DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第8回 ロッテジャイアンツ

 2016年はまたもやシーズン終盤に失速し、4年連続でポストシーズン進出に失敗し2年連続で8位に終わった。2008年から2012年までの5年連続ポストシーズン進出の熱気が過去のものになってしまったため、2017年1月、かつて主砲としてロッテのみならず韓国代表でも活躍し、メジャーリーグベースボール(MLB)に進出していたイ・デホ(元福岡ソフトバンク)を復帰させた。


【投手陣】

〈先発〉 
△ラリー、パク・セウン、パク・チンヒョン、ノ・ギョンウン、ソン・スンジュン
〈リリーフ〉
△カン・ヨンシク、ユン・ギルヒョン、イ・ジョンミン、△チャ・ジェヨン、△キム・ユヨン、ソン・スンナク

注 : △は左腕
 2016年まで先発として活躍していたが家庭の事情で退団した外国人選手リンドブロムの代役だった新外国人選手マーケルは、公式戦に登板することなく退団した。そのため韓国3年目となる外国人選手の左腕ラリーが先発の柱となる。マーケルの代役となる外国人選手と、22歳の若手パク・セウンがそれに続く。その他パク・チンヒョンなどの若手、ソン・スンジュン、ノ・ギョンウンなどのベテランの復活が期待されるが、先発投手陣の層は厚くない。
 リリーフに関しても不安が残る。2016年にFA(フリーエージェント)での大型契約で移籍してきたユン・ギルヒョン、ソン・スンナクはチームの起爆剤にならなかった。ベテランのイ・ジョンミンなどが中継ぎの柱になるが、35歳のカン・ヨンシクの衰えによりチャ・ジェヨン、キム・ユヨンなどに左腕投手の世代交代が進むと思われる。


【打撃陣】

(ベストオーダー)

1.チョン・ジュヌ(中)  
2.バーンズ(三) ◎△
3.ソン・アソプ(右) △
4.イ・デホ(一) ◎ 
5.チェ・ジュンソク(指)
6.キム・ムンホ(左) △
7.カン・ミンホ(捕) 
8.チョン・フン(二) 
9.ムン・ギュヒョン(遊) 

〈控え〉
(捕手) ◎ナ・ジョンドク、キム・サフン
(内野手) オ・スンテク、△キム・ドンハン、△パク・チョンユン、シン・ボンギ、キム・サンホ
(外野手) パク・ホンド、イ・ウミン、△ナ・ギョンミン、キム・ミンハ

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 
 2011年以来となるイ・デホの復帰は戦力面のみならず興行面でも大きいが、ここ5年ほどサードのレギュラーとして活躍したが、FAを行使しメジャーリーグベースボール(MLB)への挑戦のためサンフランシスコジャイアンツと契約したファン・ジェギュンの空白を埋める必要がある。代役の候補として新外国人選手バーンズと契約したが、一塁のイ・デホを除く内野はチョン・フン、ムン・ギュヒョン、オ・スンテクなどとの競争となると思われる。
 外野は2016年9月に軍から除隊されたチョン・ジュヌの復帰で見通しが明るくなった。プロ野球界屈指の好打者ソン・アソプも健在である。最大の問題は捕手で、2016年末に膝の手術を受けたカン・ミンホの復帰時期が未定である。攻撃面でも欠かせない選手であるため、一軍復帰後は指名打者として起用されることも考えられる。控え捕手として起用されてきたキム・サフン、大型高卒新人ナ・ジョンドクの成長に期待したい。


 就任2年目のチョ・ウォヌ監督は若手や新鋭を起用し、既存の戦力と融合させながらチームの強化を図っている。ファンたちが待ち焦がれていたイ・デホの復帰を追い風にし、戦力的にも苦しく停滞が続くチームを上昇気流に乗せて、1992年以来25年ぶりとなる韓国シリーズ優勝よりも、まずは5年ぶりのポストシーズン進出を目指したい。


本拠地
 釜山・社稷野球場
 韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジアを代表する貿易港として発展を遂げた。野球の盛んな都市として知られ、釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと2万人以上の大観衆で球場が埋まり、プロ野球10チームでも最大級と言われる熱狂的な応援を繰り広げ、野球ファンならずとも一度は見ておきたい。野球場の正面玄関、球場内通路の2か所にグッズショップがあり、品ぞろえも豊富である。また試合開催日以外でも開館している「ロッテジャイアンツ博物館」があり、写真などの展示が豊富でチームの歴史を体感し、実際の社稷野球場のベンチを模した記念撮影コーナーもある。
 社稷野球場は釜山広域市内の北部にあり、国際フェリーターミナルがある釜山駅周辺や繁華街の南浦洞(ナムポドン)付近からは離れている。プロ野球観戦の際は、比較的近い繁華街の西面(ソミョン)付近に宿泊するとよいかもしれない。また、温泉地として有名な東莱(トンネ)地区もバスや地下鉄で10分程度と近い。

 ファンたちは新聞紙を短冊状にちぎってからまとめて房を作り(球場の入り口付近で売れ残った新聞が安く売られている)、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ」、「プサンカルメギ(釜山のカモメ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。だが2013年以降は4年連続ポストシーズン進出を逃したことで、観客動員数は2012年以前の半分程度に落ち込んでいる。ロッテファンは熱狂的でもあるが、勝てないチームを見切る際は容赦がない。だが2017年シーズンは国内外で活躍した主砲イ・デホの復帰で、少なくともシーズン序盤は近年にない熱気に包まれるであろう。週末や祝日の試合のチケットの当日券販売に長蛇の列ができることが予想される。
 また蚕室野球場など首都圏のロッテ戦では、ビジター内野席がロッテファンで埋めつくされることも珍しくない。釜山から北へ50kmほどの地方都市・蔚山(ウルサン)広域市の文殊(ムンス)野球場でも時折主催試合が行われる(2017年は6試合を予定)。同野球場は約1万2000席と規模が小さいので、当日券販売のチケットを購入する際には早めに到着することをお勧めする。







[交通アクセス]
 釜山地下鉄3号線・総合運動場駅、社稷駅下車徒歩10分程度。
 KTX・SRTなど高速鉄道が発着する釜山駅から総合運動場駅へは、釜山地下鉄1号線蓮山(ヨンサン)駅で3号線に乗り換えて40分程度。

(文責:ふるりん