DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第8回 ロッテジャイアンツ

 2015年は混戦の5位争いを勝ち残れず、3年連続でポストシーズン進出に失敗し過去10年で最低の8位に終わった。イ・ジョンウン監督はたった1年で解任され、チョ・ウォヌ新監督が就任した。オフシーズンはFAでソン・スンナク、ユン・ギルヒョンを獲得し、最大の弱点であるリリーフを補強した。


【投手陣】

〈先発〉 
◎ラリー、◎リンドブロム、ソン・スンジュン、コ・ウォンジュン、パク・セウン
〈中継ぎ〉
△カン・ヨンシク、△イ・ミョンウ、◎ユン・ギルヒョン、キム・ソンベ、イ・ソンミン、チョン・デヒョン、△チャ・ジェヨン、◎チョン・ジェフン
〈抑え〉
◎ソン・スンナク

注 : ◎は新加入、△は左腕
 2015年チーム最多の13勝、10チーム最多の203回を投げた2年目の外国人投手リンドブロムが先発の柱となり、外国人左腕ラリーがそれに続く。35歳のベテラン、ソン・スンジュンに続く韓国人先発投手の定着が望まれる。その最有力候補が高卒3年目、まだ20歳の右腕パク・セウンである。2015年5月KTからトレードされ、一軍で2勝をあげた。
 2015年はまったく抑えが固定できず8位に終わった最大の要因となったため、ネクセンで抑えを務めたソン・スンナクを獲得した。だが2015年も6度のセーブ失敗と安定感には欠いている。もう一人FAで獲得したユン・ギルヒョンの抑え起用も状況によっては考えられる。中継ぎ陣は左右、質量ともにそろっている。


【打撃陣】

(ベストオーダー)

1.ソン・アソプ(右) △ 
2.チョン・フン(二) 
3.ファン・ジェギュン(三) 
4.アドゥチ(中) △ 
5.チェ・ジュンソク(指)
6.カン・ミンホ(捕) 
7.オ・スンテク(遊) 
8.パク・チョンユン(一) 
9.キム・ムンホ(左)△ 

〈控え〉
(捕手) アン・ジュンヨル、△キム・ジュンテ
(内野手) ムン・ギュヒョン、イ・ヨサン、△キム・デウ、ソン・ヨンソク、キム・サンホ
(外野手) ◎パク・ホンド、イ・ウミン、△オ・ユンソク、キム・ミンハ

注 : ◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。
 
 打線は上位チームに引けを取らない構成となる。メジャーリーグベースボール(MLB)へのポスティングによる移籍を試みたが失敗した巧打者ソン・アソプ、攻守そろった大型三塁手ファン・ジェギュンだけでなく、チーム史上初の20本塁打−20盗塁を記録した外国人打者アドゥチ、巨砲チェ・ジュンソク、強打の捕手カン・ミンホとそろっている。
 また2015年最も成長が目覚ましかったのは、内野のユーティリティープレイヤーから台頭した24歳のオ・スンテクである。レギュラーと控えの実力差が大きいが、内外野ともに手薄なポジションがあるので若手の台頭を待ちたい。


 ロッテは外国人のロイスター監督(2008-2010年)のあとヤン・スンホ(2011-2012年)、キム・シジン(2013-2014年)、イ・ジョンウン(2015年)と5年間で3人も監督が代わり、一貫した姿勢でチーづくりができていない。全体的に短命の監督が多いチームであるだけに、1992年以来の韓国シリーズ優勝のためには根本的な体質から変えないといけないのかもしれない。


本拠地
 釜山・社稷野球場
 韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジアを代表する貿易港として発展を遂げた。野球の盛んな都市として知られ、釜山市民の期待を一身に受けるロッテの本拠地・社稷(サジク)野球場は、チームが好調だと2万人以上の大観衆で球場が埋まり、プロ野球10チームでも最大級と言われる熱狂的な応援を繰り広げ、その独特の風景は野球ファンなら一度は見ておきたい。野球場の正面玄関、球場内通路の2か所にグッズショップがあり、品ぞろえも豊富で見ているだけでも飽きない。
 社稷野球場は釜山広域市内の北部にあり、国際フェリーターミナルがある釜山駅周辺や繁華街の南浦洞(ナムポドン)付近からは離れている。野球観戦の際は、比較的近い繁華街の西面(ソミョン)付近に宿泊するとよいかもしれない。また、温泉地として有名な東莱(トンネ)地区も遠くない。

 ファンたちは新聞紙をちぎってボンボン状のふさを作り、試合後半になると配布されるオレンジ色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、世界でも類を見ない独特の応援風景を作り上げる。また終盤には「釜山港へ帰れ」、「プサンカルメギ(釜山のカモメ)」などのご当地ソングが歌われ、雰囲気を盛り上げる。だが2013年以降3年連続ポストシーズン進出を逃したことで、以前と比べて熱気は衰えてしまったようにも感じる。2016年はシーズン後半閑古鳥が鳴くような状態にしたくないものだ。
 また蚕室野球場など首都圏のロッテ戦では、ビジター内野席がロッテファンで埋めつくされることも珍しくない。釜山から北へ50kmほどの地方都市・蔚山(ウルサン)広域市の文殊(ムンス)野球場でも時折主催試合が行われる。同野球場は約1万2000席と規模が小さく、チケットの入手は社稷野球場より難しい。










[交通アクセス]
 釜山地下鉄3号線・総合運動場駅、社稷駅下車徒歩10分程度。
 釜山駅から総合運動場駅へは、釜山地下鉄1号線蓮山(ヨンサン)駅で3号線に乗り換えて40分程度。

(文責:ふるりん