DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  第5回 キアタイガース

 2010年は前年の12年ぶりの韓国シリーズ優勝とは対照的に、6月から7月にかけての悪夢の16連敗で優勝争いから脱落し、公式戦5位へと転落した。2年前の優勝がフロックだったと言われないためにも、チョ・ボムヒョン監督は必勝を期して2011年シーズンに臨む。王座奪回のため、日本プロ野球福岡ソフトバンクで活躍できなかった長距離砲イ・ボムホと電撃契約し、打線の強化を図った。
 

【投手陣】

〈先発〉 
ユン・ソンミン、△ヤン・ヒョンジョン、ロペス、ソ・ジェウン、△トラビス
〈中継ぎ〉
ソン・ヨンミン、クァク・チョンチョル、△パク・キョンテ、キム・ヒィゴル、シン・ヨンウン、ホン・ゴンヒィ、パク・ソンホ
〈抑え〉
ユ・ドンフン

注 : △は左腕

 先発投手陣の質と層だけなら、8球団中トップクラスである。2010年チーム最多の16勝をあげた若き左腕ヤン・ヒョンジョンを筆頭に、北京五輪、2009年WBC、広州アジア大会など近年の国際大会で活躍した右のエースのユン・ソンミン、2009年最多勝投手(14勝)のロペス、元メジャーリーガーのソ・ジェウンといった豪華な顔ぶれに、オーストラリア出身の左腕トラビスが加入し、示範競技でも好投を続け期待が高まっている。また、期待の高卒新人ホン・ゴンヒィが先発ローテーション入りすれば、磐石の態勢となる。
 リリーフは左がパク・キョンテくらいしか信頼できる投手がいないなど、先発と比べるとやや心もとない。2009年の優勝に貢献したアンダースローのユ・ドンフンが抑えとして起用されると思われる。

  

【打撃陣】

〈ベストオーダー〉

1.イ・ヨンギュ(中) △
2.シン・ジョンギル(右) △ 
3.イ・ボムホ(三) 
4.チェ・ヒィソプ(一) △
5.キム・サンヒョン(左)  
6.アン・チホン(二) 
7.キム・ジュヒョン(指) 
8.キム・サンフン(捕) 
9.キム・ソンビン(遊)  

〈控え〉
チャ・イルモク、イ・ヒョンゴン、ホン・ジェホ、パク・キナム、イ・ジョンボム(元中日)、ナ・ジワン、△キム・ダウォン、△キム・ウォンソプ、ユン・ジョンウ

注 : △は左打者。

 最大の注目は、かつてハンファの主力打者だったイ・ボムホである。2010年はキム・サンヒョンの長期離脱などによる打線の不振が目立ったための補強である。2009年は本塁打、打点の2冠王だったキム・サンヒョンは、サードの守備に問題が多くレフトへの転向を図っていて、その代わりにイ・ボムホがサードを守る。元メジャーリーガーのチェ・ヒィソプ、イ・ボムホ、キム・サンヒョンのクリーンアップがそろい踏みすれば、他球団の脅威の的となる。
 また軍から除隊された長距離砲キム・ジュヒョンにも期待がかかる。イ・ヨンギュ、キム・ソンビン、シン・ジョンギルなど走れる選手もそろっていて、大型内野手に成長しつつあるアン・チホンの更なる進化があれば、2009年のような爆発力ある打線に生まれ変わることも期待できる。投手力がある程度計算できるだけに、チームの浮沈の鍵は打線が握っている。  


 2009年の優勝は、かつて9回の韓国シリーズ優勝と輝かしい実績を残した前身のヘテタイガースがよみがえったかのようであった。しかし、ヘテのような黄金時代を築くことには失敗した。2011年シーズンは初心に帰り、前年の低迷から脱し、また優勝戦線に戻ることが最大の目標となろう。 
 

本拠地
 光州・無等運動場野球場

 韓国南西部最大の都市・光州(クァンジュ)は、ソウルや釜山などの大都市から遠く、発展も遅れがちであった。その理由として韓国特有の地域対立があり、釜山、大邱を中心とした南東部出身者の政治家が多かった1960年代から90年代後半までの韓国政府からも差別的待遇を受けてきた。そういった光州や周辺の全羅南道の人々の鬱屈した感情を晴らすひとつの手段として、1980年代韓国シリーズ4連覇を達成したヘテタイガースへの応援があった。
 2010年は前年ほどの熱狂はなかったが、試合中には全羅南道ご当地ソングである「南行きの列車(ナメンヨルチャ)」が観客席から何度も聞こえ、独特の風情をかもしだしている。ソウル・蚕室野球場や木洞野球場でのキア戦も、光州や周囲の全羅道出身者が集まるため、3塁側ビジター応援席が真っ赤に染まることも多い。
 球場はかなり老朽化が進み、2015年の光州ユニバーシアード開催に合わせて隣の無等競技場があるところに新球場を建設することになった。そのため現在のひなびた無等野球場でキアタイガースの試合が見られるのはそう長いことではない。古きよき時代をしのぶことができるのは今だけになるかもしれない。
 2010年よりグッズショップが入場券売り場だけでなく、1塁側内野席入り口付近にも開かれ、グッズの種類が大きく増えた。


 
 
 2011年シーズンから、他のプロ野球本拠地球場に合わせて入場料が値上げとなった。まず内野の一般席が指定席化された(平日12000ウォン、土日・祝日13000ウォン)。自由席の外野席は平日7000ウォン、土日・祝日8000ウォンとなっている。食事事をしながらのグループ観戦に適したテーブル席が内外野に設置され、外野のプロト席が平日15000ウォン(土日・祝日18000ウォン)、1塁側内野席にはソウル席が平日20000ウォン(土日・祝日23000ウォン)、バックネット裏のK5席が25000ウォン(土日・祝日28000ウォン)と、それぞれ親会社キア自動車の車種の名前がつけられる。また新設されたK7ファミリー席は2人席が60000ウォン(土日・祝日66000ウォン)、4人席が120000ウォン(土日・祝日132000ウォン)となっている。

 

[交通アクセス]

光州の市街地にあるが、周囲は住宅地や中小工場が並ぶ下町で、繁華街から少し離れたところにあり、球場の入り口付近にも停留所があるものの、バスでのアクセスは土地勘がないとお勧めできない。
Korail(韓国鉄道公社)光州駅からではタクシーで約10分程度。
ただし、ソウル、大田方面からの湖南線の木浦(モクポ)行き超特急KTXは、光州駅に行かず光州市内の西部にある光州松汀(クァンジュソンジョン)駅にしか停車しないので、要注意。

韓国各都市からのバスが発着する、光州総合バスターミナルからはタクシーで5,6分程度。バスターミナル周辺には旅館やホテルも多く、デパートもあるためショッピングや食事には事欠かない。


(文責 : ふるりん