DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  韓国シリーズ : サムソン−トゥサン 展望

 これまで韓国シリーズにおいて、サムソンとトゥサンは過去に4度対戦している。直近では2013年で、公式戦優勝のサムソンが、準プレーオフプレーオフを勝ち上がった4位トゥサンと対戦し、トゥサンが第4戦まで3勝1敗とリードしていたが、第5戦以降サムソンが3連勝し優勝した。そのほかにも2005年はサムソンの4連勝で優勝、2001年は公式戦3位から勝ち上がったトゥサンが4勝2敗で公式戦優勝のサムソンを倒した。1982年、史上初めての韓国シリーズでは前期優勝のOB(トゥサンの前身)、後期優勝のサムソンが対戦し、4勝2敗でOBが優勝した。これまでの対戦成績は2勝2敗である。


 5度目の韓国シリーズでの対決となった両チームであるが、2011年から2014年まで4連覇中のサムソンにとっては、史上初となる韓国シリーズ5連覇達成の偉業がかかる。公式戦は終盤2位NCに追い上げられかろうじて逃げ切り優勝を決めたものの、5連覇への大きな障害はないかのように思えた。


 しかし、公式戦終了後に一部の選手のオフシーズンでの問題行動が明るみとなり、10月16日、プレーオフを前にして該当する選手たちが韓国シリーズに出場しないことをサムソンは発表していた。そして10月25日に発表された韓国シリーズ出場選手一覧にも、グラウンド外での不祥事で人前に出られなくなった選手たちの名前はなかった。
 

 サムソンの先発陣は第1戦の予告先発フィガロ(元オリックス)、もう一人の外国人投手クロイド(11勝)、左腕チャ・ウチャン(13勝)、同じく左腕のチャン・ウォンサム(10勝)などが候補に挙がる。4連覇に貢献したリリーフ陣の多くは移籍などでサムソンを去ってしまい、以前より層は薄くなった。右サイドハンドのシム・チャンミンが今回の韓国シリーズでは最も信頼される存在となり、残りは右のクォン・オジュン、シン・ヨンウン、左のパク・クンホンなどの経験豊富な選手たちが随所でして起用されると思われるが、一部の選手たちの不在が少なからず影を落としてしまっている。公式戦ではあまり目立った活躍のなかったチョン・イヌク、キム・ギテ、チョ・ヒョングンなども出場選手に登録されている。


 サムソンの最大の強みは、2015年チーム打率が.302を記録した打線だ。チーム得点(805)、本塁打数(176)、盗塁数(157)は10チーム中2位と高い攻撃力である。その主役となったのは、外国人選手のシーズン本塁打数(48)や打点(137)を更新したナバーロである。盗塁も22と足もあり、トゥサン投手陣としては最も警戒すべき選手だ。また4番を務めたチェ・ヒョンウ(33本塁打・123打点)、自己最高の成績を残したパク・ソンミン(26本塁打・116打点)と、100打点以上の選手が3人そろっている。他にも精神的支柱のイ・スンヨプ(26本塁打・90打点)、過去に何度も韓国シリーズの大舞台で活躍してきたパク・ハニなど、経験豊富な選手たちがそろっている。
 守備走塁に関しては、2015年シーズン初の盗塁王となった外野のパク・ヘミン(60)、2014年盗塁王のショートのキム・サンスなど、1990年生まれの2人のセンターラインの選手が中心となる。また116試合に出場し、内外野のユーティリティープレイヤーとして活躍した22歳の若手ク・ジャウクは初の大舞台での活躍が期待される。ほかには自己最多の124試合に出場し、正捕手の座をつかんだイ・ジヨンも自分がリード中心となる初の大舞台であり、これまで7度の韓国シリーズ優勝に貢献し、2015年限りでの現役引退を表明しすでにグラウンドから去ったチン・ガビョンの後継者としての真価が問われる。

 

 準プレーオフプレーオフを勝ち上がってきた公式戦3位トゥサンは、プレーオフ第5戦を10月24日まで戦い、中1日で韓国シリーズに臨まなくてはならないため、選手の状態に大きな不安がある。過去、プレーオフ第5戦で勝利し、中1日で韓国シリーズに出場したチームはすべて敗退しているというありがたくない前例もある。
 第1戦の先発は、公式戦で18勝したものの、9月後半から不振が続くユ・ヒィグァンである。第2戦以降はポストシーズンで好投を続けるニッパート、左腕チャン・ウォンジュンが主に起用されると思われるが、プレーオフに続き外国人投手スウォーザックの不在で先発の枚数が足りず、こちらも楽ではない。左腕イ・ヒョンホ、ホ・ジュンヒョクなど、これまで大舞台の経験がない選手が先発として起用される可能性もある。リリーフ陣を見ると、ポストシーズンで好調を維持しているが、プレーオフ第5戦で3イニングも投げるなど疲労が蓄積している左腕イ・ヒョンスン頼みとなっている。右のユン・ミョンジュン、ノ・ギョンウン、左のハム・トクチュなどのリリーフ陣はこれまであまり信頼されてないため、投手陣が崩れ出すと歯止めが利かない可能性がある。
 打線では正捕手ヤン・ウィジがプレーオフで指を負傷しているのが不安材料である。キム・ヒョンス、ミン・ビョンホン、チョン・スビン、キム・ジェホ、ホン・ソンフンなどほかの主力打者には大きな不安はないが、正捕手を欠く場合その代役は不在なだけに、選手起用に悩まされることになりそうだ。


 2015年シーズンの総決算となる韓国シリーズであるが、サムソンが一部の選手の不在を乗り越えて見事5連覇を達成するのか、あるいはトゥサンが2001年以来となる公式戦2位以下の韓国シリーズ優勝を成し遂げるのか。例年と比べ、本来は絶対的有利な立場でいるはずのサムソンに大きな問題が発生したため、勝負の行方は全く予想ができない。そしてこの熱戦の先には、韓国代表が出場する11月8日開幕予定の新しい国際大会・WBSCプレミア12が待っている。