DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2023年 シーズン展望 第5回 キアタイガーズ

2年連続ポストシーズン進出、6年ぶりの韓国シリーズ優勝へ

 2022年はキム・ジョングク監督のもと、レギュラーシーズン5位で2018年以来4年ぶりにポストシーズンへ進出したが、ワイルドカード決定戦でKTウィズに敗れ、勝率5割未満で4位以上とは大差がついていた。2年目を迎えたキム・ジョングク監督は若手を積極的に起用しチーム力の向上を図っている。

 
【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、△イ・ウィリ、◎アンダーソン、◎メディーナ、イム・ギヨン
〈リリーフ〉
△イ・ジュニョン、ユン・ジュンヒョン、パク・チュンピョ、△チェ・ジミン、◎△キム・デユ、チョン・サンヒョン、チャン・ヒョンシク、チョン・ヘヨン

注 : ◎は新加入、△は左腕

 不世出のエースとして活躍し現役では個人通算最多の159勝のヤン・ヒョンジョンは35歳となり、衰えが隠せなくなってくる。2021年の新人王の左腕イ・ウィリは2022年に10勝を記録し、まだ20歳ゆえに安定感に欠けるが球威がありさらなる成長の可能性を秘める。近年の国際大会にも出場しており、2023年9~10月の杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出が期待される。韓国人の右腕の先発要員がイム・ギヨンくらいしかいないため、新外国人選手のアンダーソン、メディーナともに右腕となった。

 リリーフは2022年に32セーブを記録した21歳のチョン・ヘヨンが抑えとなり、杭州アジア競技大会野球韓国代表への選出が期待される。中継ぎは右腕がチャン・ヒョンシクとチョン・サンヒョン、左腕はイ・ジュニョンが中心となる。他にもクァク・トギュ、ユン・ヨンチョルの高卒新人2名など若手の成長と活躍も期待される。

 
【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:ハン・スンテク

一塁:ファン・デイン

二塁:キム・ソンビン

三塁:キム・ドヨン

遊撃:パク・チャンホ

外野:△ナ・ソンボム、△ソクラテス、イ・チャンジン

指名:△チェ・ヒョンウ

〈控え〉
(捕手) △ハン・ジュンス、◎△チュ・ヒョサン
(内野手) リュ・ジヒョク、△チェ・ジョンヨン、△キム・ギュソン、◎ピョン・ウヒョク
(外野手) イ・ウソン、△キム・ソックァン、△キム・ホリョン、△コ・ジョンウク

注 : ◎は新加入、△は左打者。

 33歳のベテラン外野手ナ・ソンボム、韓国2年目の外国人選手ソクラテスを中心とした打線は破壊力十分だったが、2022年シーズン途中の4月にキウムヒーローズからトレードで移籍してきた強打の捕手パク・トンウォンはFA(フリーエージェント)となりLGへ移籍してしまった。その穴を埋めるため 23歳の右打者ピョン・ウヒョクがハンファイーグルスから、捕手チュ・ヒョサンがキウムからトレードで移籍してきた。特に期待が大きいのはプロ2年目の19歳のキム・ドヨンで、攻守に躍動感を増して2023年こそ2022年に実現できなかったレギュラー定着を果たし。アジア競技大会野球韓国代表への選出を目指す。

 そのほかにも生え抜きの内野手キム・ソンビン、2022年の最多盗塁(43)を記録したパク・チャンホ、39歳のベテランの左打者チェ・ヒョンウなど経験豊富な野手たちが多く、控えにも実力のある選手がそろい得点力は高いと思われる。投打ともに若手によるチームの底上げが期待でき、優勝争いをしつつ育成もできる恵まれたチーム状況であり、キム・ジョングク監督は2017年以来6年ぶりとなる史上最多の12度目の韓国シリーズ優勝を目標にしていることであろう。

 

【本拠地】
光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から距離があり、独特の文化や風情を感じられる。試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえてくることもある。首都圏の蚕室野球場などでも、遠征のチーム側の応援席がキアファンで溢れかえることも少なくない。現在も光州キアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、隣の無等(ムドゥン)野球場で栄光の歴史を刻んできたヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。またレフト外野の球場外には、前身のヘテタイガーズからの歴史館もある。
 2014年に開場した現代的なボールパークは、そういった勝利の伝統が息づくチームにふさわしい威容だ。西日がまぶしいためキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、老若男女問わずグループ観戦に便利である。また世界中に自動車を輸出するキアグループの球団のため、自社のモデルカーが展示されることもある。


[交通アクセス]

 韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩15分程度。KTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン)駅からは、比較的近い光州駅までの列車が運行されている。光州駅からはタクシーで10分程度。

  
(文責 : ふるりん