DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

2024年 シーズン展望 第9回 ハンファイーグルス

リュ・ヒョンジン復帰でさらなる浮上を

 2023年は9位で、ようやく前年までの3年連続最下位から脱出した。オフシーズンは前年同様に積極的な補強を続け、ロッテジャイアンツからFA(フリーエージェント)となっていた33歳のベテラン内野手アン・チホンと契約した。また余剰戦力を対象とした2次ドラフトでSSGランダースから41歳のベテラン外野手キム・ガンミンを指名、同じくSSGから自由契約となった36歳の捕手イ・ジェウォンと契約するなど経験豊富な選手を補強した。

 そして海外キャンプ中の2月22日、ロサンゼルスドジャーストロントブルージェイスで活躍していた37歳の左腕リュ・ヒョンジンが2012年以来となる復帰を果たした。MLB通算78勝の実績だけでなく集客の面でも大きな戦力となる。2023年シーズン途中の5月に就任したチェ・ウォンホ監督は、近年にない上昇気流を生かして2018年以来6年ぶりのポストシーズン進出、そしてリュ・ヒョンジンが新人だった2006年以来の韓国シリーズ出場を狙うと思われる。

 

【投手陣】

〈先発〉 
ペーニャ、△サンチェス、ムン・ドンジュ、◎△リュ・ヒョンジン、キム・ミヌ、チャン・ミンジェ、ナム・ジミン
〈リリーフ〉
イ・テヤン、チャン・シファン、ユン・デギョン、ハン・スンジュ、チュ・ヒョンサン、△キム・ボムス、パク・サンウォン

注 : △は左腕

 古巣への復帰以降話題に事欠かない左腕リュ・ヒョンジンは2022年、2023年とトロントブルージェイスで合計17試合のみの登板で、故障からどれだけ回復できているかが懸念材料である。これまでキャンプや示範競技では順調に登板をこなしている。2023年は杭州アジア競技大会野球に出場し優勝に貢献した20歳の若手ムン・ドンジュが右のエースとなる。韓国3年目のペーニャ、2年目のサンチェスと左右の外国人選手2名を合わせると強力な先発投手陣が構成される。

 リリーフ陣では抑え候補としてパク・サンウォンとチュ・ヒョンサンがあげられる。2023年にプロ野球史上初の個人通算1000試合登板を達成した38歳の左腕チョン・ウラムはコーチ兼任となったため、登板機会が減ると思われる。代わりに3月18日のチームコリアでロサンゼルスドジャース相手に登板した18歳の高卒新人ファン・ジュンソなど若手の起用を増やしたい。


【打撃陣】

〈先発予想〉

捕手:チェ・ジェフン

一塁:◎アン・チホン

二塁:△ムン・ヒョンビン

三塁:ノ・シファン

遊撃:△ハ・ジュソク

外野:◎✕ペルラザ、チェ・ウンソン、イ・ジニョン

DH:△キム・インファン 

〈控え〉
(捕手) パク・サンオン、◎イ・ジェウオン
(内野手) △イ・ドユン、キム・テヨン、△チョン・ウヌォン、チョ・ハンミン、△ファン・ヨンモク

(外野手) △イム・ジョンチャン、◎△キム・ガンミン、△チャン・ジンヒョク、△チェ・インホ、イ・ウォンソク

注 : ◎は新加入、△は左打、✕は両打ち。
 2023年のチェ・ウンソンに続き、2024年シーズンもFAでアン・チホンを補強し内野の層を厚くした。打線の軸は本塁打(31)、打点(101)の二冠王で23歳のノ・シファンで、杭州アジア競技大会野球などの韓国代表でも4番打者となるなどプロ野球界を代表する打者に成長している。その前後を2023年に23本塁打、84打点と期待に応えた34歳のチェ・ウンソン、復活を期すハ・ジュソク、新外国人選手ペルラザなどが打つと思われる。

 また注目の若手としては4月に20歳となるプロ2年目のムン・ヒョンビンがあげられる。2023年はチーム事情で二塁、外野ともに守り137試合に出場した。さらに二塁手としては2023年に不振だった24歳のチョン・ウヌォンが復活を期している。イ・ジェウォンの加入で正捕手チェ・ジェフンのバックアップも十分で、近年になく選手層が厚くなり、2024年シーズンこそは最下位争いから抜け出したい。 


【本拠地】
 大田・ハンファ生命イーグルスパーク

 大田(テジョン)は韓国中西部の地方都市で、ソウルから南部への鉄道・高速道路の分岐点と交通の要衝である。1986年の球団創設以来本拠地としてきたハンバッ総合運動場野球場は、プロ野球開催時に「ハンファ生命イーグルスパーク」の名称で呼ばれる。収容人数は1万人台と、近年のプロ野球本拠地としては比較的小さい規模であるが、通路に売店が充実し快適な観戦環境が提供されている。それでも他球団の本拠地と同じ2万人以上収容の新球場の建設工事が、2025年シーズンからの使用開始を目標に近くの敷地で進められている。

 応援ステージは一塁側にあり、どれだけチームが低迷していても熱心なファンで埋め尽くされている。新球場が予定通り完成すると1999年の韓国jシリーズ優勝など38年間の歴史を見守ってきた野球場の最後のシーズンとなり、さらにリュ・ヒョンジンの復帰もあってチームが好調なら土日、休日を中心に観客席は混雑が予想される。

大田・ハンファ生命イーグルスパーク(2023年)




[交通アクセス]

Korail、大田都市鉄道1号線大田駅からバス(111-1番など)、タクシーで10分程度。
大田都市鉄道1号線・中央路(チュンアンノ)駅から111番バス、タクシーで5分程度。

 

(文責:ふるりん