(先発投手が6回以上投げ自責点3以内)は50試合と10チーム中6位で、リーグ1位の防御率は層の厚いリリーフ陣によるところが大きかった。

 

[主なリリーフ投手]

チョン・ウヨン   70試合 7勝3敗2セーブ27ホールド 防御率2.22

イ・ジョンヨン   66試合 3勝3敗15ホールド 防御率2.97

キム・デユ     64試合 4勝1敗24ホールド 防御率2.13

コ・ウソク     63試合 1勝5敗30セーブ 防御率2.17

チン・ヘス     50試合 1勝5ホールド 防御率2.44

チェ・ソンフン   46試合 7勝4敗1ホールド 防御率4.46

キム・ユンシク   35試合 7勝4敗ホールド 防御率4.46

ソン・ウンボム   35試合 2勝2敗4ホールド 防御率4.10

 リリーフの防御率(3.26)は10チーム中1位で左右ともに頭数がそろっていた。チーム最多登板は中継ぎの柱となった22歳のチョン・ウヨンで、先発が手薄な分7勝と勝利数も多かった。大卒3年目の右腕イ・ジョンヨンがそれに次ぎ、左のリリーフもチン・ヘス、チェ・ソンフンなど他球団と比べて質量ともにそろい、特に30歳で中継ぎに定着したキム・デユの活躍が大きく、高卒2年目の21歳のキム・ユンシクは主にロングリリーフで7勝と成長著しかった。抑えは23歳のコ・ウソクが任されたが、5敗と肝心な場面でのセーブ失敗も目立った。

 

【野手の成績】

打率.250(8位) 本塁打110(5位) 得点654(8位) 盗塁92(7位) 失策91(7位)

捕手:ユ・ガンナム    130試合 打率.252 11本塁打 60打点 2盗塁

一塁:ムン・ボギョン   107試合   打率.230 8本塁打 39打点 3盗塁

二塁:ソ・ゴンチャン   144試合 打率.253 6本塁打  52打点 12盗塁

三塁:キム・ミンソン   121試合 打率.222 8本塁打 39打点 3盗塁

遊撃:オ・ジファン    134試合 打率.254 8本塁打  57打点   12盗塁

左翼:キム・ヒョンス      140試合 打率.285 17本塁打 97打点 3盗塁

中堅:ホン・チャンギ   144試合 打率.328 4本塁打 52打点 23盗塁

右翼:チェ・ウンソン   110試合 打率.276 16本塁打   82打点 4盗塁

指名:イ・ヒョンジョン  90試合 打率.218 10本塁打 34打点 3盗塁

控え:キム・ジェソン、ムン・ソンジュ、イ・サンホ、イ・ヨンビン、イ・チョヌン、イ・ジェウォンなど

 2020年より外野のレギュラーとして活躍するホン・チャンギが不動の1番打者として高い選球眼(出塁率.456)とチーム最多の23盗塁と俊足を生かし、チームを引っ張った。しかし外国人打者の不調などもあり得点力は低く、優勝を逃した大きな要因となった。韓国2年目のラモスが故障もあって8本塁打のみで6月にウェーバー公示となると、代役となったボーア(元阪神)はたった3本塁打に終わり、戦力として機能しなかった。

 4番打者キム・ヒョンスはチーム最多の17本塁打、97打点を記録し存在感を示し、他にもチェ・ウンソンなどが中軸を打ち、ユ・ガンナム、オ・ジファンなどの実績ある選手は安定した成績を残した。またキウムから移籍してきたソ・ゴンチャンは、8月以降のLGでの試合は打率.247に終わり期待に応えられなかった。

 若手では育成選手から昇格した21歳のムン・ボギョンが外国人選手の穴埋めもあって一軍に定着し、イ・ジェウォン、高卒新人イ・ヨンビンなども積極的に起用され結果を残し今後の成長が期待される。

 

【オフシーズンの動向】

 2022年のFA(フリーエージェント)選手では、サムソンで4年連続(2015-2018年)盗塁王となった俊足の1番打者パク・ヘミンとの契約した。サムソンへの補償選手は控え捕手のキム・ジェソンで、その後KTからFAとなっていた37歳のベテランの控え捕手ホ・ドファンと契約した(KTへの補償選手なし)。2度目のFA選手となったキム・ヒョンスとは最長6年で再契約した。

 2021年の外国人選手はケリーのみ再契約し、スアレス、ボーアとは再契約しなかった(スアレスは日本プロ野球東京ヤクルトと契約)。新外国人選手としてアダム・プルトコ投手、ランディ・ルイーズ内野手の2名と契約した。

 

 2018年の8位など以前は下位に低迷するシーズンもあったが、2019年以降は優勝争いに加わりチーム全体に地力がついてきたと言えるLGツインス。だが最後の韓国シリーズ出場は2002年と、最後まで優勝を争うまでには手が届いていない。2年目となるリュ・ジヒョン監督には、投打ともにベテランと若手が融合したチームを進化させ、最低でも20年ぶりの韓国シリーズ出場を果たし、長年待ち続けているファンたちの悲願を叶えさせてほしいところだ。

 

(文責:ふるりん