DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2021年 シーズン展望 第6回 キアタイガーズ

結果が求められる2年目のウィリアムス監督体制

 

 2020年はチーム初となる外国人監督のマット・ウィリアムス監督の1年目として注目され、終盤までポストシーズン進出をかけた5位争いを続けるも6位に終わったキアタイガーズ。個人通算147勝と10年以上活躍してきたヤン・ヒョンジョンがMLB・テキサスレンジャースとマイナー契約を結び移籍し、戦力的には決して楽観視できず、2年目のウィリアムス監督には試練が訪れた。

 
【投手陣】

〈先発〉 
ブルックス、◎メンデン、イム・ギヨン、イ・ミヌ、チャン・ヒョンシク、◎△イ・ウィリ
〈リリーフ〉
チョン・ヘヨン、△イ・ジュニョン、コ・ヨンチャン、△シム・ドンソプ、パク・チュンピョ、チョン・サンヒョン、キム・ヒョンス、ホン・サンサム
注 : ◎は新加入、△は左腕

  先発投手陣の柱は2020年チーム最多の11勝、防御率も2.50と安定していた韓国2年目の外国人選手ブルックスとなる。新外国人選手のメンデンもブルックスと同様の働きが求められる。ヤン・ヒョンジョンの穴を埋める人材を発掘しなければならないが、新たに先発の柱になりそうな韓国人投手はいない。2020年、サイドハンドの右腕イム・ギヨンの9勝(防御率5.15)が韓国人最多勝で、層は薄かった。2020年シーズン途中の8勝ちにNCから移籍したチャン・ヒョンシクの先発での起用も考えられるが、期待の若手として18歳の高卒新人で左腕のイ・ウィリが注目されている。

 2020年、リリーフ陣では抑えが定まらず5位に残れなかった一つの要因となった。2020年シーズン終盤はサイドハンドの右腕パク・チュンピョが抑えを任されていたが、将来を考え2年目の19歳のチョン・ヘヨンなどの起用も考えられる。リリーフも先発と同様に左腕不足であり、軍から除隊された29歳のシム・ドンソプの復活が待たれる。

 
【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:ハン・スンテク

一塁:タッカー

二塁:キム・ソンビン

三塁:リュ・ジヒョク

遊撃:パク・チャンホ

外野:△キム・ホリョン、チェ・ウォンジュン、△チェ・ヒョンウ

指名:ナ・ジワン  

〈控え〉
(捕手) ペク・ヨンファン、キム・ミンシク
(内野手) △ユ・ミンサン、△キム・ギュソン、△キム・テジン、△チェ・ジョンヨン、ナ・ジュファン、ファン・デイン
(外野手) イ・チャンジン、イ・ウソン、イ・ジニョン、△オ・ソヌ

注 : ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。

 最大の注目は韓国3年目となる外国人選手タッカーが外野から一塁へと配置転換されたことである。タッカーを打撃に専念させることで37歳のベテランの4番打者チェ・ヒョンウ、35歳の生え抜きの強打者ナ・ジワンなどの得点力を向上させようとしている。チャンスメイカーは24歳のチェ・ウォンジュンやキム・ソンビンなどが任されると思われる。また2020年シーズン途中の6月にトゥサンから移籍するもすぐに負傷で離脱し本領を発揮できなかったユーティリティー内野手のリュ・ジヒョクもまだ27歳と若く、主力としての働きを期待されている。

 控えには打撃力のあるユ・ミンサン、守備走塁にたけたナ・ジュファンなど経験豊富な選手たちも控え、ウィリアムス監督が多様なベンチワークを駆使できるメンバーがそろってはいる。24歳のキム・ギュソン、オ・ソヌなどもレギュラー争いに加わりチームを活性化させたい。

 

 ウィリアムス監督は2年目ということでようやく韓国の野球を理解し、対戦相手の特徴などもつかんできたと思われる。2017年の韓国シリーズ優勝以降あまり進まなかった新陳代謝にもある程度成功し、上位進出を伺う時が来た。ヤン・ヒョンジョンの移籍による影響は大きいであろうが、現有の戦力でレギュラーシーズン5位以上で2018年以来3年ぶりのポストシーズン進出は課せられたノルマであると言えよう。


【本拠地】
光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から遠く、発展から取り残され、光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代後半に韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。21世紀の現在もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。首都圏の蚕室野球場などでも、遠征のチーム側の応援席がキアファンで赤くに染まることも珍しくない。現在も光州キアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、隣の無等(ムドゥン)野球場で栄光の歴史を刻んできたヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。またレフト外野の球場外には、前身のヘテタイガーズからの歴史館もある。
 2014年に開場した現代的なボールパークは、そういった勝利の伝統が息づくチームにふさわしい威容だ。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。また世界中に自動車を輸出するキアグループの球団のため、自社のモデルカーが展示されることもある。夏には子供用のプールも設置され、家族連れでも楽しめるようになっている。


[交通アクセス]

 韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度。KTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン)駅からは、比較的近い光州駅までの列車が運行されている。光州駅からはタクシーで10分程度。

  
(文責 : ふるりん