DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 キアタイガース

 2012年は5位に終わり、ポストシーズン進出を逃したキアタイガース。前身のヘテ時代で何度も韓国シリーズ優勝に貢献したソン・ドンヨル監督(元中日)は、就任2年目で4年ぶりの優勝に向けて勝負をかける。


【投手陣】

〈先発〉 
ユン・ソンミン、ソ・ジェウン、ソーサ、△パク・キョンテ、△ヤン・ヒョンジョン、キム・ジヌ
〈中継ぎ〉
パク・チフン、イ・デファン、△イム・ジュンソプ、○ソン・ドンウク、ユ・ドンフン、△チン・ヘス
〈抑え〉
アンソニー

注 : ○は新人、△は左腕

 2012年はエースのユン・ソンミンをはじめとしてベテランのソ・ジェウン、アンソニー、ソーサの両外国人、復活を遂げたキム・ジヌなど先発陣が揃っていた。しかしユン・ソンミンは3月のWBC(ワールドベースボールクラシック)での負傷、キム・ジヌはオフシーズンの手術からのリハビリのため、開幕に間に合わない可能性が高い。そのため、ベテランのソ・ジェウン、ソーサの両外国人が先発の柱となり、2010年17勝をあげたがその後は不振が続く左腕ヤン・ヒョンジョンの復活が期待される。
 先発陣と比べてだいぶ劣るリリーフ陣が上位進出できなかった要因の一つだった。それを解消しようとキャンプから新人ソン・ドンウク、2年目の左腕イム・ジュンソプなどの若手を起用し続け、層が厚くなった。2012年新人ながら右の中継ぎに欠かせない存在となったパク・チフンも、さらなる成長が期待できる。最大の課題の抑えは、2012年先発でチーム最多の11勝だったあアンソニー・レルー(元福岡ソフトバンク)が任されることになった。
  

【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・ヨンギュ(中) △
2.キム・ジュチャン(右) ◎ 
3.ナ・ジワン(指) 
4.イ・ボムホ(三) 
5.キム・サンヒョン(左)  
6.チェ・ヒィソプ(一) △
7.アン・チホン(二) 
8.チャ・イルモク(捕) 
9.キム・ソンビン(遊)  

〈控え〉
(捕手) キム・サンフン、イ・ソンウ
(内野手) キム・ジュヒョン、ホン・ジェホ、パク・キナム、△ファン・ジョンニプ、○コ・ヨンウ
(外野手) △キム・ウォンソプ、△チェ・フルラク、イ・ジュンホ、△シン・ジョンギル

注 : ◎は新加入、○は新人、△は左打者。
 2012年は故障者が多すぎ、迫力不足でこれまた上位進出を逃す要因となった。イ・ボムホ(元福岡ソフトバンク)、チェ・ヒィソプ、キム・サンヒョンと主軸を期待した選手たちが故障で離脱していた期間が長すぎ、ナ・ジワンの孤軍奮闘が目立った。最大の補強は、ロッテからFAとなっていた俊足の外野手キム・ジュチャンで、打線に厚みが増し示範競技では好調だった。
 韓国代表での活躍が知られる1番イ・ヨンギュ、二遊間を守るアン・チホン、キム・ソンビンの若手コンビと、上位から下位まで切れ目のない打線ができつつある。控えにもキム・ウォンソプやシン・ジョンギルのような計算できる打者がいて、選手層が厚くなっている。 


 示範競技は2度の4連勝もあり首位で終え、強力な打線を背景に開幕前の評価が高い。ソン・ドンヨル監督は投手を中心に世代交代を進め、キアタイガースの真の黄金時代を築くことができるのであろうか。


本拠地
 光州・無等運動場野球場

 韓国南西部最大の都市・光州(クァンジュ)は、ソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れがちであった。その理由として韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半まで、韓国政府からも差別的待遇を受けてきた。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 21世紀の現代もその雰囲気が残っていて、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。ソウル・蚕室野球場や木洞野球場でのキア戦も、光州や周囲の全羅道出身者が集まるため、3塁側ビジター応援席が真っ赤に染まることも多い。2001年夏、キアタイガースに生まれ変わってから10年以上の月日がたったが、ファンたちは相変わらず「ヘテ」に憧れている。
 球場はかなり老朽化が進み、2015年の光州ユニバーシアード開催に合わせて隣の無等競技場があったところに新球場を建設中である。2013年末に完成予定で、外側からだいぶその形が見えつつあり、2013年は古き良き野球場のラストシーズンとなる可能性が高くなっている。
 近年グッズショップが入場券売り場だけでなく、1塁側内野席入り口付近にも開かれ、グッズの種類が増えてはいるが、あまり品揃えはよくない。



 2013年シーズンの入場料金だが、内野中央指定席は平日13000ウォン、土日・祝日14000ウォン。その他の一般指定席は平日8000ウォン、土日・祝日9000ウォン。自由席の外野席は平日7000ウォン、土日・祝日8000ウォン。食事をしながらのグループ観戦に適したテーブル席が内外野に設置され、外野のネオウィズ席(2人用)が平日33000ウォン(土日・祝日39000ウォン)、1塁側内野席にはGマーケット席(2人用)が平日44000ウォン(土日・祝日50000ウォン)、バックネット裏のK5席(2人用)が55000ウォン(土日・祝日60000ウォン)、K7ファミリー席は2人席が66000ウォン(土日・祝日72000ウォン)、4人席が132000ウォン(土日・祝日144000ウォン)となっている。

(3月25日現在の為替レート:1万ウォンが約852円。)


[交通アクセス]

 光州の市街地にあるが、周囲は住宅地や中小工場が並ぶ庶民的な町で、繁華街から少し離れたところにある。球場の入り口付近に停留所があるものの、バスでのアクセスは韓国語が理解でき土地勘がないとお勧めできない。ソウル市内の龍山(ヨンサン)発のKTXの終着駅・光州駅からではタクシーで約10分弱である。
 ソウル・大田方面からの湖南線・木浦(モクポ)行きKTXは、光州駅に行かず光州市内の西部にある光州松汀(クァンジュソンジョン)駅にしか停車しないので要注意。そこから中心市街地へは地下鉄1号線が出ているが、野球場へのアクセスはよくない。

 韓国各都市からのバスが発着する、光州総合バスターミナルからは徒歩でも15分程度しかかからず、道もわかりやすい。広大なバスターミナル周辺には旅館やホテルも多く、デパートもあるためショッピングや食事には事欠かない。
(文責:ふるりん