2024年　シーズン展望　第4回　ＮＣダイノス

4年ぶり2度目の韓国シリーズ優勝へ

　2023年は3年ぶりにポストシーズンへ進出し、ワイルドカード決定戦でトゥサンベアース、準プレーオフでＳＳＧランダースに勝利するも、プレーオフでＫＴウィズに敗れた。キム・ジュウォンやキム・ヒョンジョンなど韓国代表でも活躍した若手の台頭があり収穫が多かったが、チーム史上初のシーズン20勝を記録しMVP（最優秀選手）などを受賞した外国人選手フェディがMLBシカゴホワイトソックスへ移籍した。新外国人選手3名以外に大きな補強はなく、就任2年目のカン・イングォン監督はほぼ現有戦力の底上げで2年連続ポストシーズン進出、初優勝の2020年以来4年ぶりの韓国シリーズ優勝を目指す。

【投手陣】

〈先発〉　
◎ハート、◎カスタノ、ソン・ミョンギ、シン・ミンヒョク、イ・ジェハク、イ・ヨンジュン、△チェ・ソンヨン

〈リリーフ〉
△イム・ジョンホ、キム・テヒョン、イ・ジュンホ、キム・シフン、リュ・ジヌク、イ・ヨンチャン

注　：　◎は新加入、△は左腕　

　右腕の2023年の外国人選手フェディ、ワイドナーの代役となる外国人選手2名はハート、カスタノとともに左腕となる。これは25歳のシン・ミンヒョク、23歳のソン・ミョンギの若手、33歳のベテランのイ・ジェハクと右腕の韓国人が多いためと思われるが、その中にエース格として信頼を寄せられる先発投手はいない。左腕エースとして活躍していたク・チャンモが兵役のため軍へ入隊し、2023年に韓国代表で活躍した左腕キム・ヨンギュはリリーフから先発への転向が予定されていたが、負傷のため復帰に時間がかかる。

　リリーフでは抑えのイ・ヨンチャンが35歳となり、2023年の内容が前年より悪化したこともあり、後継者を育成する必要が出てきた。候補としては2023年、チーム最多の70試合に登板した27歳のリュ・ジヌクが有力だが、25歳のキム・シフンなど中継ぎで登板している選手たちにもチャンスはあると思われる。

【打撃陣】

〈予想先発〉

捕手：キム・ヒョンジュン

一塁：◎デビッドソン

二塁：△パク・ミヌ

三塁：ソ・ホチョル

遊撃：✕キム・ジュウォン

外野：キム・ソンウク、パク・コヌ、クォン・ヒィドン

ＤＨ：△ソン・アソプ

◎は新加入、△は左打者、×は両打ち。

〈控え〉
(捕手) △パク・セヒョク、アン・ジュンヨル
(内野手) △ト・テフン、△オ・ヨンス、ユン・ヒョンジュン、キム・ハンビョル、キム・スユン
(外野手) チョン・ジェファン、パク・ハンギョル、◎ソン・スンファン

　打線の中軸は2023年に首位打者（打率.339）だった36歳になるソン・アソプや33歳のクォン・ヒィドンやパク・コヌ、そして新外国人選手のデビッドソン（元広島）などが任されると思われる。31歳で生え抜きのパク・ミヌが上位打線でチャンスメイカーとして機能し、下位打線では21歳の強打の遊撃手キム・ジュウォン、2023年シーズン途中に軍から除隊され復帰し一軍に定着した24歳の捕手キム・ヒョンジュンなどの若手が任され、得点力は高まったと思われる。

　それらに続く若手としては高卒2年目の19歳のパク・ハンギョル、余剰戦力を対象とした2時ドラフトでトゥサンから移籍してきた23歳のソン・スンファン、2022年から控えとして起用されている24歳のオ・ヨンスなどが期待され、戦力の底上げが期待される。コーチ時代の2020年からＮＣで指導者としてカン・イングォン監督はチームをうまく掌握し、新陳代謝をさらに進め2024年シーズンも優勝争いに加わることが期待される。

【本拠地】
昌原ＮＣパーク馬山野球場

　韓国南東部に位置する馬山（マサン）は古来から港町として栄え、1970年代から自由貿易地帯として韓国の経済発展を支えた。2010年に近隣の昌原（チャンウォン）、鎮海（チンヘ）と合併して誕生した昌原総合市の一部となった。

　ＮＣは球団創設当初の2012年から馬山総合運動場野球場を改修して本拠地として利用し、2019年に昌原ＮＣパーク馬山球場が完成した。2024年3月時点で韓国プロ野球の本拠地では最も新しく、内野1階席はグラウンドレベルに近く臨場感があり、電光掲示板には打率や本塁打、防御率、球速以外にも球種やボールの回転数などが表示され、細かいデータを知りたいファンも満足できる。また内野席3塁側の外観はガラス張りが特徴的で、野球観戦が可能なスターバックスコーヒーなどの飲食店も上層にある。

　すぐ隣の旧本拠地・馬山総合運動場野球場は主に二軍選手が出場するフューチャースリーグが使用しているため、一軍と二軍の同日観戦を気軽に楽しむこともできる。