DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  韓国シリーズ : サムソン−SK 展望

 2010年以降3年連続で同じ組み合わせとなった韓国シリーズ。2010年はSKが4勝負けなしで、2011年はサムソンが4勝1敗でそれぞれ制している。

 今回は2011年と同様、公式戦優勝で韓国シリーズ進出を決めたサムソンが余裕をもってSKを迎える。公式戦でサムソンは8球団中唯一勝率が6割を超え、2位SKに8.5ゲームもの大差をつけて独走し優勝を決めた。チーム防御率3.39、打率(.272)、得点(628)ともに1位で、投打ともに他球団より優位に立っていた。

 投手陣は先発、リリーフともに圧倒的な質量を誇る。初の最多勝のタイトルを取ったチャン・ウォンサム(17勝)、韓国1年目ながら実力を発揮した外国人投手タルボット(15勝)、生え抜きのエースで7年ぶりの2ケタ勝利を記録したペ・ヨンス(12勝)、もう一人の外国人投手ゴードン(11勝)、2009年の最多勝投手ユン・ソンファン(9勝)と先発陣はSKよりもずっと優位に立っている。
 そしてリリーフ陣も、右のアン・ジマン(28ホールド)、左のクォン・ヒョク(18ホールド)、チョン・ヒョヌク、19歳の若手シム・チャンミンなど多彩な中継ぎ陣を誇る。そして2年連続最多セーブ(37セーブ)の絶対的守護神オ・スンファンが最後に控えている。チーム最多の64試合に登板したサイドハンドのクォン・オジュンが故障で外れたが、その穴を全く感じさせない。

 打線も隙がない。ペ・ヨンソプ(27盗塁)、キム・サンス(25盗塁)、チョン・ヒョンシク(22盗塁)と足を使える選手がそろい、中軸にはパク・ソンミン(24本塁打)、精神的支柱のイ・スンヨプ(21本塁打)、生え抜きのベテラン外野手パク・ハニなどがそろう。公式戦前半は不振だったが、2011年本塁打・打点の二冠王チェ・ヒョンウも勝負どころでは効果的な長打を見せてくれる。その他生え抜きのベテラン正捕手チン・ガビョン、そしてシン・ミョンチョル、カン・ボンギュなどの代打陣も控え、野手の層も厚い。
 攻守ともに隙がなく、たとえ打線が大量得点を奪えなくても安定した投手陣でリードを守りきり確実に勝利をものにする大人の軍団、それがサムソンライオンズである。
 
 これに対してSKは、準プレーオフから出場した2011年と違い、今回は第5戦までもつれたとはいえプレーオフからの出場であったため、そこまでチームが疲弊していないと考えられる。そのため、4勝1敗で決着がついた前回よりももつれた戦いになると考えられる。
 SKの先発陣は第1戦で先発するユン・ヒィサンをはじめとして、マリオ、ソン・ウンボムなどが今後起用されると思われるが、プレーオフ第5戦で不本意な投球内容に終わったキム・グァンヒョンの起用が難しいところだ。第5戦ロングリリーフで好投したチェ・ビョンニョン、準プレーオフでは出場エントリーから外れていた外国人投手ブッシュの起用が予想される。リリーフ陣はパク・ヒィス、チョン・ウラムの必勝リレーが確立されているが、それ以外の右投手があまり信頼を得られていない。
 SKがサムソンに勝っている点として、8球団トップのチーム本塁打数(108)があげられる。だがプレーオフMVPを受賞したチョン・グヌ、公式戦では不振だったがプレーオフでは復調の気配を見せているパク・チェサンの1,2番コンビがカギを握っている。この2人が出塁しかき回せば、チェ・ジョン、イ・ホジュン、パク・チョングォンなどの中軸がランナーをきっちり返してくれるであろう。また下位には強打の捕手チョ・インソンも控えていて、2010年までサムソンにいたショートの名手パク・チンマンも巧みな守備でチームの危機を救ってくれることであろう。

 サムソン優位は揺るがないが、SKが6年連続韓国シリーズ出場と豊富な経験で互角の戦いを展開すれば、過去3年間で最も熾烈な頂点をかけた戦いとなるであろう。