2011年シーズンは公式戦2位と近年では最高の成績を収めたが、課題のポストシーズンで4年連続敗退と壁を乗り越えられず、ファンたちを落胆させた。特にプレーオフから出場で過去3年より有利な立場だったにもかかわらず、ポストシーズンで勝ち抜く術を知っているSKに競り負けてしまった。2012年シーズンもまずは5年連続のポストシーズン進出を目指すことになるが、主砲イ・デホの日本プロ野球・オリックスへの移籍、左のエースだったチャン・ウォンジュンの軍への入隊と投打の軸がいなくなり、苦しい戦いが予想される。
【投手陣】
〈先発〉
ソン・スンジュン、サドースキー、◎△ユーマン、コ・ウォンジュン、イ・ヨンフン
〈中継ぎ〉
△カン・ヨンシク、△イ・スンホ、◎チョン・デヒョン、△イ・ミョンウ、キム・スワン、◎パク・トンウク、チン・ミョンホ、◎キム・ソンベ、◎キム・ソンホ
〈抑え〉
キム・サユル
注 : ◎は新加入、△は左腕
2011年チーム最多の15勝をあげたチャン・ウォンジュンがいなくなり、その代役を新外国人左腕ユーマンに託すことになったが、まったくの未知数である。4年連続2ケタ勝利のソン・スンジュン、2年連続2ケタ勝利のサドースキーは期待できるが、2011年は先発に抑えに起用が一定しなかった若手のコ・ウォンジュンはシーズンを通して先発で起用したいが、ローテーションのやりくりは苦しくなることが予想される。
課題のリリーフ陣だが、2011年シーズン後半抑えに定着したキム・サユルが2年連続の活躍をすることが大前提だが、SKからFA(フリーエージェント)で獲得したアンダースローのチョン・デヒョンがひざの手術を受け、5月以降にならないと復帰しない見込みである。そこで、アンダースローとサイドスローの中間のような独特のフォームから速球を投げる大卒新人キム・ソンホに期待がかかる。左のリリーフはカン・ヨンシクがここ数年軸となってきたが、SKからFAで移籍したイ・スンホはその負担を減らすことができるか。
【打撃陣】
(ベストオーダー)
1.チョン・ジュヌ(中)
2.キム・ジュチャン(左)
3.ソン・アソプ(右)△
4.ホン・ソンフン(指)
5.パク・チョンユン(一) △
6.カン・ミンホ(捕)
7.ファン・ジェギュン(三)
8.チョ・ソンファン(二)
9.ムン・ギュヒョン(遊)
〈控え〉
(捕手)イ・ドンフン、◎ユン・ヨウン
(内野手)パク・チュンソ、チョン・フン、ソン・ヨンソク、◎シン・ボンギ、チョン・ボミョン
(外野手)△イ・スンファ、ファン・ソンヨン、△イ・イング、△キム・ムンホ
注 : ◎は新加入、△は左打者。
2度の打撃三冠王、2011年の首位打者だった主砲イ・デホの穴はいかにしても埋めようがない。これまでのロッテ打線は8球団1の破壊力を誇っていたが、これは個人の思い切りのいい打撃に任された線ではなく点で得点を積みかさねることが目立ち、ポストシーズンではその辺を徹底して突かれ、主力打者を徹底して封じられ機能しなくなることが目立った。そうなると、特定の個人に頼らないつながりを重視した打線への脱皮が求められる。だがバントや走塁に秀でた選手が少ない。
4番はベテランのホン・ソンフンがつとめることとなる。上位打線をチョン・ジュヌ、ソン・アソプと若い走力のある選手が任されると思われるが、春季キャンプ中の負傷で離脱したソン・アソプが開幕戦に間に合うかどうか微妙である。下位にはカン・ミンホ、ファン・ジェギュンとパンチ力のある打者がそろい、依然として強力打線ではある。ここ数年打線の核だったチョ・ソンファンに年齢的な衰えが見られるので、チョン・フン、シン・ボンギなど若手内野手の台頭が待たれる。
ヤン・スンホ監督は、就任1年目公式戦2位という結果を出したため、釜山のロッテファンたちは1992年以来20年ぶりの韓国シリーズ優勝を心より待ちわびている。だが投打ともに現状では前年を上回る要素が少なく、若手の台頭など劇的な変化が宿願達成のためには必要であろう。ポストシーズン進出という中途半端な夢では、もう誰も満足しない。
