DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2019年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  2010年準プレーオフ : トゥサン−ロッテ

 27日にオンライン上でトゥサンの主催分の第1,2戦分のチケットが前売り販売されたが、ソウル、釜山を本拠地とする人気チームの対戦ということもあって開始から40分程度で完売となり、改めて現在のプロ野球人気が証明された。両チームは、前年2009年の準プレーオフでも対戦し、この際はロッテが第1戦に勝利したが、第2戦からトゥサンが3連勝しプレーオフ進出を決めた。

 両者の対決であるが、ロッテが若干優勢ではないかという見方が強い。その理由としては、シーズン終盤の公式戦30試合でロッテは20勝10敗、トゥサンは13勝16敗1分けと、勢いが明らかにロッテにあることがあげられる。


 まずトゥサンは7月初めまで2位につけていたが、サムソンに抜かされるとそのまま3位にとどまり、やや停滞ムードのままで公式戦を終えてしまった。
 投手陣の顔ぶれであるが、チーム防御率はシーズン通して4.62(8球団中5位)とあまり強力とは言えない。特徴としては先発陣の層が薄く、リリーフ陣にしっかりした柱がいる。先発はヒメネス(14勝)が勝ち頭で、第1戦の先発の大役を任されることになった。ヒメネス防御率3.32と安定していて、テンポよく試合を作ることができる。先発2番手は韓国3年目の元メジャーリーガーで13勝をあげたキム・ソヌで、その他には外国人投手ウォーランド(7勝、元横浜)があげられるが、先発4番手以降にめぼしい候補がなく、ホン・サンサムなどの起用が予想される。

 リリーフ陣を見ると、シーズン終盤まで中継ぎのチョン・ジェフン、コ・チャンソン、守護神のイ・ヨンチャンの必勝リレーが堅固だった。しかしイ・ヨンチャンは9月に飲酒運転などで出場停止処分を受け、準プレーオフのエントリーからも外れた。またシーズン中盤までは先発ローテーション入りしていたが、途中からリリーフに回ったイム・テフン(9勝)の調子が思わしくないのが気がかりで、得意の継投策がロッテの強力打線を抑え込めるか注目される。また若き正捕手ヤン・ウィジは今回が初のポストシーズンの大舞台となり、経験不足を露呈し投手陣のミスリードがないか心配される。

 打線は本塁打数が149と、8球団中ロッテに次ぐ2位の一発攻勢が目だった。特にキム・ヒョンス、イ・ソンヨル(24本)、チェ・ジュンソク(22本)、キム・ドンジュ、ヤン・ウィジ(20本)と20本塁打以上の打者が5人もいて、下位打線まで気が抜けない。特にチーム打点王(89)を記録した「打撃マシーン」キム・ヒョンスが、ポストシーズンを前に調子を上げてきたのが好材料で、準プレーオフのキーマンの1人にあげられる。

 2人合計65盗塁を記録した快足のイ・ジョンウク、オ・ジェウォンの1,2番が出塁し、キム・ヒョンスから始まる強力な打線が爆発して不安な投手陣をカバーして大量得点、というのが勝利へのシナリオである。また広い蚕室野球場を本拠地としてきただけあって、チョン・スビン、ミン・ビョンホンという守備に優れた若手の外野がいるのが特徴である。特にチョン・スビンは不振のイ・ジョンウクの穴を埋める存在として期待されている。守備の面ではショートのソン・シホン、内野ならどこでも守れるイ・ウォンソク、キム・ジェホなどもいて大きな不安はない。


 2008,2009年と2年連続準プレーオフに進出しながら、それまでの低迷が長かったためチーム全体の経験不足を露呈し、あっさり敗退を繰り返したロッテ。2010年の準プレーオフでは、「3度目の正直」を成し遂げようと、選手、ベンチ一丸となって臨んでいる。

 ロッテの特徴はなんといっても8球団一の破壊力を誇る打線だ。チーム打率(.288)、得点(773)、本塁打(185)は8球団中1位であり、その中心にいるのが打撃三冠王イ・デホ(打率.364、44本塁打、133打点)である。そして周囲の打者もかなり強力で、イ・デホ首位打者打点王争いをしたホン・ソンフン(26本)、シーズン終盤審判への暴言で出場停止処分を受けたガルシア(26本)、強打の捕手カン・ミンホ(23本)など、他にも20本塁打以上の選手が3人もいる。

 またチームに勢いを与える主将チョ・ソンファン、2010年大きく成長したソン・アソプ、チョン・ジュヌの若手打者2人も厄介な相手である。足を使える選手が、65盗塁で惜しくも盗塁王を逃したキム・ジュチャン程度であり、一発攻勢のかなり大味な野球が展開されるが、それもそのはず。盗塁を除く個人打撃成績上位5人までには上述したイ・デホ、ホン・ソンフン、チョ・ソンファン、ガルシアなどロッテの主力選手の名がずらりと連なっていたのであるから。

 この強力打線を支える投手陣は、チーム防御率が4.82(8球団6位)とかなり心もとない。先発陣は第1戦の先発を任されるソン・スンジュン(14勝)、チャン・ウォンジュン(12勝)、サドースキー(10勝)、イ・ジェゴン(8勝)と頭数がそろっている。

 だが最大の弱点は、シーズンを通して器用方針が定まらなかったリリーフ陣であり、これだけの強力打線を擁しながら4位争いにとどまった大きな要因となった。8球団で唯一2ケタのセーブ数を上げた投手がいないなど、抑えの切り札がいない状態が続き、点数をとっても取り返される試合が特に夏場までは多かった。シーズン終盤での消化試合でも、小刻みな継投を繰り返しテストしている場面が目立った。準プレーオフのエントリーではイ・ジョンフン、イム・ギョンワン、キム・サユル、ペ・ジャンホ、キム・イリョプと右投手が目立ち、左はホ・ジュンヒョク(背番号20)、カン・ヨンシクの2人と手薄である。この中ではキム・サユルを抑えとして起用する可能性が高い。
 また8球団中最も失策が多かった(101個)守備にも不安が残る。負傷で戦線離脱していたショートのレギュラーのパク・キヒョクは、準プレーオフのエントリーから外れ、代役となる若手のムン・ギュヒョンは経験不足である。7月にネクセンから移籍した若手内野手ファン・ジェギュンがサードをしっかり守れると、内野守備が安定してくる。キム・ジュチャンの外野守備にも不安が残り、過去2年間のポストシーズンでは守備のなんでもないミスから崩れる場面が目立ったため、今回はそういったことは絶対にないようにしたい。
 
 公式戦での両者の直接対決は12勝7敗と勝ち越していることもあって、ロッテが有利だとされているが、上述したように不安な面も少なくはなく、2004年からのキム・ギョンムン監督体制下では2006年以外すべてポストシーズンに進出してきたトゥサンが大舞台での経験で勝っているため、貫禄でロッテを一掃してもおかしくはない。そういった点を踏まえると、両チームともに強力打線が爆発し乱打戦でもつれた展開になることも予想できる。この先のプレーオフ(10月7日開幕予定)、韓国シリーズ(10月15日より)につながる熱戦を期待したい。

 (文責 : ふるりん