DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  韓国シリーズ : サムソン−SK 展望

 公式戦優勝で待ち構えるサムソンと、公式戦3位ながら準プレーオフでキア、プレーオフでロッテをやぶり史上初の5年連続韓国シリーズ進出を成し遂げたSK。逆の立場で対戦した2010年の韓国シリーズは、トゥサンとのプレーオフを第5戦まで戦い疲労しきっていたサムソンを、SKが負けなしの4連勝で退けた。当時のソン・ドンヨル監督は退任し、リュ・ジュンイル監督は1軍監督初経験ながら戦力の充実したチームを見事公式戦優勝に導いた。

 サムソンの強みは何といっても投手陣だ。チーム防御率は3.32と8球団1位で、先発、リリーフ陣共に質が高い。年間を通して先発ローテーションを守ったのはチーム最多勝(14勝)の右腕ユン・ソンファン、左腕エースに成長したチャ・ウチャンだけだが、夏場から加入したマシス、ジャマーノ(元福岡ソフトバンク)の両外国人投手が先発として大活躍し、首位独走態勢の構築に大きく貢献した。その他には左腕チャン・ウォンサムも控え、決着が第6戦以降までもつれ込んでも、先発に困ることはない。場合によってはチャ・ウチャンかチャン・ウォンサムのどちらかか、経験豊富なかつてのエース、ペ・ヨンスをロングリリーフ要員に回すであろう。
 そしてリリーフ陣も鉄壁で、相手チームは9回サムソンに1点でもリードされていたら必ず負けを覚悟した。それは自身が2007年に達成した史上最多セーブ数の47セーブを4年ぶりに記録した最強ストッパー、オ・スンファンが控えているからだ。2009、2010年と故障で思うような活躍ができなかったが、完全復活を遂げた2011年シーズンは54試合に登板して防御率0.63という神がかり的な成績だった。そのほかにも右のクォン・オジュン、アン・ジマン、チョン・ヒョヌク、左のクォン・ヒョクなど非常に層が厚い。

 打線はチーム打率(.259)が8球団中6位、本塁打数(95)が3位、得点(625)が3位と、あまり打撃のチームというイメージではない。だが自身初の本塁打(30)、打点(118)と打撃2冠王となったチェ・ヒョンウという不動の4番がいる。そのほかパク・ソンミン以外にあまり長打を期待できる選手は少ないが、パク・ハニ、正捕手チン・ガビョン、カン・ボンギュといった経験豊富な選手が揃い、選手層は厚い。
 また最大の武器は8球団中1位のチーム盗塁数(158)を誇る機動力だ。公式戦終盤は不詳で離脱していたが、2011年シーズン外野のレギュラーに定着したチーム最多盗塁(33)のペ・ヨンソプ、若き天才ショートのキム・サンス、チョ・ドンチャン、イ・ヨンウクなどが揃っている。チョン・サンホなどSK捕手陣がどのように卒がないサムソンの足を生かした攻撃を止めるかが勝負の分かれ目となろう。

 対するSKは、準プレーオフで4試合、プレーオフで5試合と半月あまり激戦を続けてきた疲労がどれだけ残っているかが不安である。第1戦の先発はプレーオフ、準プレーオフで出番のなかった左腕コ・ヒョジュンを起用した。若き左腕エースとしてポストシーズンでの復活が期待されたキム・グァンヒョンの調子が悪く、先発として起用するのが厳しい。経験豊富なソン・ウンボム、そしてこのポストシーズンでブレーク中のユン・ヒィサン、外国人投手ゴードンが先発として主に起用されるであろう。
 オ・スンファンのような絶対的守護神はいないが、リリーフならSKも負けてはいない。幸いタフな中継ぎ左腕のチョン・ウラムが好調で、そのほかにはチョン・デヒョン、イ・スンホ(背番号20)などの経験豊富な選手も揃っている。もし接戦になった場合はどちらが有利かまったくわからなくなってしまう。
 打線では、プレーオフでMVPに輝いたポストシーズンに強いパク・チョングォンがサムソン投手陣にとって最大の脅威となる。また公式戦後半からレギュラーに定着したアン・チヨンも勢いがあり、チョン・グヌ、パク・チェサン、チェ・ジョンなど経験豊富な選手が揃っている。いざという時の代打の切り札としてはイ・ホジュンがいる。

 韓国シリーズは2002年以降、9年連続で公式戦優勝チームがそのまま優勝している。投打ともに盤石のサムソンだが、2010年の王者としての意地があり経験豊富なSKという相手は、5年ぶり4度目の韓国シリーズ優勝を目指すには最も厄介な相手であることには間違いがないだろう。
 

 (文責 : ふるりん