【本拠地】
釜山・社稷野球場
韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジアを代表する貿易港として近年国際的な地位が向上している。また野球の盛んな都市として知られ、その釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと3万人の大観衆で球場が埋まり、韓国、いや世界一とも言われる熱狂的な応援を繰り広げ、その独特の光景は野球ファンなら一度は見ておきたい。
ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ(プサンハンヘ トラワヨ)」、「釜山のカモメ(プサンカルメギ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。また釜山や周辺の慶尚南道出身者の多いソウルでも、蚕室野球場のロッテ戦の際は3塁側内野席のほうが、ホーム応援席の1塁側内野席より盛り上がっていることもある。以前は99%以上ロッテファンで埋め尽くされているといっても差し支えなかったが、最近はプロ野球人気の上昇により、週末や祝日の3塁側やレフト外野席には遠方から遠征してきたビジターチームのユニフォームなどを着たファンたちの姿もちらほら見かけるようになった。
近年社稷野球場は8球団一の観客動員数を受け、新しいグッズショップのオープンなど施設の拡充を図った。入場料金は2011年シーズンと比べて席の種類や料金に変更がある。内野は全席指定席制となっていて、プレミアム席(バックネット裏下段)が35000ウォン、R指定席が2万5000ウォン、S・A指定席が1万2000ウォン、B・C指定席が10000ウォンである。また、グラウンドにせり出した内野エキサイティングゾーンは30000ウォンである。自由席(外野、バックネット裏上段)は7000ウォンとなっている。また家族席は1人あたり中央部が25000ウォン、3塁側が20000ウォン(最大5人まで)、カップル席(2人用)が80000ウォンとなっている。
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4月、5月のシーズン序盤だけでなく、夏場以降ロッテが上位に残れば、土日・祝日(17時試合開始)はかなりの混雑が予想され、入場券売り場には長打の列ができることが予想される。その際は試合開始2時間前くらいに球場へと到着することをお勧めする。
なお、球団の歴史を展示したロッテジャイアンツ博物館が球場正面入り口横にあり、試合開始前に入場して見学することができる。1982年の球団創設から現在まで活躍した歴代の名選手たちのユニフォームや実使用の野球道具、過去の貴重な映像などを見ることができる。
[交通アクセス]
釜山地下鉄3号線・社稷(サジク)駅下車徒歩5分、総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅下車徒歩8分。
KTXや長距離列車が発着する釜山駅から社稷駅まで、地下鉄1号線に乗り蓮山洞(ヨンサンドン)駅で3号線に乗り換え30分弱。なお、大邱など近隣の地方都市に列車で行く場合は、地下鉄3号線社稷駅から15分ほどで着く亀浦(クポ)でセマウル号などに乗車でき、釜山駅に出るより早い。長距離バスが発着する総合バスターミナル近くの釜山地下鉄1号線・老圃洞(ノポドン)駅からは同じく蓮山洞駅で乗り換え、30分弱。
球場の周囲は大型ショッピングセンターなど商店も多く食堂なども多いが、釜山広域市でも最大級の繁華街・西面(ソミョン)へは地下鉄3号線と1号線を乗り継いで20分程度で到着する。また東に少し離れた東莱(トンネ)地区には温泉ホテルが建ち並び、ビジターチームの選手たちが宿泊していることもある。釜山市内のロッテ百貨店にはロッテジャイアンツコーナーがあり、ユニフォームやTシャツの関連グッズを買えるようになった。
(文責 : ふるりん)