DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第2回 サムソンライオンズ

 
 2015年、プロ野球史上初の5年連続公式戦優勝を成し遂げながら、まさかの主力投手3人の不在が響き韓国シリーズ5連覇を逃したサムソンライオンズ。投打ともに戦力の流出が相次いだが、2016年シーズンより新本拠地・大邱サムソンライオンズパークで心機一転し再出発を図る。


【投手陣】

〈先発〉 
△チャン・ウォンサム、◎バレスター、◎ウェブスター、△チャ・ウチャン、チョン・イヌク
〈リリーフ〉
シム・チャンミン、△ペク・チョンヒョン、△イム・ヒョンジュン、△パク・クンホン、△チョ・ヒョングン、キム・ゴンハン、クォン・オジュン、◎キム・デウ

注 : ◎は新加入、△は左腕

 2015年チーム最多勝の17勝を記録したユン・ソンファン、2015年プロ野球最多ホールド(35)のアン・ジマンが海外賭博容疑により試合出場が不透明となっている。この主力投手2人の穴を埋めるのは容易ではない。チャン・ウォンサム、チャ・ウチャンと実績のある2人の先発左腕が計算できるが、新外国人バレスター、ウェブスター以外の先発右腕候補に乏しい。そのため、2015年よりも細かい継投で勝つ野球を目指すと思われる。
 海外賭博容疑により退団となった抑えのイム・チャンヨンの代役は、サイドハンド右腕でこれまで中継ぎとして起用されてきた23歳のシム・チャンミンが予想される。中継ぎの柱となる人材が見当たらないこともあり、3月22日、ネクセンからチェ・テインとのトレードでキム・デウを補強しリリーフの層を厚くした。以前より苦しい陣容だが、ワンポイントで起用できる左腕が多いのが長所である。


【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.パク・ヘミン(中)△ 
2.ペ・ヨンソプ(右)△ 
3.ク・ジャウク(一)△  
4.チェ・ヒョンウ(左) △
5.バルディリス(三) ◎ 
6.イ・スンヨプ(指) △
7.ペク・サンウォン(二) △ 
8.イ・ジヨン(捕) 
9.キム・サンス(遊)  

〈控え〉
(捕手)イ・フンニョン、イ・ジョンシク
内野手)チョ・ドンチャン、キム・テワン、ソン・ウィジュン、キム・ジェヒョン、キム・ジョンヒョク
(外野手)△ウ・ドンギュン、△イ・ヨンウク、◎ナ・ソンヨン、◎チェ・ジェウォン


注 :◎は新加入、△は左打者。

 2008年以降サードのレギュラーとして活躍してきたパク・ソンミンがFAでNCへ、2015年チーム最多本塁打(48本)を記録した外国人打者ナバーロも日本プロ野球千葉ロッテへと移籍した。最大の補強として日本プロ野球で実績のある外国人の三塁手バルディリス(元横浜DeNA)があげられ、ナバーロが守っていた二塁はこれまで控えだったペク・サンウォンが任されることになりそうだ。
 2016年中に40歳を迎えるイ・スンヨプ(元オリックス)は精神的支柱として健在で、主砲チェ・ヒョンウ、バルディリスが中軸を打ち、その周りを2015年盗塁王のパク・ヘミン、キム・サンス、パク・ハニなどの小技や足を使える選手が固めている。2015年9月に軍から除隊され復帰した巧打俊足の外野手ペ・ヨンソプも、本格的に主力外野手として復活が期待される。レギュラークラスは2015年以前と比べ遜色はないが、控えの層が薄くなっていて若手の育成や台頭による底上げが求められる。

 
 韓国シリーズでのよもやの敗退からの立て直しを図ることになったリュ・ジュンイル監督。投打ともに一定の水準を保ってはいるものの、まさかの一部の選手の不祥事によって落ちてしまったプロ野球を代表する名門チームとしての威厳をかけたシーズンという重責に耐え、新本拠地での記念すべき最初のシーズンで王座を奪回できるのであろうか。


本拠地
 大邱サムソンライオンズパーク
 
 大邱(テグ)は韓国南東部にある人口250万人以上の韓国第4の都市である。広い盆地に位置し、夏は大変暑く冬はかなり冷える。そのため春先のナイター観戦は、日中暖かくても少し厚着をしていったほうがよい。
 電子製品を中心に世界的な大企業となったサムソングループであるが、同グループ発祥の地ということでサムソンライオンズ大邱を本拠地としている。1982年の球団創立以来本拠地としていた大邱中心市街地の市民運動場野球場から、東の郊外に新たに建設した大邱サムソンライオンズパークへと戦いの場を移した。観客席は約24300と約10000だった前本拠地と比べ倍増し、内野は上段・下段の二層構造となっている。



 

 大邱サムソンライオンズパークは緩やかな起伏の丘を開発して建設され、大邱中心市街地から低い峠を越えた東側にあり、周囲には住宅や商店などは少ない。しかし交通アクセスは非常によく、大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園(テゴンウォン)駅の目の前で、幹線道路もすぐ横を通っていてバスも頻繁に運行されている。2016年より大公園駅に近づくと2号線の電車内ではイ・スンヨプの声による到着案内放送も流れる。

 メジャーリーグベースボール(MLB)、フィラデルフィアフィリーズの本拠地・シティズンズバンクパークを参考に設計され、客席がサムソンのチームカラー、青に統一された特徴的なデザインの野球場は、電光掲示板、観客席ともに最新鋭の設備が導入され、快適な観戦環境が提供されている。以前の本拠地と同じくホームが三塁側となっている。ファールグラウンドが狭くて内野席の臨場感もあり、他の韓国の野球場に見られない八角形の形状である。両翼99.5m、センター122,5mとなっているが、外野フェンスが直線的で右中間、左中間がやや狭いと見られている。

 大邱サムソンライオンズパークは、韓国の新しい野球文化の発信地として今後大いに注目を集めると思われる。入場料はホーム側3塁内野席が11000ウォン(Bゾーン)と13000ウォン(ブルーゾーン)、内野上段席が8000ウォン、外野席が7000ウォン(すべて平日の価格で週末は2000ウォン程度上乗せされる)など、他チームと比べ決して高くないのも魅力的である。


[交通アクセス]
 大邱都市鉄道(地下鉄)2号線・大公園駅4,5番出入口の目の前。大邱市内の玄関口・東大邱駅まではソウルからKTXで1時間40−50分。釜山から東大邱までは40−45分。なお、東大邱からソウル行きの最終のKTXは23時41分発と、18時半開始の平日のナイターを見ても試合が長引かなければ十分にソウルから日帰りが可能である。(ソウル駅着は翌日の1時25分、2016年3月現在の運行ダイヤによる)
 各都市へのバスが発着する高速バスターミナルも近い東大邱駅から大公園駅までは、都市鉄道(地下鉄)1号線で半月堂(パノォルダン)駅まで行き、2号線に乗り換えて35分程度。都市鉄道は遠回りで時間もかかるため、東大邱駅前から大邱サムソンライオンズパーク方面へのバスも発着しているので、韓国での移動に慣れている場合はそちらを利用する手もある(937番バスなどで15-20分)。

(文責:ふるりん