DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第7回 キアタイガース

 2015年はシーズン終盤までポストシーズン進出をかけて5位争いに残ったが、最後は息切れして7位に終わった。2年目を迎えるキム・ギテ監督は世代交代を図り、自身が育成した選手の成長や、近年故障などで活躍できていない選手の再生で上位進出を目指すと思われる。


【投手陣】

〈先発〉 
△ヤン・ヒョンジョン、◎ヘクター、◎ジーク、イム・ジュンヒョク、ユン・ソンミン
〈リリーフ〉
チェ・ヨンピル、クァク・チョンチョル、ハン・ギジュ、キム・ユンドン、キム・グァンス、ホン・ゴンヒィ、ハン・スンヒョク、△シム・ドンソプ

注 : ◎は新加入、△は左腕

 2015年最優秀防御率(2.44)のタイトルを獲得したエースのヤン・ヒョンジョンが先発の柱となる。ヘクター、ジークの両新外国人投手がそれに続き、2015年は抑えとして活躍したユン・ソンミンも先発に転向する。また2015年は自己最多の9勝をあげた31歳のイム・ジュンヒョクがまた先発として活躍すれば、先発投手陣は他チームに引けを取らないものとなる。
 ユン・ソンミンを先発に回した分の抑えであるが、中継ぎとして起用されてきた左腕シム・ドンソプ、2009年の韓国シリーズ優勝に貢献したが2012年以降故障や軍への入隊で一軍登板がないクァク・チョンチョルなどの起用が予想される。また新人だった2006年から2008年まで活躍したが、近年は故障で不振が続いた右腕ハン・ギジュにも復活の気配がある。これにキム・ユンドンなどの若手が加われば質、量ともに盤石の投手陣が形成される。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.キム・ホリョン(中)  
2.キム・ウォンソプ(右)  
3.キム・ジュチャン(左) 
4.ピル(一) 
5.イ・ボムホ(三)  
6.ナ・ジワン(指) 
7.キム・ミヌ(二) 
8.キム・ジュヒョン(遊) 
9.ペク・ヨンファン(捕)  

〈控え〉
(捕手) イ・ホング、イ・ソンウ
(内野手) チェ・ヨンギュ、△カン・ハヌル、ホン・ジェホ、パク・チャンホ、×コ・ヨンウ
(外野手) △シン・ジョンギル、△キム・ダウォン、◎ユン・ジョンウ、△イ・ホシン

注 : △は左打者、×は両打ち。

 2015年7位に終わった要因は投手陣より打線にある。大きな補強もなかったため、得点力の向上はさほど期待できない。打線の軸は韓国3年目を迎えた外国人打者ピルで、勝負強い打撃だけでなく守備、走塁でもチームに貢献している。イ・ボムホ(元福岡ソフトバンク)、キム・ジュチャン、キム・ウォンソプ、キム・ミヌなど30歳以上のベテラン勢頼みなのも苦しい。2015年は不振だったナ・ジワンの復活に期待したい。
 新しいチームの顔になれる人材として、大卒2年目の23歳キム・ホリョンを推したい。俊足巧打の1番打者として成長が見込まれる。また27歳のペク・ヨンファン、25歳のイ・ホングとともに2015年は2ケタ本塁打を記録した2人の捕手のレギュラー争いにも注目したい。

  
 キム・ギテ監督はチームの再建をさらに推し進め、世代交代を加速させていくと思われる。エースのヤン・ヒョンジョンや経験豊富なベテラン打者などが依然としてチームの中心となるであろうが、新たな選手の台頭を加えて2011年以来となる5年ぶりのポストシーズン進出を果たすことができるであろうか。


本拠地
 光州・キアチャンピオンズフィールド

 韓国南西部の中心都市・光州(クァンジュ)はソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れがちであった。その理由のひとつとして韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半まで、韓国政府からも差別的待遇を受けてきたことがあげられる。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現在もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。ソウル・蚕室野球場など首都圏のプロ野球の試合でも、光州や周囲の全羅道出身者が集まるためビジター応援席がキアファンで真っ赤に染まることもある。2001年夏、キアタイガースに生まれ変わってから15年近くの月日がたったが、ファンたちは相変わらず「ヘテ」に憧れている。それを反映してか、2016年シーズンよりキアチャンピオンズフィールドの内野スタンドの壁面に、ヘテ時代の9度の韓国シリーズ優勝を記念したエンブレムが飾られている。
 まだ利用開始から2年余りしか経っていないため、新しさの残るボールパークは年々施設を拡充し、野球ファンたちのニーズにこたえようとしている。西日がまぶしいためホームのキアは3塁側ベンチを使用し、応援ステージも3塁側内野席に設置されている。外野には木造の椅子とベンチ、砂場などもあり、ファミリー層が利用しやすくなっている。












[交通アクセス]

 周囲は住宅地や中小工場が並ぶ庶民的な町で、球場の入り口付近に停留所があるものの、バスでのアクセスは韓国語が理解できないとお勧めできない。韓国各都市からのバスが発着する光州総合バスターミナルからは徒歩でも15分程度で、大通りに沿って歩けば着くためわかりやすい。広大なバスターミナル周辺には旅館やホテルも多く、デパートもあるためショッピングや食事をする場所には事欠かない。
 2015年4月より、KTX湖南高速線が光州松汀(クァンジュソンジョン)駅まで開通し、ソウル市内の龍山(ヨンサン)駅から1時間50分程度で到着する。ただし同駅からキアチャンピオンズフィールドは約10km離れていて、公共交通機関でのアクセスも不便である。タクシーで30分はかかるため、18時半開始のナイターのソウルからの日帰り観戦は厳しい。2016年3月現在、光州松汀駅から龍山行きの最終のKTXは22時48分発となっている。

(文責:ふるりん