DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2020年 シーズン展望 第10回 ロッテジャイアンツ

屈辱の最下位からの脱出へ

 

 2019年はまさかの15年ぶりの最下位(2015年以降の10球団制では初)に転落、シーズン終了後にホ・ムンフェ新監督が就任し再建が託された。2020年はまずどん底から脱出し、3年ぶりのポストシーズン進出が目標となる。
 

【投手陣】

〈先発〉 
◎ストレイリー、◎サンプソン、パク・セウン、ソ・ジュヌォン、◎ノ・ギョンウン、ソン・スンジュン
〈リリーフ〉
イ・インボク、パク・チンヒョン、パク・シヨン、ク・スンミン、△チョン・テスン、△コ・ヒョジュン、キム・ウォンジュン

注 : ◎は新加入、△は左腕
 先発投手陣はMLB通算40勝の新外国人選手ストレイリーが柱になると思われる。もう一人の新外国人選手サンプソンも2019年にテキサスレンジャースで6勝と実績はある。2019年シーズン後半から復調した24歳のパク・セウンは完全復活をかける。FA(フリーエージェント)となるも交渉が決裂し2019年はロッテと再契約しなかった36歳のノ・ギョンウンも復活をかける。まだ19歳の高卒2年目の若手ソ・ジュヌォンの成長も期待したい。

 リリーフ陣は質より量と言える。2019年まで守護神をつとめたソン・スンナクが引退し、先発として結果を残せなかったキム・ウォンジュンが新たな抑えとなる。チーム最年長となる39歳のソン・スンジュンは先発、リリーフともにこなし投手陣の精神的な支柱となる。


【打撃陣】

<先発予想>

捕手:◎チ・ソンジュン

一塁:イ・デホ

二塁:◎アン・チホン

三塁:シン・ボンギ

遊撃:◎マチャド

外野:△ソン・アソプ、ミン・ビョンホン、チョン・ジュヌ

DH:チョン・フン

〈控え〉
(捕手) キム・ジュンテ、△チョン・ボグン
(内野手) ハン・ドンヒィ、キム・ミンス、△キム・ドンハン、オ・ユンソク
(外野手) △ホ・イル、△カン・ロハン、◎△チュ・ジェヒョン

注 : ◎は新加入、△は左打者。
 
 FAのアン・チホンのロッテへの移籍は、2019年のオフシーズンで最大の話題を集めた。2009年からキアで強打の二塁手として活躍し続けたアン・チホンの加入で、打線の強化に成功した。新外国人選手マチャドと組む新たな二遊間がチームの命運を握る。最大の課題だった捕手はトレードでハンファの控え捕手チ・ソンジュンを獲得した。だがチョン・ボグンなどの若手にもチャンスはある。

  これらの新戦力に加えてイ・デホ(元福岡ソフトバンク)、ソン・アソプ、ミン・ビョンホン、チョン・ジュヌなどベテランの主力打者なども健在で、打線は強力となった。高卒3年目の20歳のハン・ドンヒィなど若手の成長にも期待したい。

 

 48歳のホ・ムンフェ新監督は監督として初めてのシーズンとなるが、2019年までキウムの首席コーチを務めるなど指導者の経験は豊富である。またプロ野球選手としては無名に近かったが、MLBのスカウトなどをつとめた異色の経歴の持ち主で37歳とまだ若いソン・ミンギュ団長がチームの改革を進めている。ロッテジャイアンツがどのようにして最下位から脱出し、1992年以来の韓国シリーズ優勝を渇望する熱狂的なファンたちを再び社稷野球場に集めるのか注目される。

 


【本拠地】
釜山・社稷野球場


 韓国第2の都市・釜山(プサン)は韓国のみならず、アジア屈指の貿易港として発展を遂げた。野球の盛んな都市として知られ、釜山近隣のファンの期待を一身に受ける本拠地・社稷(サジク)野球場は、ロッテが好調だと2万人以上の大観衆で球場が埋まり、特有の熱を帯びた応援のボルテージが上がっていく。その圧倒的な雰囲気は野球ファンならずとも一度は見ておきたい。
 野球場の正面玄関、球場内通路の2か所にグッズショップがあり、品ぞろえも豊富である。また試合開催日以外でも開館している「ロッテジャイアンツ博物館」があり、写真などの展示が豊富でチームの歴史を体感でき、実際の社稷野球場のベンチを模した記念撮影コーナーもある。
 社稷野球場は釜山広域市の北部にあり、国際フェリーターミナルがある釜山港付近からは遠く、西面(ソミョン)や釜田(プジョン)の繁華街から割合近い。球場の西には山々が連なるが、周囲には商業ビルが建ち並び食事や買い物などには困らない大都市の球場である。

 ロッテファンたちは新聞紙を短冊状にちぎってからまとめて房を作り(出入口付近で古い新聞が安く売られている)、試合後半になると配布される赤色のビニール風船を振り回すか頭にかぶるなどして、一体となって野球場全体を盛り上げる。5回裏終了時には場内の照明を落として携帯電話のライトをつけながらファンたちがロッテジャイアンツの応援歌を歌い、終盤には「釜山港へ帰れ」、「プサンカルメギ(釜山のカモメ)」などご当地ソングの合唱もあり雰囲気を盛り上げる。
 釜山から北へ50kmほどの地方都市・蔚山(ウルサン)広域市の文殊(ムンス)野球場でも時折主催試合が行われることがある。同野球場は約1万2000席と社稷野球場に比して規模が小さく、当日券を購入する際には早めに到着することをお勧めする(2020年シーズンの開催は未定)。

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社稷野球場


[交通アクセス]
 釜山交通公社3号線・総合運動場(チョンハプウンドンジャン)駅、社稷(サジク)駅下車で徒歩10分。

(文責 : ふるりん