若手の育成、そして最下位脱出へ
2023年は主力の離脱やトレードによる放出などで最下位、初の10位で終わった。またプロ野球界を代表する打者として活躍していたイ・ジョンフがMLBサンフランシスコジャイアンツへポスティングで移籍した。2022年から右のエース格だった先発投手のアン・ウジンも兵役のため軍へ入隊し、捕手のイ・ジヨン、リリーフ右腕のイム・チャンミンがFA(フリーエージェント)となり移籍と戦力の流出が相次いだ。
目立った補強としては余剰戦力を対象とした2次ドラフトでSSGランダースから36歳の左打者チェ・ジュファンを指名したことがあげられる。就任3年目のホン・ウォンギ監督は薄くなった選手層を補うため、キム・ハソン(サンディエゴパドレス)などをMLBへ送り出しているノウハウにより新人の育成を進め、最下位脱出を図ると思われる。
【投手陣】
〈先発〉
フラード、◎△ヘイスス、キム・ソンギ、キム・ドンヒョク,、チョ・ヨンゴン、ハ・ヨンミン、チャン・ジェヨン
〈リリーフ〉
△キム・ジェウン、イ・ミョンジョン、ムン・ソンヒョン、チュ・スンウ、◎チョン・ジュンピョ、チョ・サンウ、ウォン・ジョンヒョン
注 : ◎は新加入、△は左腕。
先発投手陣の軸は2023年チーム最多の11勝を記録した韓国2年目の外国人選手フラードとなる。新外国人選手の左腕デヘススは未知数で、実績のある韓国人の先発投手の層が薄い。軍から除隊された25歳のチョ・ヨンゴン、伸び悩みが続く21歳のチャン・ジェヨン、18歳の高卒新人チョン・ジュンピョなどの若手の育成と成長にかけるしかない。
リリーフ陣では2020年の最多セーブ(33)の個人タイトルを受賞するも兵役のため軍へ入隊し、除隊された29歳のチョ・サンウが抑えを務めると思われる。2022年から2023年にかけての2年間の空白から1日も早く回復したい。2023年にチーム最多の26セーブを記録したイム・チャンミンの空白を埋めることが期待される。
【打撃陣】
〈先発予想〉
捕手:キム・ドンホン
一塁:◎△チェ・ジュファン
二塁:△キム・ヘェソン
三塁:△ソン・ソンムン
遊撃:キム・ヒィジプ
外野:△ドーソン、△イム・ビョンウク、△イ・ジュヒョン
指名:イム・ジヨル
〈控え〉
(捕手) キム・ジェヒョン、キム・シアン
(内野手) △キム・ウンビン、キム・ヒィジプ、シン・ジュヌ、キム・スファン、イ・ウォンソク
(外野手) チュ・ソンウォン、△イ・ヨンギュ、イ・ヒョンジョン、△ピョン・サングォン
注 : ◎は新加入、△は左打者。
イ・ジョンフがMLBサンフランシスコジャイアンツに移籍し、打線の中心は25歳のキム・ヘェソンとなる。2023年は打率.335で惜しくも首位打者を逃し、二塁の守備も固く攻守の要である。2023年はシーズン途中の7月から契約した外国人選手ドーソンはアベレージヒッターであり、2023年は10本塁打以上の選手がゼロなど深刻な長打力不足である。そこで2023年、SSGで20本塁打を記録したチェ・ジュファンに期待がかかる。
また若手では2023年シーズン途中の7月にLGツインスから移籍し打率.330 を記録し4月に23歳となるイ・ジュヒョンがいるが、負傷で3月23日のシーズン開幕には間に合わない。そのため34歳のイ・ヒョンジョンなど経験豊富な選手の奮起が望まれる。また2023年に高卒新人だった捕手キム・ドンホンは102試合に出場、一軍に定着した。2024年もこのように新人たちが多くの機会を与えられ、チームの育成とともに最下位脱出を図っていくと思われる。
【本拠地】
ソウル・高尺スカイドーム
ソウル市内南西部の韓国初のドーム型野球場・高尺(コチョク)スカイドームは2015年に完成した韓国唯一のドーム型の野球場である。アマチュア野球の大会や、音楽やアイドルグループの公演など多目的に利用されている。2017 WBC(ワールドベースボールクラシック)、2019 WBSC プレミア12など野球の国際大会の会場になり、2024年3月20日、韓国では初のMLBレギュラーシーズンの試合:ロサンゼルスドジャース-サンディエゴパドレスの開幕戦が開催され、それを機にグラウンドの人工芝などが改修された。
内外野は大きく上段と下段に分かれている。球場内通路にも売店はあるが、ボール型のモニュメントがある球場の正面広場の向かい側などに商店街があるため、観戦前後の買い物や食事やには困らない。ソウル市内ということで、蚕室野球場と同じく一塁側のキウム応援席だけでなく三塁側の遠征チームの応援席もにぎわっている。
[交通アクセス]
首都圏電鉄京仁線・九一(クイル)駅から徒歩5分。
(文責:ふるりん)