2014年、プロ野球史上初の公式戦・韓国シリーズの同時4連覇を達成し最強の名をほしいままにしているサムソンライオンズ。2015年はプロ野球史上初の韓国シリーズ5連覇が期待されているが、長年チームを支えてきたペ・ヨンス、クォン・ヒョクの2人がFAでハンファへ移籍し、また野手の高齢化も進むなど世代交代が急務となっている。
【投手陣】
〈先発〉
△チャン・ウォンサム、ユン・ソンファン、◎フィガロ、◎クロイド、△チャ・ウチャン
〈リリーフ〉
アン・ジマン、シム・チャンミン、△ペク・チョンヒョン、△イム・ヒョンジュン、△パク・クンホン、キム・ゴンハン、クォン・オジュン、イム・チャンヨン
注 : ◎は新加入、△は左腕
ペ・ヨンス、クォン・ヒョクの両ベテランだけでなく、2014年最優秀防御率・最多奪三振の二冠となった外国人投手バンデンハークが日本プロ野球・福岡ソフトバンクへと移籍し、新外国人投手フィガロ(元オリックス)、クロイドの2名に期待がかかる。また以前は先発として活躍していた左腕チャ・ウチャンを先発に復帰させた。チャン・ウォンサム、ユン・ソンファンの実績あるベテランもそろっている。
リリーフの大黒柱は2014年仁川アジア大会でも活躍したアン・ジマンになった。2014年シーズン開幕前に復帰したイム・チャンヨン(元東京ヤクルト)は31セーブを記録したが、年齢による衰えが顕著で安定感がなく失敗も目立った。以前より層は薄くなっているため、シム・チャンミンなど若手の成長が待たれる。またかつてサイドハンドのリリーフとして活躍していた35歳のベテラン、クォン・オジュンに復活の気配がある。
【打撃陣】
〈ベストオーダー〉
1.ナバーロ(二)
2.パク・ハニ(右)△
3.チェ・テイン(一)△
4.チェ・ヒョンウ(左) △
5.パク・ソンミン(三)
6.イ・スンヨプ(指) △
7.パク・ヘミン(中) △
8.イ・ジヨン(捕)
9.キム・サンス(遊)
〈控え〉
(捕手)イ・フンニョン、チン・ガビョン
(内野手)チョ・ドンチャン、△ペク・サンウォン、キム・テワン、△ク・ジャウク、キム・ジェヒョン
(外野手)△ウ・ドンギュン、カン・ボンギュ、△イ・ヨンウク、△パク・チャンド
注 :△は左打者。
サムソン打線は、上位から下位までつながりを重視したバランスの良い打線となっている。精神的支柱のイ・スンヨプ(元オリックス)、ナバーロ、チェ・ヒョンウの3人が30本塁打以上で、パク・ソンミン、チェ・テイン、パク・ハニなど経験豊富な打者がそろっている。その中で注目を集めているのが、軍から除隊され海外キャンプの練習試合で活躍した22歳のク・ジャウクである。同じ左打ちの内野手ということでイ・スンヨプの後継者として、次代の主力選手として飛躍をとげるかもしれない。
リュ・ジュンイル監督はこれまで実績のある4連覇に貢献した選手を中心に起用するだろうが、投打ともに次代を担う選手を育てながら勝つことも求められる。その難題に答えられたとき、サムソンはさらなる高みへと登って行くのかもしれない。
【本拠地】
大邱・市民運動場野球場
大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため春先のナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズは大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来チーム名や本拠地の変更はなく、大邱やその周辺の慶尚北道(キョンサンプクト)を中心にファンが多い(時折慶尚北道東部の工業都市・浦項でも主催試合が開催される)。普通ホーム応援席といえば1塁側だが、この球場は夕方西日が差し込みまぶしいということで、3塁側内野席にある。収容人数は1万人とプロ野球の本拠地としては最も小さく、比較的アットホームな雰囲気である。
野球場は大邱の都心部から少し離れたところで隣に陸上競技場や体育館があるなど市民運動公園の敷地内にあり、タクシーや自家用車などでも比較的アクセスしやすい。古くからの住宅地の中にあり下町の雰囲気が漂い、長年地元ファンに親しまれてきた球場ではあるが近年老朽化が激しく、大邱の中心市街地から小高い山を越えた東の郊外に新球場の建設も進められ、2015年末の完成を目指している(大邱都市高速鉄道2号線・大公園駅前)。そのため、サムソンにとっての2015年シーズンは30年以上使用し、数々の栄光の歴史を築いてきた古き良き野球場の最後の時となるかもしれない。
ライオンを模した(?)マスコット3体はユニークな動きが多く、試合前やその合間のパフォーマンスも要注目である。
2015年シーズンの入場料は2014年と変更はない。外野自由席(一般席)は7000ウォン(土日・祝日は8000ウォン)、外野指定席(レフト側の一部)は8000ウォン(土日・祝日は9000ウォン)。内野指定席は9000ウォン(土日・祝日は11000ウォン)。内野テーブル席は1塁側が25000ウォン(土日・祝日は30000ウォン)、3塁側が20000ウォン(土日・祝日は25000ウォン)。内野上段のテーブル席は1塁側・3塁側ともに1人15000ウォン(土日・祝日は20000ウォン)。外野テーブル席は1人当たり11000ウォン(土日・祝日は15000ウォン)。外野ミニテーブル席は1人当たり9000ウォン(土日・祝日は10000ウォン)。カップル席は2人で50000ウォン(土日・祝日は60000ウォン)、特別席は25000ウォン(土日・祝日は30000ウォン)となっている。(カップル席、特別席は飲食物のサービスつき) なお、入場券が完売に近づいた場合、3000ウォンの内野立見席を販売することがある。
※ 3月16日現在の為替レート : 1万ウォンは約1072円。
[交通アクセス]
Korail、大邱地下鉄1号線大邱駅北口から徒歩15分(地下鉄駅には球場への案内板あり)。ソウル、釜山からの超特急KTXは東大邱駅に停車し、大邱駅には停車しないため要注意(大邱駅はセマウル、ムグンファなどの列車が停車)。なお、ソウルから東大邱まではKTXで1時間40−50分。釜山から東大邱までは40−45分。なお、東大邱からソウル行きの最終のKTXは23時34分発と、18時半開始の平日のナイターを見ても、試合が長引かなければ十分にソウルから日帰りが可能である。(ソウル駅着は翌日の1時23分、2015年3月現在の運行ダイヤによる)
各都市へのバスが発着する高速バスターミナルも近い東大邱駅から大邱駅までは、地下鉄1号線で3駅5分程度。なお球場近くの市内バスはあまり本数が多くなく東大邱駅に行く系統もあるが、韓国語が理解できても土地勘がなければ利用は避けたほうがよい。そのため、観光地の薬令市(ヤンニョンシ)や西門市場(ソムンシジャン)、繁華街の中央路(チュンアンノ)からはタクシーを利用したほうが便利であり、東大邱駅から野球場までもタクシーで10分程度で到着する。なお、西へ徒歩10分ほどの道路上に大邱都市高速鉄道(モノレール)3号線の北区庁(プックチョン)駅が4月12日開業予定で、西門市場付近からのアクセスが向上する。
(文責 : ふるりん)